奈良公園の桜は満開、すでに糞虫たちも春を感じているようです。先週、この時期にしては観光客の少ない奈良公園で見つかったのは、冬のマグソコガネ達や朽木に潜むクロツツマグソコガネに加え、センチコガネ、クロマルエンマコガネ、ナガスネエンマコガネ、ヌバタママグソコガネ。クロツヤマグソコガネとの出会いはなかったのですが、4月は1日で10種類以上の糞虫に出会うチャンスがあります。幻のヒメコマグソコガネにも出会える可能性だって否定できません。
 ヌバタママグソコガネ(Aphodius breviusculus)は、、やや小型のマグソコガネの仲間といってもいいと思います。奈良公園ではミゾムネマグソコガネやチャグロマグソコガネなどと同じような所にいますが、冬の糞虫達に比べると一回り大きく、真っ黒でツヤがあるのですぐにわかります。体型も特徴的で、前胸が丸くて大きいのでヒョウタンのように見えます。他の人にはそうは見えないようですので、わかり易い角度で写真を撮ろうと格闘したのですが・・・(写真1、2枚目)。
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 この丸っこさは、出現期の重なるクロツブマグソコガネにも通じるものがありますが、最近では奈良公園ではクロツブマグソコガネはかなり見つけにくくなっていることと、落葉に埋もれたかなり古いシカ糞を好むので、普通目にすることができるのはこのヌバタママグソコガネです。
 ところで、名前になっている「ヌバタマ」って何かご存じでしょうか?ヒオウギという植物の黒くて光沢のある種子のことで、そこから和歌の世界では「黒」「夜」さらに「髪」などにかかる枕詞にもなっています(今、グーグルで調べて書きました)。見たまんまのわかり易い名前の多い糞虫の中においては、文化の香りがほのかに漂うちょっと変わった名前ですね。和名を付けた方は和歌をたしなむ方だったのかもしれません。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!