むしむしブログ

こんにちは!「ならまち糞虫館」の中村です。
むしむしブログは、極めてフツーの糞虫愛好家である私が体験する糞虫に関わる様々な出来事を適当につづっているブログです。ウソ・偽りはありませんが、間違いがあるのでご注意くださいね。
それでは、よろしくお願いいたします。

 ミヤマダイコクコガネは奈良県の南部の山深い吉野に行けば生息していると聞いていましたが、どこをどう探せばいいのか見当もつかず、遠い存在でした。今月上旬、虫好きの大学生たちが吉野でライトトラップをするのに誘ってくれたので、ミヤマダイコクコガネが飛来するのを期待して行ってきました。
 ライトトラップに来た糞虫は、ゴホンダイコクコガネ数匹とアイヌコブスジコガネ1匹くらいだったのですが、昼間に彼らが林内に置いた馬糞にはたくさんのセンチコガネ、オオセンチコガネ、ゴホンダイコクコガネ、マエカドコエンマコガネ等のほか、ケブカマグソコガネ8匹とミヤマダイコクコガネ♀1が来てました。夕方に私の置いた牛糞には何も来てませんでした。
 大学生にミヤマダイコクコガネの好む環境やふんの置き場所についてレクチャーを受け、翌日追加で牛糞を10ヶ所ほど置いて回りました。その翌日に見て回ると、やはりセンチコガネとオオセンチコガネとゴホンダイコクコガネとマエカドコエンマコガネがほとんどでしたが、ミヤマダイコクコガネの♂1匹が見つかったのです!
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 大型のゴホンダイコクコガネがゴロゴロいましたが、ミヤマダイコクコガネの大きさは圧倒的です。ゴロンという感じで転がりでてきました。この重量感はたまりません。糞がまだいい状態だったので、そのまた翌日の夕方に見て回ると♀2匹が見つかりました。オス・メスのペアができたので飼育するか標本にするか、楽しく悩みつつ帰り支度を整えたのですが、帰る前に再度真っ暗な林内にペンライトを持って入り、バラバラにした牛糞をもう一回よく点検することにしました。ダイコクコガネの仲間は夜行性だから、日が暮れたあと飛来しているかも、と考えたわけです。2時間ほど前に見て回ったばかりなのであまり期待してなかったのですが、糞をバラバラにしたせいで強烈な臭いがでたためか、なんと追加で♂2.♀1が見つかりました!トータルで3ペアのミヤマダイコクコガネ。車で往復5時間以上かかる深山に3度出かけたかいがありました。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』全国の書店で好評発売中!

 糞虫館の館長をやっていると、世界のあちこちで糞虫を採集しているとか、日本のほとんどの糞虫を採集したことがあるとか思われがちですが、私は学生時代から奈良公園で糞虫を観察して楽しんでいる単なる糞虫好きなので、糞虫の専門家からすると驚くほど少ししか標本を持っていません。マグソコガネの仲間なんて『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』に書いてある以上のことはわかりませんし、星一つ★の最普通種と言われる種でも採ったことが無い種はたくさんいます。その中でもツノコガネは、長いツノがカッコいいしなんとか自分で捕まえたいと思ってました。
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 先月、糞虫館に来た子供のお父さんから三重県の高原にたくさんいるという情報をいただき、今月8/13にバケツ一杯の牛糞を車に積んで地図で見つけた高原に向かいました。シカ糞が確認できた場所を中心に小分けした牛糞を20か所ほど置いて回って、8/15に見に行くと40~50匹のツノコガネを見つけることができました!一番多かったのはツノコガネで、その次はオオセンチコガネとセンチコガネとゴホンダイコクコガネがそれぞれ20~30匹で同じくらい。マエカドコエンマコガネは数えきれないほどたくさんいましたが、カドマルエンマコガネやフトカドエンマコガネは数匹しか確認できませんでした。夕方で見落としたのかもしれませんが、マグソコガネの仲間は見つけられませんでした。ツノコガネは約9割がメスだったのが不思議なのですが、大小5匹のオスも採れたのでペアでお持ち帰りさせていただき、末永くならまち糞虫館で活躍してもらうことにいたしました。今乾燥中なので、早ければ来週にも糞虫館デビューです。
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 ツノコガネですから、多くの糞虫好きの方からすると珍しくもなんともないと思いますが、実にカッコイイ姿をしています。セオリー通り頭・胸・腹を水平にして標本にすると長いツノが寝てしまってイマイチなのですが、アゴを引いてツノを立てるとダイコクコガネにも劣らないほどカッコよくて、ずっと見ていられます。今回はコーフンしてしまい採集時にほとんど写真を撮ることができなかったのですが、次回は落ち着いてこの虫の魅力を最大限引き出せる1枚を撮りたいと思っています。還暦を迎えた大人をこんなにワクワク楽しませるなんて、すごいぞ!ツノコガネ、サイコーだぜ!糞虫。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

