むしむしブログ

2019年02月

 謎の卵はまだ孵化しませんが、その卵を発見した容器から孵化後間もないと思われる幼虫を発見しました。幅0.4mm、全長3mmくらいでしょうか。なんとかマグソコガネ(Aphodius属)の卵を見てみたいと思い、一日おきに容器内の糞塊をほじくってルーペ越しに糞と顔を5cmの距離まで接近して30分ほど探すのですが、これまで謎の卵以外にはそれらしいものは見つけられずにいました。
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 今日も卵は見つけられませんでしたが、極小の幼虫を見つけました。非常に弱々しく、以前見た孵化して間もない(と思われる)幼虫と同サイズです(写真1,2,3枚目)。ちなみに、針の太さは、3本並べると1.0mmを少し超えるので、0.36~0.38mmくらいでしょう。
 いつの間に交尾をして、いつの間に、どこに卵を産んでいたのでしょう?飼育を始めて1ヶ月が経過しているので、この容器の中で産卵・孵化したことに間違いはありません。クロツヤマグソコガネに比べてはるかに小型の冬の糞虫達は、糞の中で密かに二人だけで交尾をするのかもしれません。なんだか、少しロマンチックな感じもしますが、まあウンコの中ですからね。冗談抜きで、ネグロマグソコガネ等はシカの粒糞から2匹出てくることが多いような気がしているのです。これまでは、単に1匹目が苦労して穴をあけて糞の内部に侵入した場所から2匹目が楽して内部に入り込んだのだろう、くらいにしか思っていなかったのですが、もしこの2匹が高い確率でオスとメスであれば、異性を求めて粒糞の内部に侵入し、糞の中で交尾をしている可能性が高まります。ただ残念なことに、ネグロマグソコガネの雌雄の区別は老眼の始まった私にはちょっとムリそうです。だって、全長3mmの虫の前脚の先端についている棘が僅かに♀の方が細い、と言われてもねー。

今日はここまで。
また明日!
 

2/24 晴 10:00〜12:00 奈良公園 
同行者:中谷調査員
環境Ⅱ(芝地と林の境目)
 湿った朽木 クロツツマグソコガネ4
環境Ⅲ(明るい林) 
 湿った朽木 ヒメツツマグソコガネ1
        クロツツマグソコガネ1
 シカ糞塊中新 ネグロマグソコガネ10+
        チャグロマグソコガネ5+
 シカ糞粒中新 ネグロマグソコガネ5+
        チャグロマグソコガネ5+
環境Ⅳ(林)
シカ糞塊新 オビモンマグソコガネ2
       ネグロマグソコガネ10+
      チャグロマグソコガネ10+
 シカ糞粒中古 マグソコガネ属の幼虫1
 
ルーペがなかったので、ミゾムネマグソコガネもチャグロマグソコガネにカウントしていますが、相当数が含まれています。今日はイヌ糞ノーチェックなのでセマダラマグソコガネを観察できませんでしたが、冬に奈良公園でよく見ることのできる6種類を全てカバーできました。満足です。あ、マグソコガネ(Aphodius rectus)を見てませんでした。しまったぁ!
それにしても奈良公園ってすごい場所だと思いませんか?ほんの2時間で8種類(今日は6種類でしたが)もの糞虫に出会えるんですよ。まさに糞虫の聖地ですね。

今日はここまで。
再見!



 

 冬の糞虫を飼育している糞塊からたまたま発見した白い卵。すでに1週間が経過しましたが、卵が大きくなったり、色が変わったりといった、大きな変化は確認できません。まあ、発見当初は透明感のあるプルプルしたゼリーのような感じでしたが、若干みずみずしさはなくなってきたようです(写真1枚目2/14、2枚目2/18、3枚目2/21)。IMG_8492-1
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 見つけてからもそのままにしていたら、成虫が歩き回って踏んだりかき回したりしたらしく、5つあったうちの1つしか残っていなかったので、今は別容器に保護しています。相変わらず、ほかに新たな卵は発見できませんし、交尾する様子も観察できていません。
 セマダラマグソコガネはシカ糞では落ち着かないのか、糞の表面でウロウロする姿が数頭観察できるのですが、ネグロマグソコガネは糞塊の中にしっかり潜り込んで、元気に暮らしています。しかし、夜になると動き出して糞塊の外にも出るようで、容器のふたの隙間にはネグロマグソコガネが毎回10匹以上挟まっています。

