むしむしブログ

2020年08月

 1週間以上雨が降らず、以上に暑い日が続いていましたが、8/22の夕方に猛烈な雷雨。みずみずしさを取り戻した奈良公園の林で、鳥の羽が散乱しているのを見つけました。コブスジコガネがいるかも!と、丁寧に周囲を含めて落ち葉の下まで見ていたら、5cmも掘らないところでイノシシの糞が一つ、二つと出てきました。林の中にはシカが食べられるものを食べつくしたせいか、シカ糞が見つけにくくなっており「オオセンチコガネがやむなくイノシシ糞を穴に引き込んだのかな?」と思ってました。でも、奈良公園の糞虫にはイノシシ糞はあまり人気がないので少し違和感を覚え、オオセンチコガネを見つけて確かめようと、さらに掘り進めると一回り大きな三つ目の丸い塊が出てきました。と同時に黒光りするゴホンダイコクコガネのメスの姿が。デジカメが電池切れで写真がないのが残念です。
 たまたま掘った場所にゴホンダイコクコガネの育児室があったようです。床面は土でしたが周りや天井は腐葉土で、しっかりとした「育児室」と呼べるようなものではなかったように思います。ピンセットで掘り出せるほどの深さ(5cmほど)しかなく、シカに踏まれたせいなのか糞玉終期のせいなのか、3つの糞玉のうち2つは“玉”には見えないほど変形していました。時期的にはすでに蛹になっている可能性もあります。 
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重さは6.1g、6.4g、7.9g。とりあえず、以前ブログのコメントにいただいた飼育方法に従い、植木鉢に土を入れて糞玉とメス親を置き、真っ暗にしました。4時間後そっと覗いてみると、メス親は土に潜らず糞玉の上に乗ってじっとしていました。実際の育児室とは似ても似つかぬガランとした大部屋ですが、メス親は糞玉の世話を継続してくれそうです。今度こそうまく育てないと、先週死なせてしまったゴホンダイコクの幼虫に申し訳が立ちません。でも、乾燥対策を考えないといけませんね。重さに差があるのも気になります。割って中がどうなっているのか、見てみたいなー。
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今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

 5月に出版されたフンコロガシの絵本『フンころがさず』は好評を博しているようですが、先月採集した日本のフンコロガシ「マメダルマコガネ」は本当に糞玉を作って逆立ちして後ろ足で押して転がすのでしょうか?初採集だったので綺麗な標本を作りたい気持ちもありましたが、この目で全長2㎜という極小のフンコロガシが糞玉を作り、転がす場面をこの目で見たいという誘惑が勝り、飼育を始めました(写真1枚目)。
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 過去40年以上に渡り一度もシカ糞でコイツを見つけられなかったことから、本当にシカ糞を食べるという確信はないものの、シカ糞を入れました。シカ糞の一部に潜り込んだ形跡は見られましたが、うろうろと容器内を動き回る姿が目についたので、どうも落ち着かない(=飼育環境がイマイチ)様子でした。3日もするとカビの菌糸が伸びはじめ、マメダルマコガネが歩きにくそうにしていました(写真2枚目)。
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 そして、飼育開始のわずか10日後、容器のふたにできた結露で溺れて死んでいました。遺体を回収し、何とか標本を作製できたのは不幸中の幸いでした。触角まで引き出せたのはまさに奇跡です(写真3枚目)。わずか2㎜の虫ですから。
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 ブログのコメントに、鳥(セキセイインコ)の糞を使って飼育すると、いくつも糞玉を作ったという情報が寄せられているので、次回は鳥の糞を試してみたいと思います。ただ、次にマメダルマコガネに出会えるのは一体いつになることやら・・・。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

 7/15、ダイコクコガネの飼育容器で見つかったゴホンダイコクコガネの糞玉3個のうちの1つから見つかった幼虫ですが、梅雨上げ後40℃近い猛暑が続いたせいでしょうか、残念な姿になっていました(写真1枚目)。
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 原因はいくつか考えられますが、飼育室の温度が昼間は最高37.7℃まで上がっており、森林の土中の糞玉で暮らす幼虫には耐えられなかったのだと思います。土の中は気温や湿度が比較的一定に保たれ、外敵からも守られており、しかもゴホンダイコクコガネの場合は母親が糞玉にカビが生えたりしないように世話しています。飼育容器の置き場所にもう少し気を付けてあげるべきでした。糞玉や幼虫を見れたのは良かったけれど、今回のは人災、かわいそうなことをしてしまいました。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

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 長野の糞虫好きの方から送っていただき、奈良公園のシカ糞での繁殖に挑んでいたダイコクコガネですが、行方不明になっていたオスの遺体が1匹、飼育容器の隅の土塊の中から見つかりました(写真1枚目)。菌類が中に入り込んでいるようですが、まだきれいに外観を保っており(写真2枚目)、容器に侵入しているエンマコガネの活動による破損もないところから、春の終わりごろまでは生きていたのではないでしょうか。ピッカピカの元気なオスだったので寿命だったとは思えません。コイツには申し訳ないことをしてしまいました(もちろん、失敗は今回が初めてではないですが・・・)。
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 が、冬を越すことでオスが生殖能力を持つとすれば、存命中のメス(写真2枚目)と既に交尾を済ませていて、2匹いるメスが糞玉を作って産卵する可能性があるのではないでしょうか。ゴホンダイコクコガネ等はオスメスのペア育児室を作ってそこに糞塊を準備し、糞玉を5,6個作ってメスが産卵する(オスは途中で出ていく)らしいのですが、どのタイミングで交尾するのか私は知りません。ルリセンチコガネは地上で交尾している様子が何度も観察されており、穴を掘って糞を集める段階ではメスは単独ですでに受精卵を産卵できる状態になっていると私は考えています。スカラベ(タマオシコガネ)を飼っていた時も、ひとりで糞玉を作り、転がし、穴に埋め、地下で卵を産み、幼虫になりました。シロウトの希望的観測ではありますが、もしかしたら、残されたダイコクコガネのメスに十分なシカ糞を与えて飼っていると一人で地下に育児室を作って、糞玉も作って、受精卵を産んでくれるのではないか、とわずかな希望を持っています。「それはムリでしょう」というデータや観察事例がありましたら、そっと、やさしく、教えてください。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!

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