むしむしブログ

2016年06月

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 1ヶ月ほど前のブログで、だらだらとスズムシのふ化が続いていると書きましたが、先週6/17に3匹の成虫が確認できました。バッタやセミでも同じですが、終齢幼虫が最後の脱皮をした直後の真っ白い羽根には、何か神々しさすら感じてしまいます。
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 美しい音色を奏でるために固く大きくなった前羽(2枚)の下に薄い後ろ羽(2枚)を見ることができますが、スズムシはゴキブリのように空を飛ぶことはできません。オスはメスを取り合って争う頃、メスも腹が卵でパンパンに膨らむ頃迄には、抜け落ちてしまうのです。
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 僅か1ヶ月ほどで1000倍以上に大きく成長するなんて、キノコ程では無いにせよ驚くべきスピードです。ってことで今回の話を終わろうと思ったのですが、ある方から「人間なんか顕微鏡レベルの卵子から10ヶ月程で3kgになることを考えると、たいしたことないんじゃない?」と言われました。んー、確かにそう言われると・・・

 標本箱の虫とそのラベルは私の人生の記録と言っても過言ではありません。今年1月のブログで1977.08の標本が最初のものと書きました。そして、その翌月の9月には、既に毎週奈良公園に通う昆虫少年になって(戻って)いたことをこれらのラベルが物語っています。(1,2,3枚目ナガスネエンマコガネ、4枚目ゴホンダイコクコガネ、5枚目ヒラタハナムグリ)
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 ちなみに虫が貼付けてある台紙やラベルの縦横は7m×14mなので、このナガスネエンマコガネは5m前後の大きさということになります。。
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 中学3年生の夏、毎日練習した野球部も既に引退し、中高一貫のため受験もない、その間隙を突くかのようなむしだ君との出会い。奈良公園という糞虫の聖地が我が家の裏庭(のようなもの)であるという環境。好きなことを一所懸命にやればいいという今は亡き父の信条。自分の中で何かが動き始めた瞬間がこの時だったのではないか、40年近く前のことを振り返りそう思うのです。

 「虫と違うやん!」と叱られそうですが、ご容赦下さい。水泡の中に卵を産む昆虫って、いるんですかね?私は実は昆虫にはあまり詳しくないのでわかりませんが、熱帯魚の世界ではベタでしょう。ホームセンターの片隅のペットコーナーにも小瓶の中でヒレをすぼめてじっとしている赤黒いまたは青黒い小魚です。
 
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 オス同士はもちろんですが、オスメスでもタイミングが合わないと喧嘩をするので注意が必要ですが、泡巣を作らせて繁殖させるのに30cmのプラケース1つあれば足ります。ベタは体内のうきぶくろが迷路のような構造に変化しており、空気から酸素を摂ることができるので、酸素不足にはめっちゃ強いからです。
 
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 オスが一人で泡巣を作り、メスに巻き付くようにして卵を産ませ、メスが失神している隙に卵をくわえて泡の中に入れていきます。100個以上はありますね。オスは飲まず食わずで泡巣の補修をしたり沈む卵を拾い集めて泡の中に戻したり。メスはなんにもしません。
 
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 カマキリのメスは交尾中にオスを食べる事もあるそうですから、それに比べればベタやヒトの♂と♀の関係は良好だと言えるでしょう。。

 都内の昆虫館といえば、真っ先に挙げられるのがここ多摩動物公園内にある昆虫館。見学者が中に入れる大温室では美しい花が咲き乱れ、生きた蝶が乱舞し、デートスポットにもなっています。
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 資金さえあれば、私も生きたカブトムシやクワガタ、そしてメインとなる糞虫が闊歩する大温室を建設したいものです。ただ、彼らの食べ物は花の蜜ではないので、デートスポットにはならないかもしれません。
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 今回は昆虫館がお目当てだったのですが、ちょうど初来日したばかりのタスマニア・デビル(豪州の小型肉食有袋類)を見て、迫力満点の小競り合いをしていたインドサイを見て、人気者のコアラを当然ながら見て、それから昆虫館へ。
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 入り口で早くも糞虫(タマオシコガネ)がお出迎え。期待が高まります。下の写真はオオゴマダラ(蝶)の蛹。金メッキをしたようにピカピカです。蝶は白黒ですし、抜け殻は薄茶色。この金色はモルフォ蝶と同様、光の屈折によるものだそうです。
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 いよいよ本日の目的地、昆虫館本館に入場しようとしたのですが、看板が・・・
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 えーっ、本日は終了!?
入場は16:30までです。そういえば、何か放送していたような気がします。
 日の長い今日この頃、皆様もお気を付け下さい。

 奈良市昆虫糞虫館の設立を念頭に、昨日、文京区千駄木にある「ファーブル昆虫館」を見学してきました。ここは虫好き、ファーブル好きが高じてフランス文学者にまでなった奥本大三郎氏が理事長を勤めるNPO法人日本アンリ・ファーブル会が、三井物産環境基金の助成を受けて運営している昆虫館です。
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 ファーブル会の理事には虫好きで知られる解剖学者の養老孟司氏や昆虫写真家の海野和男氏のほか、㈱小学館社長、㈱資生堂名誉会長、㈱村田製作所会長、和歌山県知事、さらには衆議院議員鳩山邦夫先生のお名前が・・・。こういった各界のそうそうたる面々が支援している昆虫館ではありますが、奥本さんのブログを見ると運営はなかなか大変そうで、一般の方からの寄付やファーブル会の会費(これもほとんど寄付のようなものですが)でなんとか運営費や固定資産税などの税金を賄っているようです。スタッフの方も虫好きのご年配の方がボランティアでやっているような雰囲気でした。
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 ここには数万点の標本が保管されており、4階建ての”ファーブル”昆虫館ですから、珍しい糞虫や糞虫にまつわる面白い展示を期待しがちですが、そういう類のものはほとんどありません。入場料は無料ですが、通常展示されている標本は20~30箱程度で、昆虫館としてはがっかりするほど少ししか展示していないのです。
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 写真のとおりのフロアーですから、昆虫館というよりは生物の実験室か生物部の部室を連想させるものがあります。実際、子供向けに昆虫観察・採集会や標本制作講習会など季節に応じた活動を毎月のように実施しており、昆虫教育、自然教育(「教育」という言葉はちょっと違うかもしれません)について能動的・積極的に動いているようです。こういった活動は、奥本氏や養老氏などを慕う虫好きの方々の協力なしには実現できないものであることは言うまでもありません。奈良市昆虫糞虫館を単なる標本の展示場にしないためになすべき事(「経済基盤の確立」と「同志のネットワーク構築」)の重要性を改めて認識した一日でした。
 
 しかし、お金はないし友達も少ない私はどうしたらいいんでしょう?


【追記】
エエッ、なんとこの「むしむしブログ」が昆虫類カテゴリーで11位!? ウソやろー、信じられん。でも、ちょっと嬉しい。皆さん、ありがと。

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