むしむしブログ

こんにちは!「ならまち糞虫館」設立準備室の中村です。
むしむしブログは、極めてフツーの糞虫愛好家である私が体験する糞虫に関わる様々な出来事を適当につづっているブログです。ウソ・偽りはありませんが、間違いがあるのでご注意くださいね。
それでは、よろしくお願いいたします。

 8月の下旬にスイスに行きまして、もちろん避暑なんですが、やっぱり牛の放牧されているのを見るとついついほじくってしまいまして、結局は奈良公園でやってることとまったく同じ、つまり観光客の視線を避けながら糞虫採集をしてきた、その結果報告です。8/30、9/18のブログで書いたのとダブった内容が多いのですが、ご容赦ください。
 スイスアルプスには、夏は森林限界を超える高地の草原にも牛がたくさん放牧されていて、あちこちにいい感じの牛糞がたくさんありましたが、私が確認できた糞虫はマグソコガネの仲間3種類、18頭。30こ以上はほじくりましたから、私が採集下手であることを考慮しても「あまりいなかった」と言っていいのではないかと。代わりにアブやハエが多く、糞のなかでアブの幼虫がうごめくおぞましい光景を何度も見てしまいましたよ。
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 おっ、これはクロツヤマグソコガネ(Aphodius atratus)か? と思ったマグソコガネの仲間(写真1枚目)です。私的にはクロツヤマグソコガネ(写真2枚目)は鈍い光沢と認識しているので、その大きさと体型、鈍い光沢からそう思ったのですが、比べてみると全く別物ですね。上翅間室に点刻がなく、擦れたようにツヤがないのがよくわかります。頭には3つのコブがはっきりと確認できます(写真3枚目 右側はクロツヤマグソコガネ)。
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 スイスアルプスの長く厳しい冬を耐えるための特殊な形質(毛が生えてるとか体型が丸いとか)を身に着けた珍妙な糞虫がいるかも、と妄想は膨らんでいたのですが、意外に平凡な結果に終わりました。でも、こんな平凡に見える小さな糞虫が驚くべき習性をもっている可能性までは否定できません。だって、冬はメチャメチャ寒くて地下まで凍るようなとこですからね。もしかしたら毎年冬に山の上の糞虫は死滅して、翌年牛と共に山の麓がら上がってくるのかもしれません。てきとーなこと言ってますが、謎です。

最後にテスト。
日本のクロツヤマグソコガネとスイスアルプスのマグソコガネSPが混ざってますが、どっちがどっちか見分けられますか?(ヒント:どちらも2頭づつです。)
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今日はここまで。
再見!

 宮本吉雄さんは特定非営利活動法人奈良県青少年文化振興協会の代表理事をなさっていた方ですが、実は私は宮本吉雄さんもその活動も直接は知りません。宮本さんと親交のあった方のfacebookでたまたま「奈良公園のシバとシカとフン虫とヒトについての考察」(小冊子 写真1枚目)の事を知り、糞虫ネタになるかなーくらいの軽い気持ちでいただいたのですが、宮本さんの自然環境に対する思いと危機感が感じられ、その傍観者になることなく活動されている様子に心動かされました(写真2,4枚目)。宮本さんは決して糞虫に詳しいわけではありませんが、その思いと行動力が「ふんコロ昆虫記」の塚本珪一氏や稲垣政志氏、河原正和氏といった糞虫界の大御所を動かし、150名の子供達(保護者等含む)を糞虫ワールドへ、さらにエコロジーを考えることへと導いたのだと思います(写真3,4枚目)。
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 冊子の内容についてはfacebookから引用させていただきます。
「なぜ宮本さんがこの観察会を企画したのかや、観察会をやるために宮本さんが講師のコガネ研の方々との手紙の内容や、参加した後の子供達の感想、子供達の親御さんの感想、そして参加者の中でも年長の子供たちによる奈良公園の自然と糞虫の関わりについて興味深い考察などがありました。・・・また、宮本さん自身が糞虫について詳しく調べており、そのことについても少し載っていました。・・・糞虫の魅力を人にいかに伝えるかという点でとても勉強になりました。」
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 ところで、facebookの主はまだ高校生なんですが、宮本さんが始めた糞虫の観察会について
「一度なくなってしまうと、続けて行くのが困難になりますので、この資料をもとに、来年も観察会を続けて行きたいですね。」と決意を述べています(2017.8.15)。
いやー、あっぱれな若者じゃないですか!
彼が事を起こすときにはイの一番で馳せ参じ、ご奉公したい思います。(まあ、必要とされればの話ですけどね。)


今日はここまで。
再見!
 

 私は、糞虫ネタであれば1時間でも2時間でも壇上でしゃべり続けますが、「糞虫以外で」と言われたとたん、客席に座ります。大抵の「〇〇に詳しい人」とは、そういうものだと思ってましたが、この観察会の渡辺先生にお会いして考えを改めました。土壌動物なんてものは、ありとあらゆる生き物が関係していて、オオセンチコガネ等コガネムシの仲間はもちろん、トビムシ、アリ、シロアリ、ダンゴ虫、ヤスデ、ミミズ、ハタリス、プレーリードッグまで、つまり土壌で生活する生き物全てがかかわっている世界です。その守備範囲の広さたるや、一人でピッチャーとキャッチャーとサードとライトを守るようなもんです。あ、ちょっと違うかな。
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 とにかく、そんな世界を相手に長年研究(写真1枚目)をされてきた渡辺先生を「渡辺先生と自然Wao!」のメンバーが「とにかくすごい。なんでも知ってる。」というのもわかる気がします。先生に頂いた「土壌動物の世界」(著:渡辺弘之 東海大学出版会)(写真2枚目)はおそらく入門書の位置付けかと思いますが、この本を読むと「こんな世界があったのか!」と感嘆しつつ、「よくもまあこんなたくさんの、しかも超マイナーなことを調べるなー」と呆れるという、なんともビミョーな気持ちに包まれました。でもホント、本に書かれている糞虫のページ(写真3枚目)以外は、ほぼ全ての内容が新鮮で興味深く、全くの未知の世界でした。この本、わかりやすいのでおススメです。
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 奈良公園で糞虫が土壌動物の一員として大きな役割を果たしていることは間違いありません。しかし、今回この本を読んで土壌動物の世界の入り口を覗いた者としては、「奈良公園の緑が美しく保たれているのは糞虫たちのおかげです!」なーんて簡単に言い切ってしまっていいのだろうか? その他の生物の働きについてひと言触れなくていいのか? 煩悩がまた一つ増えてしまいましたよ。
 なお、この本の糞虫に触れているページには、我らが谷幸三氏のお名前が出てきます。谷氏が作成した「糞に集まる成虫の出現表」(1975年)も引用されています。

 企業経営者が異業種交流会などで新しいビジネスのひらめきを得るように、今回の土壌動物の世界との出会いの中から私も何か新しい発見のヒントを見出すかもしれません。10/9現在、まだ見出してませんが・・・


今日はここまで。
再見!

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