むしむしブログ

2019年05月

 コブナシコブスジコガネの幼虫なんかそうそうお目にかかれるものではないので、長野から派遣されて私の目の前にいるこの小さなイモ虫(写真1枚目)を前に、その食性や生息環境、一生などについて空想して楽しんでいます。『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)には、「(成虫は)稀ではあるが羽毛に集まることが観察され、幼虫も羽毛を食べて育つことが確認されている」とあるんですが、んー、幼虫は獣糞の周りにいて、羽毛より獣糞の方が好きなように思われます。
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しかし、よく見ると幼虫の周りには細かい羽毛の破片が散乱しているので(写真2、3枚目)、実はしっかり羽を食べている可能性も否定できません。一度、幼虫を鳥の羽の上に置いてみたのですが、かじりもせずにそのままフレークの中へと潜っていってしまいました(写真4枚目)。
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今日はここまで。
また明日!

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 コブスジコガネの仲間はシカ糞には来ないので、生きているのを見る機会がほとんどなかったのですが、この2週間毎日鳥の羽毛を食べているコブスジコガネを眺めて暮らしています。長野の糞虫好きの方から遣わされたコブナシコブスジコガネなんですが、ホントにコブがないですねー(写真1,2枚目)。あと、ヒメコブスジコガネ同様、シュコシュコと鳴きます。というかカワイイ音を出します。コブスジコガネの仲間は全員センチコガネみたいに音を出すのかもしれません。コブナシコブスジコガネは「日本産コガネムシ上科図説」(監修:コガネムシ研究会)で★4つの希少種ですが、長野のこの方のフェイスブックを見ていると、虫達の習性を熟知すれば、友達に会いに行くみたいに、見たいときに見ることができるようです。なので、毎日観察しているんですが、まぁ凡人がボンヤリと眺めるだけではダメみたいです。
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 飼育容器には少ししっとりとした赤みのある朽木のフレークに獣糞と鳥の羽を混ぜて満たしてあり、コブナシコブスジコガネは、硬めのフェザーもふわふわのダウンも、どちらも気にせず食べるようです。私は今年ヒメコブスジコガネを獣糞の下から2回計3匹見つけてますが、ここで一緒に飼ってるヒメコブスジコガネも羽を食っており(写真3枚目)、今のところどちらも好んで獣糞を食べている様子は観察できていません。でも、よく見ると獣糞(黒いところ)にはこんなのが・・・(写真4枚目)
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 鳥の羽以外に、タヌキの毛もいただいているので、タヌキや奈良公園のシカの毛を食べるか試してみようと思います。でも余計な事をして死んでしまったら悲しいしなぁ…

今日はここまで。
また明日!

 いやー、素晴らしい!龍谷大学の卒業論文でオオセンチコガネの体色の謎に迫る研究をした学生さんが、その後、大阪府大大学院の生命環境科学研究科でその研究を継続、オオセンチコガネの飼育を続け、なんと先日「トンネルに糞を詰め込んで産卵しました」との連絡が。(写真1、2枚目)
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 つまり、昨年9月頃に採集したオオセンチコガネを越冬させて、この春に産卵に至ったということです。

 卒業論文では、体色の違いは交尾の相手選びには影響しないことを確認されていますが、今回のこの卵の両親は共に赤系統なので、遺伝により体色が決まるのであれば、F1は赤系統になる可能性が高く、ならなければ謎が深まるってところでしょうか。別のアプローチとして、孵化した幼虫を奈良公園のシカ糞で育てるっていうのはどうでしょう?もしルリ色の成虫になれば、体色はその地域の糞の成分に影響を受けるということだし、逆に幼虫時代の食べ物は体色に影響しないとの結論が得られれば、それだけでも体色に影響する要素が大きく絞られるのではないでしょうか。飼育ケースは複数個あるとのことですので、オオセンチコガネの卵がまだ他から見つかれば、自由な発想でいろんな実験にトライしていただきたいものです。なお、「ご意見・ご質問・アドバイスがございましたらぜひお願いいたします。」とのことですので、皆様からのコメントやメールをお待ちしております。
 あ、そういえば昨年コガネムシ研究会の総会でオオセンチコガネの産卵に成功した小学生の女の子が発表してましたが、その後もオオセンチコガネを飼育しているようです。 ブログ名:「虫のあれこれ。時々書評。」
→ http://fabreimomushi.hatenablog.com/entry/2019/02/07/203716

今日はここまで。
また明日!

