この標本箱はごく初期のもので、最も古い標本は1977.8.1となっています。同年8月の標本のなかには、私以外の採集者の名前が記載されているものもいくつかあります。これには理由があって、母校の奈良女子大附属中学の夏休みの課題に昆虫採集があり、これが私が標本作りを始めたきっかけで、提出して秋の学園祭で展示された後は廃棄される友達の標本のいくつかをもらったやつが今も残っているからなのです。おそらく譲ってくれた友達もまさか今もその標本が存在しているとは夢にも思っていないでしょう。
 昆虫採集(標本作り)は生き物を殺すから残酷だ、かわいそうだからやめるべきだ、との意見もあるようですが、生き物を捕まえる過程で生息地を探検し、細い足や羽を広げる過程で細部を観察し、名前を調べる過程で意外な習性学ぶ、大げさかもしれませんが自ら科学する力を伸ばす絶好の機会だと思います。昆虫採集を通して、生き物の命の大切さと、その命をはぐくんでいるものは何なのか、若いアタマでじっくり考える機会になっていればいいな等と、今も続く母校の学園祭での昆虫標本(夏休みの課題)の展示を見るたびに思っています。
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