昨年12月、35年振りに奈良公園での糞虫観察を再開した私を驚かせたマグソコガネ(Aphodius rectus)。
 何百回も通った奈良公園で、私もキヨ氏(私の糞虫の師匠)も一度も見ることのなかった、あのマグソコガネ。
その後、1~3月にかけて何度も芝地の猪糞、さらに鹿糞でも観察することができ、また私のブログを見た方から昨年の10月に採集したとの連絡もあり、「今は奈良公園で普通に採れるんや。」と頭の整理をして落ち着いたところです。前回のブログで紹介した「日本列島フン虫記」(塚本珪一:著、青土社 2003年)の巻末にある「表C 奈良県フン虫リスト」にも、しっかりマグソコガネが記載されていました。マグソコガネは全国いたるところに生息しており、いろんな種類の糞に集まる全くの普通種なので、奈良公園に生息するのは当然のような気もします。

 ですが、何度もしつこいようですが、少なくとも1980年頃までは奈良公園の鹿糞(当時は猪糞がほとんどなかった)では1匹のマグソコガネも見ることができなかったんですよ、ホントに。春日山のほうはわかりませんが・・・。
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 塚本珪一氏の「日本列島フン虫記」P116には、「奈良公園のフン虫の中には理由不明で激減している種があることが不気味である。別の項で述べた、ヤマトエンマコガネ、クロツブマグソコガネ、ニッコウコエンマコガネ、ヒメコマグソコガネなども絶滅に瀕しているようだ。(抜粋)」と記されています。私が奈良公園で活動していた1977~1980年頃は、ニッコウコエンマコガネ(Caccobius nikkoensis)は珍しい種ではなく、春か秋であれば普通に見れた種です。いやー、稀種のヤマトエンマコガネと同列に並べられる時代が来ることは想像だにしませんでしたよ。ホントにいなくなってしまったのか、これからが出現期なので注意して観察したいと思います。
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 奈良公園は開発や農薬散布からは守られており、世界文化遺産の一部である春日原始林に隣接しているため、比較的安定した自然環境が広範囲にわたって保たれている場所だと思います。にもかかわらず、以前は見られなかった種が普通に見られるようになったり、逆に普通に見られた種がほとんど見られなくなったり、なんでだろー??? 何かわかったら、また報告しますね。


今日はここまで。
再見!