むしむしブログ

2017年01月

今回も、中国の新疆ウイグル自治区烏魯木斉(ウルムチ)の天池での採集シリーズの続きです。
 日本の糞虫はざっくり言うとセンチコガネ属Geotrupes、ダイコクコガネ属Copris、エンマコガネ属Onthophagus、コエンマコガネ属Caccobius、マグソコガネ属Aphodiusがほとんどで、このOnitis属は東南アジア等には広くいるようなのですが日本では見ることができません。
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 下の写真で見ると中段の左の1匹だけ、何となく他と違って見えたりしませんか?
 (上段2匹はチャバネエンマコガネ、中段右はエンマコガネの仲間、下段2匹はチビコエンマコガネ)
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あれれ?? 
んー、なんか他と同じに見えてきた。もしかしたらOnitis属じゃないかも。エンマコガネ属かもかも。
誰か、海外の糞虫の属レベルの分類の基本を教えてくださ~い。

今日はここまで。
再見!


3日連続ですが、今回も中国で1995年に採集した糞虫のお話です。
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 一昨日ご紹介したチャバネエンマコガネ同様、こいつも中国新疆ウイグル自治区烏魯木斉(ウルムチ)の観光地である天池で、1995年8月18日に1匹だけ採集できた個体です。見つけた時、瞬間的にこれはナガスネエンマコガネ(Onthophagus ohbayashii)の♀や!と直感で同定しました。展足した時も、標本箱に入れた後も、このブログを書き終わる時まで、疑ってませんでした。が、公開する間際になって、ナガスネエンマコガネにしてはやや大きいかな?と気になり始めました。ナガスネは通常5.0~8.5mmですが、中国産のこの個体は8.5mmほどあるのです(糞虫を乗せている台紙のサイズは7.5mm弱×15mm弱)。下の写真では、右側の小さいほうがナガスネエンマコガネ(奈良公園1978.11.4)の♀です。
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 並べてみても、大きさ以外は前胸のボリューム感なども同様に感じられること、保育社の図鑑には生息地は日本、中国となっていること等から、まだこの時点では「ナガスネだろう」と思ってました。しかし、ルーペで頭部のシワを注意深く観察すると「ん!?」となり、日本のナガスネエンマコガネと頭を並べて比較して、最後は「ナガスネエンマコガネではない」との判定を下しました。
これがナガスネエンマコガネ ↓
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これは中国産のエンマコガネの仲間 ↓ 。頭部の隆起した部分の形状が異なっていることがわかりますか?
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 日本のエンマコガネの仲間の♀には特徴のない種類も多いのですが、前胸背板や頭部のシワ(隆起)等をルーペで注意深く見れば、たいてい区別することができます。しかし、中国の天池でとらえたこの黒いだけの何の特徴もない糞虫に該当するものを、日本産コガネムシ上科図説(昆虫文献六本脚)に記載されている中から見つけだすことは私にはできませんでした。
 誰かわかる人がいらっしゃったら、ご連絡をお待ちしております。

今日はここまで。
再見!

 中国で採集した糞虫の標本箱に、米粒どころかゴマ粒にも満たないほどの大きさの糞虫が収納されているのをみつけました!一目でチビコエンマコガネ(Caccobius unicornis)ではないかと察しはつきましたが、ルーペでよく見て確認。間違いありません。原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)(保育社 昭和60年)にも、生息地は本州、九州、朝鮮半島、中国、台湾、インドシナ半島、ビルマ、インド とあります。
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 ただ、採集地が中国北京の西方500kmほどの内陸部でゴビ砂漠の南東のはずれなので、冬の冷え込みは日本の東北以上だと思うのですが、図鑑には「暖地性の種で・・・」とあり、また日本産コガネムシ上科図説でも東日本以北では見つかっていないとされているのが気になります。もしかしたら、これは世界最北の地での採集記録かもしれません。
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 私の技術では、ネグロマグソサイズの展足で既に限界を感じているのですが、小型のチビコエンマコガネは軽く限界を超える小ささです。写真は10倍のルーペを通してデジカメのミクロ設定で撮影したものです。
 奈良公園では、チビコエンマはシカ糞ではなく、イヌ糞で採集されるケースがほとんどです。大阪場公園で糞虫を調べた時、多くのイヌ糞から普通に採集できたという記憶もあります。
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 ラベルは、採集日が1995年7月14日、採集地が中国内モンゴル自治区包頭(パオトウ)となっており、お仕事で中国に行った時のようですが、何故こんな辺ぴなところ、しかも五当召という由緒あるチベット仏教寺院しかないような観光地で糞虫採集していたのか、今となっては、全くわかりません。チベット仏教寺院の街ではイヌを見かけることが多いので、このチビコエンマもイヌ糞から得たものと思われます。
 実は、五当召から町に戻る時に大変なことになったところを地元の親切なおじさんに助けられたという心温まる有名な秘話(?)もあるのですが、それはまた別の機会に。

今日はここまで。
再見!