【お願い】
 オープン7年目に突入したならまち糞虫館は「日本のすべての糞虫が見られる糞虫館になる!」ことを目指しています。まだ糞虫館に展示されていない種や数匹しかいない種をお持ちの方は、寄贈や預り等どのような形でも結構ですので、ご協力いただけるとありがたいです。ちょこっとタッパーに入れて持ってきてくださるのも大歓迎。私個人は遅かれ早かれいずれ朽ちてしまうので、今後は法人化、できればNPO法人を設立して未来永劫糞虫のすばらしさを伝えていくハブ施設にすることを夢見ています。ご支援・ご協力いただけると幸いです。

 興福寺の南、ホテル尾花のお向かいに「奈良市ならまちセンター」という公民館&図書館&市役所出張所&喫茶があって、この度リニューアルオープンして広く明るくきれいになりました。夏休みには様々なイベントや展示会が週替わりで開催され、親子連れなどでにぎわっているようです。
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 私はどうすればこういう場所で多くの方に糞虫を知ってもらう展示や活動が出来るのかいまだによくわからないのですが、啓林堂書店で『フン虫に夢中』(写真1枚目)の出版記念講演会や糞虫観察会を企画してくださった方(写真2枚目)にお声掛けいただき、多数の親子連れの方の来場が見込まれるお盆明けの10日間「ならまち糞虫館 出張パネル展」(写真3枚目)が開催できることになったのです。
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 8/13までは「コルクで作る昆虫展」でヘラクレスオオカブトなど外国の巨大なカブトムシの標本も多数展示され大人気だったとのこと。それに続いて糞虫の写真パネル&糞虫標本少々だったので少々迫力不足だったかもしれませんが、手弁当で協力して下さった多くの方の思いは、少しでも糞虫に興味を持ってくれればということだし、8/18(日)に開催した糞虫観察会(写真4枚目)は募集2日目には定員を大幅にオーバーしてしまうほどの反響がありました。せっかく申し込んでくださった多くの方をお断りすることになり申し訳なかったのですが、8月下旬以降も市内の自然観察グループや公民館などが糞虫観察会を企画して募集しているので、各種広報紙や糞虫館HP等をチェックしてご参加いただけると嬉しいです。

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 出張パネル展は今日8/25(日)が最終日ですが、選りすぐりの糞虫写真のパネルですので見ごたえ十分です(写真4枚目)。エアコンも効いて涼しいので、休憩がてら覗いていただければと思います。オマケ情報ですが、パネル展の奥は「カフェいにしえ」という明るいカフェになっていて、勧められて食べたカバオライス(?)がちょっとエスニックな感じでおいしかったです。お昼時に行った方はぜひお試しください。

 今日は、9時から奈良公園で糞虫観察会、お昼はならまちセンターで出張パネル展を見学し、ランチはカバオライス、午後からならまち糞虫館訪問という糞虫三昧の一日を過ごされてはいかがでしょうか。暑さ忘れるほど楽しい一日になるかも⁉(笑)

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

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