むしむしブログ

2017年04月

 「なんと(710年)見事な平城京」でお馴染みの奈良の平城旧跡。近年、朱雀門や大極殿が復元されましたが、ここはいまだに甲子園球場が何十個も入るような広大な野原のままで発掘調査を待っている稀有の場所であります。さすがに京都に都が移ってから寂れ、1000年もの間野原だった。とは言いませんが、100年以上は今の姿とあまり変わりはないのではないでしょうか。で、ここは犬の散歩道になっていて、犬糞持ち帰り運動が浸透した現在においても、多くの犬糞に出会る場所なのです。 ・・・と想像して、4/27にさっそく調査に行ってまいりました。木はまばらにしか生えていないので、明るい場所で犬糞に集まる糞虫がかなりいるのではないか、という仮説です。
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 結論から申し上げますと、1匹の糞虫も見つかりませんでした。予想通り犬糞はいくらでもあったのですが、季節が悪いのか探し方が悪いのか、ハエ意外に虫は来ていませんでした。5km離れた奈良公園とは山や林でつながっているものの、ここは糞虫の都ではないようです。平城旧跡は野原に見えますが実は大部分が湿地帯で、夏になると葦が生い茂るようなところなのです(なので貴重な木簡等が分解されることなく埋まっているらしい)。1回目の観察なので何とも言えませんが、梅雨時などは水に浸かってしまうので、糞虫には住みづらい土地なのかもしれませんね。
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今日はここまで。
再見!

 この数日、春らしい日が続き、ついつい奈良公園に行ってしまいます。この時期、いろんな種類の糞虫たちが現れるので、本当に楽しいのです。4/22はカドマルエンマコガネ(Onthophagus lenzii)、ナガスネエンマコガネ(Onthophagus ohbayashii)、4/24はマエカドコエンマコガネ(Caccobius jessoensis)、ウスイロマグソコガネ(Aphodius sublimbatus)と今年初顔合わせとなりました。マグソコガネ(1枚目の写真)やネグロマグソコガネなど冬の糞虫も数は減っていますがまだまだいるので、おそらく今の時期が奈良公園で一番多くの種類の糞虫たちと出会える季節なのではないでしょうか。
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 それにしてもルリセンチコガネが多いのには驚きです。24日は気温が24℃まで上昇したせいか、糞に集まってくる奴以外に歩行中のルリセンチコガネと20匹以上出会いました(2枚目の写真)。場所によっては踏みそうになるくらい歩いています。クロツヤマグソコガネ(Aphodius atratus)も明るい芝地(3枚目の写真)から薄暗いアセビ林の中まで、至る所で見ることができ、日本産コガネムシ上科図説では★3つ(準稀種)で「本州では激減しており、分布は局所的になっているが・・・」と記載されているのが不思議なくらいです。でも、もしかしたらごく短期間のうちに姿を消してしまうのかもしれません。注意しながら観察を続けたいと思います。
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 それにしても、まだクロツブマグソコガネには出会えていません。近年、林の中が乾燥気味になっているように感じられるのですが、そのせいで生息数を減らしているのでは? なーんて、探すのが下手なことを棚に上げて環境悪化のせいにするのはいけませんね。でも、売上低迷を景気悪化のせいにする経営者の気持ちがよくわかります。
 
 先ほどブログランキングを見たら、なんとこの「むしむしブログ」が昆虫類部門8位!ついにトップテン入りを果たしました。糞虫好きな人って結構いるのかなぁ、なんて思ってしまいます。実際のところ、どうなんでしょうね。


今日はここまで。
再見!
 

 人糞に集来した糞虫は、そのほとんどが飛来しましたが、糞に直接着地した個体はニッコウコエンマコガネ1匹だけでした。まあ、その他のニッコウコエンマコガネとクロマルエンマコガネの計20匹も糞の半径0.5m以内に着地しているのでそんなもんでしょうが、ルリセンチコガネは1m以上離れたところに着地し、そこから歩いてくることも多かったです。翅音と色でルリセンチコガネの飛来を認識するのですが、糞を凝視する私の視野の範囲内には着地ぜず、落ち葉がかさこそする音で徐々に近づいて来るのがわかるのです。触覚をピーンと伸ばしながら。もっと近くに着地すればいいのに、ことごとく離れたところに着地するのには理由があるのでしょうか?まあ、確かにエンマコガネやコエンマコガネに比べると手足がしっかりしていて、歩くのを苦にしている様子はありませんし、ニオイですからそれ以上正確に嗅ぎ当てるのは難しいのかもしれません。目では糞の場所がわからないのでしょうか?あるいは、私の姿を見つけて警戒していたのかもしれません。