 これは、昨年12月に奈良公園でマグソコガネ(Aphodius rectus)を初めて採集した快挙に続く、日本糞虫史に残る出来事かも。

 チャバネエンマコガネ(Onthophagus gibbulus)は、名前のとおり上翅が茶色というか黄土色のエンマコガネなのですが、愛用の図鑑「日本産コガネムシ上科図説」(昆虫文献六本脚)でナント星4つの「希種」として紹介されているのです。つまり、私みたいなずぼらな素人愛好家が採集できるようなもんではないくらい珍しい種類ということ。採集どころか、私はこれまで写真でしか見たことがなかったのです。ちなみに「国内では、北海道北部からのみ知られている。」らしい。
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 で、私がこの超珍しい糞虫をどこで発見したかというと、私の標本箱の中からなんです。しかも大小雄雌計20匹も。衝撃的でしょ?採集日は全て1995年8月18日、採集地は中国新疆ウイグル自治区烏魯木斉(ウルムチ)にある観光地の天池。なんと、今から22年も前にこの貴重な糞虫を私は手に入れていたのです。天池は、高原に大きな湖があって、周囲の草原に白いヤギ(だったと思う)がたくさん放牧されている風光明媚な観光地だったと記憶しています(写真が見つからない・・・)。当時、仕事で中国に行ってましたが、なぜこんな辺ぴな地方の観光地にいるのか、しかもなぜ糞虫採集をしているのか、そのあたりは全く記憶が抜け落ちてわからないのですが、とにかくチャバネエンマコガネやマグソコガネの仲間(未同定)を標本箱1つ分、天池で採集しています。
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 糞虫はまだまだ生態や分布等わからないことが多く、★★★★(希種)の表示も「日本における現時点での」著者らの見解なので、外国では事情が全く異なっているのは当然なのです。原色日本甲虫図鑑(Ⅱ)(保育社 昭和60年)では生息地は、北海道(北部)、サハリン、朝鮮半島、中国東北部、シベリア、中央アジア、小アジア、ヨーロッパ となっているので、地球規模でみると全くの普通種と考えたほうがいいような気がします。ちょっと残念ですが・・・。
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 でも、日本でこのチャバネエンマコガネの標本を実際に見ることができる場所はほとんど無いと思われるので、なら町糞虫館がオープンしたらぜひお越しいただき、じっくりとご覧いただければと思います。

今日は、ここまで。
再見!
 
 

 南都銀行のビジネスコンテスト「サクセスロード」では、あえなく一次予選敗退した「なら町糞虫館」設立プロジェクト。若干の修正を加えて挑んだ「ビジコン奈良2017」では、あれよあれよという間にセミファイナルまで勝ち残り、先日1/21には広いセミナーホールで7人の審査員を前に壇上でプレゼンをいたしました。当日発表された順番は、2番手。本命と目される300年続いた醤油醸造元復活プロジェクトの前です。トップバッターのクラフトビール創業プランの若者はかなり緊張しており、プレゼンの途中で時間切れ、強制終了(制限時間の6分を超えると強制終了となる)。かわいそうになーと思いながら、壇上に登る私。学生時代の奈良公園でのエピソードを交えた自己紹介でつかみはバッチリOK、順調な滑りだし。プランの説明も、2日間で作った間に合わせのパワポなんかほとんど見ずに熱弁をふるっていたら、いきなり「チーン」。5分経過の鐘の音。え?あと1分なの???
 終了後の審査員の質問にも力強く回答したものの、まあお粗末なプレゼンでした。その後の出場者のパワポの作りこみや写真の綺麗さ、提出資料の量などもケタ違い、時間切れも皆無。私だけでしたよ、写真も図表もない、ただ字があるだけの9枚。しかも、5枚目でチーンなんてのは。
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 それでも、「残念ながら今回は、ご期待にそえない結果になりました・・・」との運営事務局からのメールを受け取るまでは、プラン的には秀逸なのでファイナル行くんちゃうかなぁ~、ぐらいの自信を持ってたんですがねー、やっぱダメでしたねー。
 いつも私のことを心配してくれるご隠居様の言葉を思い出しましたよ。 「とんでもない失敗するのは、得意なことをするとき。苦手なことをするときは慎重にやるから大きな失敗はしない。得意なことの時こそ、気をつけないといけない」。さすが厳しいビジネス界を生き抜いた方の言葉だけのことはありますね。

今日はここまで。
再見!
 

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