 先週末、最終的に100名を超える参加者を集めた第9回奈良公園糞虫観察会は、お天気に恵まれ、糞虫も次々に見つかり、本当に楽しい観察会となりました。この観察会は、今は亡きNPO法人奈良県青少年文化振興協会の故・宮本吉雄氏の発案で始まり、その思いを引き継いだ青山英玄氏が開催しているものですが、『ふんコロ昆虫記』や『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』といった糞虫好きの方必携の書の執筆や監修に携わるような方々(ほとんどの方がコガネムシ研究会に所属)が大勢応援に駆けつけ、子供たちの楽しい質問から上級者の突っ込んだ質問まで丁寧に対応されていて、とても満足度の高い観察会になっていたと思います。多くの方がお目当てのルリセンチコガネを自分で見つけることができたようで、あちこちで歓声が上がっていましたし、夜行性で穴に潜んでいるため見つけにくいゴホンダイコクコガネ(しかも立派なツノのあるオス)も終盤には見つかるなど、大変に盛り上がりようでした。
 
 私の把握している限り、見つかった糞虫は次の通り。たった2時間でこんなに多くの種類の糞虫に出会えるなんて、奈良公園はやっぱりかけがえのない「糞虫の聖地」なんですね!
オオセンチコガネ(ルリセンチコガネ)
センチコガネ
③ゴホンダイコクコガネ
④カドマルエンマコガネ
⑤クロマルエンマコガネ(フトカドエンマコガネかも)
⑥ナガスネエンマコガネ
⑦マエカドコエンマコガネ
⑧ニッコウコエンマコガネ
⑨チビコエンマコガネ
クロツヤマグソコガネ
⑪コツヤマグソコガネ
⑫ウスイロマグソコガネ
⑬オビマグソコガネ
⑭ヌバタママグソコガネ
クロツブマグソコガネ(観察会終了後)
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 で、この糞虫観察会の様子が5/25(土)の奈良新聞にバッチリ掲載されました(写真1枚目)。毎年糞虫の聖地・奈良公園で開催されており、100人を超える多くの方が参加するこの「奈良公園糞虫観察会」は、おそらく日本で最も糞虫を愛する人たちが、日本で最もたくさん参加する、日本で最も楽しい糞虫観察会のひとつだと思います。次回は記念すべき10回目ということもあり、さらにスゴイことになるかも。今から楽しみにしていてくださいねー。今年参加できなかった人も、来年はぜひ参加してみてください。

今日はここまで。
また明日!

 先日、長野県の大の糞虫好きの方からシナノエンマコガネ(Onthophagus bivertex)をたくさん送っていただきました。奈良公園ではお目にかかれない珍しいエンマコガネですが、ご厚意により飼育する機会を得ることができました(写真1枚目)。
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 まだ飼い始めて1週間ほどですが、なぜか毎日何匹も死んでしまいます。まだ暑くもないし、新鮮なシカ糞を与えているのですが、ダメです。元気な奴は体に土もつかずキレイですが、弱っている奴は汚れていて動きもぎこちなく、救いようがありません。室内で飼っているので、日陰で風通しが悪いのが良くないのかも。
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 そんな中、卵を発見!(写真2、3枚目) でも1つだけしか見つからず、粉々に粉砕されたシカ糞から見つかったのでちょっと怪しいのですが、わかる方がいたら教えてください。虫の状態も落ち着いてきているはずですし、少しでも多くの虫たちを長生きさせることができれば、繁殖も夢ではないと考えています。

今日はここまで。
また明日!
 

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