むしむしブログ

2020年01月

 先週土曜日、見覚えのある顔がならまち糞虫館にやって来ました。娘さんが糞虫好きで、父親も虫好きという、理想の親子。しかし、奈良公園に3度行っても冬のマグソコガネの仲間が全然採集できないとのこと。プラケースいっぱいのシカ糞を糞虫館まで持ってきて「こんなに見たんですけど、いないんですぅ」。 結構いい感じのシカ糞だったので、一匹ぐらいいるだろうと思ってケースの糞を探ること10分。ホントにいませんでいた。
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 翌日の午前中、この時期にネグロマグソコガネ(写真1,2枚目)やチャグロマグソコガネあたりがいないわけないやろー、なんて言いながら、ちょこっと奈良公園に行って見てきました。いました。普通に。冬に活動するマグソコガネの仲間は小型で、しかも糞にうじゃうじゃ入っているわけではないので、糞虫が糞に入り込んだ穴(写真3枚目)や食べカスを見つけて、そこをしっかり探すことがポイントかな。まだまだ春まではいますから、再度チャレンジしてみてくださいねー。
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 ちなみに、12月の終わり頃に来た九州の学生さんは、ネグロマグソコガネ、チャグロマグソコガネ、ミゾムネマグソコガネ、オビモンマグソコガネ、クロツツマグソコガネ、ヒメツツマグソコガネを見つけてました。真冬に3時間探しただけで6種類の糞虫に会えるなんて、奈良公園って本当に天国のようなところです。

今日はここまで。
また明日!

 夏の間、たくさんの来館者の目の前でシカの糞を丸めてコロコロと転がしてくれたアフリカのフンコロガシ。糞玉作りを観察できただけでなく、大きな卵幼虫まで実際に見ることができで本当に楽しかったです。秋の深まりとともに動きが鈍くなり、5匹が次々に地表で息絶えていったので、標本にしました。あと5匹いるはずなので、赤外線ランプで少し保温し、やや乾燥気味の状態を保っていました。ただ、部屋の最低気温は5℃近くまで下がることもあり、赤外線ランプ程度では越冬はムリだろうと思っていたのです。ところが今日、来期に向けて飼育水槽をセットしなおそうと土を掘り返したところ次々にタマオシコガネが姿をみせ、ランプ照射で20℃くらいまで上げてやると5匹とも元気に動き出しました!(写真1,2枚目)
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 とはいうものの、コイツらは昨年7月7日の大阪ㇾプタイルで購入(写真3枚目)した個体で、毎週糞玉を転がしては取り合いをしてバキバキと喧嘩をしていたので手負いの個体が多く、春まで生きているのか、春になって気温が上がってきたときにまた糞玉を転がすのか、予断を許しません。アフリカの自然状態では雨期の間に子孫を残し、親は乾期に死に絶えると思っていたので、今回5匹とも生きていたことに驚いています。
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 この後、しっかり保温した環境で飼育して活動を再開させるべきなのか、再び埋め戻して春を待つべきなのか、どっちがいいんでしょう? いずれにしてもあと半年生きて無事7月を迎えることができれば、フンコロガシの成虫は1年以上生きる可能性がある、と言えそうです。

今日はここまで。
また明日!

 むし社の「糞虫本の三部作」なんて勝手に書いてしまったので、3冊目の『日本のダイコクコガネの仲間』を紹介しないわけにはいきませんよね。
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 この本は2019年6月に出版されたばかりですが、三部作の中では一番人気が出そうな本だと思っています。というのも、糞虫好き以外の人は、ダイコクコガネの仲間が地下で密かに糞玉を作っているなんて夢にも思っていないので、この本のきれいに丸められた丸いウンコの写真に驚嘆の声を上げ、そしてなぜか笑います。丸い糞玉には、日本人の心に響く何かがあるように思われます。
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 糞虫館の無料館内ツアー(私の手が空いた時にやっている簡単な説明)の時も「日本の糞虫約160種類の99%は糞を転がさない」と聞いてテンションが下がる来館者が多いのですが、すかさず「でも、ダイコクコガネの仲間は地下で見事な糞玉を幾つも作る。しかも母親が糞玉の世話をする。」という話をして、テンションの回復を計ります。特に女性には好評ですね。
 ダイコクコガネは、かつてはあちこちの牧場で普通に見られた日本最大の糞虫なのですが、今ではすっかり姿が見られなくなり、絶滅寸前と言われている地域が増えています。なぜか? この続きは、糞虫館でこの本を手に取ってご確認ください。