 24時間後に再度糞を見に行った時のことを前回のブログに書きましたが、そのまた翌々日にも念のためにもう一回見に行きました。下の写真が、その時のものです(丸太に座って観察してました)。糞はきれいに影も形も無くなってました。ニオイとルリセンチコガネたちは、まだ少し残ってましたけど・・・。
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 今回の観察と直接関係はありませんが、緑の網はシカの植生への影響調査のための仕切りで、網の内側にシカが入れないので下草が青々と茂っています。森林ガイドの方は皆さん「奈良公園周辺の山は下草や若木が無くなって景色がすっかり変わってしまった」と口を揃えておっしゃいます。犯人はもちろんシカなのですが、なかなか自然のバランスというのは難しいものです。(やや短絡的ですが)他府県なら「間引き」や「駆除」が検討されるのでしょうが、奈良公園のシカは神の使いですからそんな話はマジでタブーです。
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ジビエール五条

 ただし、奈良公園からある程度離れたところの普通の鹿は駆除されているらしく、ジビエ(主にシカとイノシシ)を専門に扱う食肉処理加工施設「ジビエール五條」が2015年の秋に奈良県五條市に完成しています。


今日はここまで。
再見!

 人糞は、動物の糞としては小さくはありませんが、ルリセンチコガネとセンチコガネが合わせて34匹が一カ所に集まると混み合って、種属間や個体間で争いが起こりそうなものですが、お互い鉢合わせしても何事もなかったかのようにやり過ごしていました。喧嘩するどころか、ルリセンチコガネは4組のカップルが誕生し、オスがメスの後ろに回ったかと思うとそのままメスの上に乗っかってました。
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 秋の個体に比べ春の個体は擦れてツヤが無く、フセツもかけていることが多いので、ルリセンチコガネは成虫で越冬し、春に卵を産んで夏を幼虫で過ごし、秋に成虫になると考えていましたが、目の前で次々にカップルが誕生するのを目の当たりにして、自説の自信を深めましたよ。でも、実際のところはどうなんでしょうね。既にどなたかがルリセンチコガネを飼育して成育サイクルが明らかになっているのであれば、ぜひ教えてくださいね。私は観察結果から、いろいろ想像して遊んでいるだけの空想家なので。


今日はここまで。
再見!

 タイトルがちょっと変ですね。人糞を5時間観察したのではなく、人糞に飛来する糞虫の様子を5時間にわたって観察したということですから。念のため。
 4/19、奈良公園のすぐ南の旧街道沿いで、状況から判断して新鮮この上ない人糞とめぐり合いました。日中の気温は20℃、一日中晴れとの天気予報だったので、急遽その場に座り込み11時10分に観察を開始。結局、16時10分に飢えと寒さのため(上着とか飲食物を何も準備してなかったので)、観察継続を断念しました。

 集まった糞虫の中で一番多かったのは、ルリセンチコガネの24匹。その他、センチコガネが10匹、ニッコウコエンマコガネが10匹、クロマルエンマコガネが9匹でした。やや明るめの林の中でしたが、マグソコガネの仲間は1匹も来ませんでした。50cmほどの距離でずっと見ていたのですが、小さな虫が飛来するたびに「ん、マグソコガネか?!」と20cmの距離まで身を乗り出すのですが、すべてハネカクシでしたねー。奈良公園は今ヌバタママグソコガネが全盛で、ネグロマグソコガネやクロツヤマグソコガネもたくさんいるのですが、こいつらは人糞に興味がないのでしょうか?マグソコガネの仲間は夜に活動するのかと考え、翌日11時頃に再度見に行ったのですが、種類に変化はなく、やはりマグソコガネの仲間は全く来ていませんでした。
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 5時間も何十匹もの糞虫を観察すればいろいろなことが発見があり、同時にいろいろな疑問がわいてくるのですが、とりあえず今日は「ルリセンチコガネの糞引き」写真でお楽しみください。糞塊から糞の一部を削り取り(1枚目)、前足で抱えて後ずさりしながら少し離れたところまで運び(写真2,3枚目)、木陰で落ち着いて食べる(写真4枚目)様子が見て取れます。


今日はここまで。
再見!

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