むしむしブログ

こんにちは!「ならまち糞虫館」の中村です。
むしむしブログは、極めてフツーの糞虫愛好家である私が体験する糞虫に関わる様々な出来事を適当につづっているブログです。ウソ・偽りはありませんが、間違いがあるのでご注意くださいね。
それでは、よろしくお願いいたします。

 2/19のブログでも書いた奈良公園に高級リゾートホテルを建設する計画は、着々と進んでいるようです。私の家も高畑にあり、当該場所が一本通りを挟んだ向こう側のことなので気になり、今回は「古都・奈良の文化遺産を守る会」の集会に行ってみました。前回は、モンベル社長の辰巳氏を筆頭にパネリストも嘉田前滋賀県知事ほか有名な方が多数いらしていたせいか、文化会館小ホールで300人規模でしたが、今回は商工会議所の会議室で100人余り。それでも熱気は相当なものでした。私は、あの森が超高級リゾートホテルになってほしいとは思いませんが、何らかの計画が動くことであの場所(うっそうとした森)に入れるようになればいいなぁと思っています。リゾートホテルにする必要性は感じませんし県の主張や説明にもやや無理があるようです(県は高畑町の中の山ノ上地区10数軒向け説明会しかしていないようので詳細不明)が、反対する側にも大々的にアピールする目玉がないという感じでした。まぁ、この問題はこんなブログで論ずると言葉足らずになるので止めときますが、この集会でひとつ収穫がありました。谷幸三さんというたぶん70歳を超える方が、20分ぐらいもの凄くエネルギッシュにかつ面白く過去の武勇伝も含めてお話をされました。で、この方は奈良公園の生き物の大家らしく、糞虫についてもメチャメチャ詳しい方とお見受けいたしました。(↓ネットで見つけた、谷さんと思われる写真)
谷さん?

 友達に聞くと、谷氏の専門は水生昆虫だが幅広く生き物の事をご存じで、新聞の連載や自然教育等多方面でご活躍されており、その道で知らない人はいない有名人だとか。そういえば、糞虫関係の記録か本でも「谷幸三」さんのお名前を拝見したことがあるような・・・。糞虫の事を聞こうかなと少し思いましたが、ホントにパワー溢れる話しぶりだったので、シャイな私は話しかけることができませんでした。
 ネットで谷さんを検索すると、糞虫関連の話題がたくさん出てきました。次回お会いできたら、きちんとご挨拶をしてこのブログのことも紹介したいと思います。でも、こんないい加減なブログを見たら、えらい剣幕で怒られるかも・・・。それに谷さんは開発計画に反対しているので、ここに糞虫昆虫館を造りましょうなんていう話をしようものなら、ぶっ飛ばされるかも・・・。


今日はここまで。
再見!

 会社勤めしている頃、しどろもどろの言い訳をすると「お前の日本語、わからん!」と、よく上司に怒られていたくらいなので、ましてや外国語なんて話せませんし、わかりません。ですが、外国語で書かれた糞虫の本を何冊か持っていて、わずかな写真や挿絵を見て楽しんでいます。今日、たまたま「オーストラリア南東部の放牧地の糞虫」(CSIRO:豪州連邦科学技術研究機構)というカラー写真付きの英語の本を見ていると、ヘラクレスオオカブトみたいで(よく見るとぜんぜん違いますが)カッコいい糞虫(Onthophagus nigriventris) を見つけたのでご紹介します。
IMG_2874-1
 この糞虫、出身地はなんと東アフリカの熱帯雨林と書いてありました。出身地(Distribution)って??? 実は、オーストラリアと言えば牛・羊を思い浮かべますが、これら家畜はもともとオーストラリアにはいなかったので糞を効率よく分解する糞虫がおらず、ハエだらけになり衛生状態が悪化したそうです。で、それを解決するための国家プロジェクトとして海外から牛や羊の糞の分解能力の高い糞虫を導入したわけです。1968年から1982年にかけて45種類以上の糞虫をアフリカ、ヨーロッパ、アジアから輸入して研究し、適応できそうな地域にリリースしたらしいのです。
 今、日本では生物多様性維持の観点から、外来種の駆除に力を入れています。ペットの廃棄(ミドリガメ、アライグマ、外国産カブトムシ等)は言語道断ですが、食糧難の解決(食用ガエル、アメリカザリガニ等)や毒蛇の駆除(マングース)という大義のある導入の場合も、日本の場合は計画通りになりませんでした。事前の研究がお粗末だったのか、結果ありきの研究だったのか・・・。いずれにしても、一度定着すると根絶することは時間とコストをかけても難しい、というのが現実です。
 有袋類が生息するオーストラリアと言えば、生き物の輸出入には非常に厳しい管理を課しているイメージがありますが、やはり背に腹は代えられないということでしょうか。しかし、経済的・政策的に成功しているように見えても、生態系への影響はどうなのか、沖縄のマングースがハブを食べずに家畜やヤンバルクイナを襲うのと同じようなことがオーストラリアで起きてなければいいのですが・・・。在来種の糞虫たちの言い分を聞いてみたいものです。