【参考】むし社HPにあるこの本の紹介
http://mushi-sha.life.coocan.jp/nihon-no-daikokukogane-no-nakama.html

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 オリンピックイヤーの年明け早々、うれしいお知らせです。むしむしブログがライブドアブログランキング(昆虫類)604件中の第2位にランクインしました!でも、今この瞬間にも3位になっているかもしれません。昨年後半は結構ブログの更新をさぼっていたので、ランキングもあまり見ていなかったのですが、昨日覗いてみると大きな写真で2番目の位置に『むしむしブログ』があったのです! ランキングは急に上がるものでもないので、更新されていないときでもちょくちょく覗いてくれてた人がいるのでしょう。ありがたいことです。1位は不動のAnt Roomさんの『ありんこ日記』。内容は濃く、写真は美しく、文章は読みやすい、の三拍子そろった史上最強の昆虫ブログです。本当に雲の上のような存在で、まさに私のブログとは雲泥の差なんですが、今回2位になれたのはたくさんの糞虫好きの方々のおかげ以外には考えられません。
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 2018年7月に糞虫館がオープンした翌月6位になり、10月に5位、オープンして半年後の2019年1月に4位から3位になりましたが、その後は3~5位をうろうろ、さぼると圏外っていう感じでした。基準がよく分からないランキングに一喜一憂するのはバカらしいけれど、がんばって書いたブログが上位にランクインしているということは、それだけ多くの人に糞虫の素晴らしさを伝えることができているわけだから、そー考えるとやっぱりすごく嬉しいですね。書き始めてから1,500日、約430回投稿してますが、読み返すとホント色々なことがあったなーと思います。500回投稿したら、記念に本なんか出したいですね。まあ、内容には学術的な価値はほとんどないだろうし、間違いや想像があちこちにあるので、ジャンルは「フィクション」かな!?

今日はここまで。
また明日!
 

 むし社の糞虫3部作の第2弾が、ちょうど今から3年前に出版されたこの『日本のセンチコガネとその仲間』。センチコガネは、オオセンチコガネに比べると色彩が地味で、しかもどこにでもいる種類なので、オオセンチコガネの陰に隠れがちでした。しかし、日本各地の色彩変異を眺めると、オオセンチコガネに劣らず様々な色彩に彩られていることがわかります。21世紀になって九州の通称「レインボーセンチ」が広く知られるようになると、センチコガネに対する注目が一気に高まったことは記憶に新しいと思います。
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 「レインボーセンチコガネ」というのは俗称で、正式に図鑑に載っているわけではありませんが、九州の一部の地域では体色が見る角度によって異なり、七色に輝くセンチコガネが生息しているのです。恐らくそこには昔から七色に輝くセンチコガネは生息していたけれど、地元の人はそれが当たり前なので何とも思ってなかったのかもしれません。それをどこかの虫好きが「ややっ⁉ なんだこの美しい虹色は!奈良のルリセンチコガネに勝るとも劣らない美しさだ。よし、レインボーセンチコガネと名付けよう。」と言ったかどうかは知りませんが、とにかく「レインボーセンチ」はブレイクした(?)のです。
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 この本にはセンチコガネ科だけではなくムネアカセンチコガネ科やアカマダラセンチコガネ科の珍しい糞虫もたっぷり綺麗な写真で紹介されています。たまたま何かの幸運が重なったときにしか採集できないムネアカセンチコガネやアカマダラセンチコガネ等が綺麗に可愛く、しかもしっかり生態を捉えた写真がたくさん載っているので、本当に胸がキュンキュンしてしまいます。同時に、生態観察好きの私としては「俺もナマで観察したい」という欲望がメラメラと湧き出してきます。まあ、彼らの100分の1の努力さえもしていない私には天も味方しないでしょうけど・・・。
 センチコガネとその仲間のことを生態も含めて楽しく詳しく知りたいのであれば、一番のおススメでしょうね。この本もお値段は『日本のオオセンチコガネ』と同じ6,400円(税別、送料無料)で、売切れ次第販売終了です。普通の本屋さんには置いてないので、まずは糞虫館で実物をご覧ください。絶対欲しくなりますよ。糞虫館には10冊しかありませんが、むし社 や 昆虫文献 六本脚 など昆虫の専門書を扱うお店ならネット通販で購入できます。

今日はここまで。
また明日!



 

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