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 奈良公園から連れて帰った幼虫のうちの1匹は、体内の糞をすべて排泄したらしく、全身が白くなっていました(写真4枚目)。蛹になる日も近いのかもしれません。

今日はここまで。
また明日!
 

 1ヶ月ほど前、マグソコガネの仲間の幼虫と共に卵の殻と思われるものが見つかりました。野外から持ち帰った糞の中から見つけたものだったので、それ以上のことはわからなかったのですが、今度はセマダラマグソコガネ等を飼育している容器の糞塊の中から、こんなものが出てきました(写真1、2,3枚目)。
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 卵は非常にみずみずしく、産み落とされたばかりのように見えます。容器の中には、セマダラマグソコガネ、ネグロマグソコガネのほかチャグロマグソコガネも少し入っています。どれが産んだのかはわかりませんし、そもそも糞虫の卵かどうかも自信がありませんが、飼い始めて2週間ほどたっているので、採取した糞の中に始めからあったとは考えにくいと思います。糞も土も粉々にして確認はしてませんが、糞虫以外に目立った生き物はいないと思われます。糞虫の様子は、イヌ糞好きのセマダラマグソコガネはやはりシカ糞はお好みではないらしく、糞に潜り込まずに歩き回っていることが多いです。ネグロマグソコガネは幸せそうに暮らしてますが、身体に対して卵が大きすぎるような・・・。そもそも、クロツヤマグソコガネだと産卵前にあちこちで交尾をしていましたが、こいつらは交尾をしている姿がまだ1組も観察できてません。あちこち掘り返してみましたが、同じような卵も見つかりません。

 んー、たぶん違うんでしょーねー。あまりムシっぽくない卵ですもんね。あまり期待せずに観察を続けます。

今日はここまで。
再見!

 日本最大の糞虫は、もちろんダイコクコガネ(Copris ochus)。ガッチリした身体に太いツノ。まさにキングオブ糞虫です。残念なことに、近年はイベルメクチンとかいう駆虫剤の影響もあり各地で激減し、近畿では大阪府で絶滅したほか、京都や兵庫でもほとんど見る事ができない糞虫になってしまいました。さて、地元の奈良県なんですが、『日本列島フン虫記』塚本珪一:著)の巻末にある「表C 奈良県フン虫リスト」(写真1、2枚目)を見てのとおり、これまで生息が確認されていません。ダイコクコガネは牧場のイメージが強く、シカだらけの奈良公園とは相容れませんが、50年くらい遡ればまだあちこちの農家で牛が飼われていたようですし、現在でも牧場があります。でも、これまで奈良ではダイコクコガネは見つかっていないというのが定説でした。これまでは、です。
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 先週、虫好きの人たちの集まりで、昔は奈良にもダイコクコガネがいたのではないかという話を耳にしました。詳細は不明ですが、たしかに55~60年前には『日本列島フン虫記』(塚本珪一:著)P142のリスト(写真3枚目)にあるとおり、ダイコクコガネは京都や大阪にいたわけですから、奈良にいたとしても不思議はありません。いると思って探すと、もしかすると見つけることができるかも。『日本産コガネムシ上科図説』(コガネムシ研究会:監修)によると、「・・・新鮮な牛糞から見つかることが多いが、シカ糞に依存している個体群もある。」とのことですから、この春以降、ヒメコマグソコガネクロツブマグソコガネに加えてダイコクコガネも探してみます。大きな角がカッコいいダイコクコガネとルリ色に輝くオオセンチコガネのツーショットが見られるかも、なんて考えるだけでワクワクしちゃいます。

今日はここまで。
また明日!

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