 あ、ちなみにこの”ヘラクレスエンマコガネ”ですが、体長は10~12mm、ツノの先まで入れても16mmしかありません。ヘラクレスオオカブトの1000分の1の大きさ(体積)ってことですね。


今日はここまで。
再見!

 a  私の標本箱には1979年7月27日にカナダ西部の観光地バンフで採集したマグソコガネの仲間が9頭収まっています。「とにかく外国を見て来い」という父の基本方針の下、中学3年生の時に初めて姉と2人で海外ツアーに参加した時のものです。馬の乗って散歩する日があって、その時に馬糞から採集しました〔写真1枚目〕。その他の美しい風景や豪華な食事のことはほとんど思い出せないので、大枚をはたいてくれた父も草葉の陰で苦笑しているでしょう。で、そのマグソコガネの仲間が日本のセマダラマグソコガネ(Aphodius nigrotessellatus)に似ているんです。つまり体型や大きさ、模様が何となく似ており、ルーペで詳しく見ても ①頭部に弱い3つのコブ、②上翅基部の第5間室に黒紋、③肩歯がない、などの特徴も一致します。カナダにもセマダラマグソコガネが生息している?
IMG_2860-1

 下の写真が、おなじみの日本のセマダラマグソコガネ(Aphodius nigrotessellatus)。
IMG_2853-1

 ついでにオビモンマグソコガネ(Aphodius okadai)も載せときましょう〔下の写真〕。
IMG_2869-1


ところが、「原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)」(保育社 1985年)によるとセマダラマグソコガネの生息域は日本、朝鮮半島、中国となっており、北アメリカ大陸にはいないらしい。ふーん、そうなんだ。ついでにほかの種もいろいろ見てみると、どうやら日本と北アメリカ大陸に共通する種類というのは、ツマベニマグソコガネ(Aphodius haemorrhoidalis)やオオツヤマグソコガネ(Aphodius rufipes)くらい。 無知な私は、なんでだろー、不思議やなー、と3日程悩みましたよ。正解は「その昔、日本とアジアは朝鮮半島や樺太あたりでつながっており、逆に日本とアメリカはつながっていなかった」。なので日本とアジアは共通する種が多い。なるほど、納得です。そういえば、中国の新疆ウイグル自治区烏魯木斉(ウルムチ)の天池でたくさん採集したマグソコガネ属の中にセマダラマグソコガネみたいなのがいました〔下の写真〕。
IMG_2839-1

 こちらも①、②、③は満たしてますが、どうなんでしょうねー。マダラ模様のパターンが少し異なるので、おそらく別種でしょうね。残念ですが、私がわかるのはそこまで。外国のマグソコガネの仲間を同定するのは、その道のプロでないと難しいというのが現状ではないでしょうか。


 おまけクイズです。次の写真のマグソコガネの仲間の採集地はどこでしょう?(正解は最上部に)
   a. カナダのバンフ     b. 奈良公園      c. 中国の烏魯木斉      d. 奈良以外の国内

IMG_2866-1

わかりましたか?

今日はここまで。
再見!

このページのトップヘ