むしむしブログ

2021年09月

 臭い虫と言えば、糞虫・・・ではありませんよ!糞は臭いけど、糞虫は臭くありませんから。カメムシですね。まあ、カメムシが全て臭いニオイを出すわけでもなく、かなり誤解されているのは気の毒に思いますね。ヒントのせいで逆にわかりにくくなっているかもしれませんが、日本最大の水生昆虫はタガメです(セミやカメムシと同じ半翅目)。都市部では生息に適した環境がなくなり、絶滅したり絶滅危惧種に指定されたりしていて、ほとんど見る機会はないと思いますし、ショップや個人間でも売買が禁止されたので、タガメを繁殖させている友達のつてがないとほぼ入手できなくなっています。でもねー、タガメ自身はか弱い存在ではなく、繁殖力が旺盛なので、増えすぎて困っているタガメ好きは少なくないのではないでしょうか。
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 私のサラリーマン時代の友人はタガメ博士と呼ばれていて、もう10年以上もタガメを累代飼育していて、毎年多くのタガメを虫好きの人にプレゼントしています。私も3年前から飼育をはじめ、昨年は産卵、今年はついに感動の孵化の瞬間まで見ることができました。大型昆虫は特に脱皮や羽化する場面が神秘的で、でもとっても大変そうなので、無事に終わると「よく頑張った、おめでとう!」と虫に向かって話しかけ、本当に幸せな気持ちになります。
 孵化したタガメの幼虫は小さいながらも獰猛なハンターで、餌に入れたメダカなんかよりも仲間のタガメを捕まえて汁を吸ってしまうので、どんどん減ってしまいます。共食いしないように1匹ずつ分けて飼うと何故か溺れたり餌が取れなかったりで、やはり結構な数が死んでしまいます。今年、糞虫館で孵化したタガメの幼虫を希望者に何匹かお譲りしたのですが、無事に大きくなったでしょうか?すぐに死んじゃってもあなたのせいではありません。タガメの幼虫はそういう運命にあるようです。
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 私はまだまだ下手くそですが、タガメの繁殖のコツも少しは掴めてきたので、来年は『タガメファーム』を立ち上げて、日本最大の水生昆虫、かっこいいタガメにたくさん産卵させて、みんなで幼虫を育てて、自然環境について考えてもらう試みに取り組む計画です。タガメは、田んぼや沼の食物ピラミッドの頂点に君臨しており、飼育するには餌として小魚やオタマジャクシ、カエルなどが必要です。が、実際にはそれらを探して捕まえることが難しくなっているので、そのことを通して、親子でタガメが絶滅に向かう自然環境の変化を身をもって感じることができるのではないかと思っています。
 タガメの幼虫を飼ってみたい人を、そのうち(と言っても来年6月以降かな・・・)むしむしブログかHPで募集するので、ぜひ挑戦してみてください。東京のタガメ博士も協力を約束してくれていて、先日は元気な親タガメ20匹が糞虫館に到着しています。まずはうまく越冬させなければ・・・。

今日はここまで。
今週末は糞虫館で会いましょう!

 半年前の3月、奈良学園附属小学校の6年生のグループが卒業遠足でならまち糞虫館に来てくれたのですが、その時に引率で同行された理科の先生と意気投合し「奈良公園でこんなに重要な役割を果たしているおもしろい虫がいる事を子供たちが知ったら絶対興味持つよねー」などと話をしてました。それだけで終わらないところがこの学校のいいところで、7月早々に出張授業の依頼が来たというわけです。
 糞虫館をオープンさせて3年、これまでいろんな場所で糞虫のお話をしてきた私ですが、質問が一番多かったように思います。しかも鋭い質問ばかり。答えるのに相当苦労しました。仕返し(!)ではないですが、授業の終盤で小さなマグソコガネの仲間を実体顕微鏡で観察してもらい、種の同定までしてもらいました。何人かは正解しましたが、これはさすがにかなり難しかったようです。
 授業は4コマ分(2コマ×2回)で半日だったのですが、終わるともう、クタクタでした。これを毎日やっている先生のタフさに今頃になってようやく気付きました。本当に尊敬しちゃいます。
 以下が、振り返りの時間で出てきた子ども達からの質問です。

 糞虫に関する、子どもたちから出た質問(と、私からのお返事)
➀なんで糞虫は、ほかの虫とちがってフンをたべるようになったのかな?
→みんなが同じものを食べると不足したりケンカになるからじゃないかな。
➁なんで糞を食べるのに、オオセンチコガネはあんなにきれいな色に光っているのかな?
→タマムシは葉っぱ(幼虫は朽木)を食べるのに、とってもキレイな色に光っているのと同じだよ。
③なんで奈良のオオセンチコガネだけ青色なの?何が色を決めてるの?
→ん-、難しい・・・
④糞虫は、ふんを食べていてくさくないのかな?
→納豆が好きな人に「納豆を食べていて臭くないの?」と聞いてみるといいかも。
⑤糞虫のふんを食べる糞虫もいるのかな?
→糞虫の糞を集めて、違う種類の糞虫に食べさせてみよう!アオスジアゲハの幼虫の糞を集めて練って与えると、オオセンチコガネがむしゃむしゃ食べたという観察記録があります。
⑥なんで同じフンを食べる仲間でも、コガネムシの仲間じゃないと糞虫とよばれないの?
→虫の研究者の多くがそのように考えているから。例えばハエのことを、糞虫の研究者もハエの研究者も「糞虫」とは呼びません。
⑦同じフンを食べている糞虫には大きさ以外にも共通点はあるのかな?
→共通点はないのかな?
⑧糞虫はフン以外に何も食べないのかな?
→腐ったキノコや鳥の羽毛などを食べる話、特別授業で紹介しなかったっけ?

そう簡単に答えられる質問ではありません。うまい返答が浮かばないまま、もう2週間が経過してしまいました。申し訳ない。

今日はここまで。
今週末に糞虫館で会いましょう! 

 シカが食べてしまうので奈良公園では若木が育っておらず、林は徐々に明るくなっています。40年前と比べると、たぶん風通しも良くなったと思います。そこに地球温暖化の影響と考えざるを得ない猛暑。奈良公園の林は確実に乾燥してきています。湿った落ち葉に埋もれた古いシカ糞を好むクロツブマグソコガネは明らかに減少しているのは周知の事実です。
 さて、奈良公園でルリセンチコガネと人気を二分するゴホンダイコクコガネですが、一般の親子観察会ではなかなか見つかりません。ダイコクコガネの仲間は夜行性ということが関係していると思いますが、そういえば私も最近見てないなーということで、確かめてみました。
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地点➀(奈良公園9/5) オス31 メス43 (全部は写ってません)
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地点②(奈良公園9/5) オス7 メス17(全部は写ってません)
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地点③(奈良公園9/5)  オス8 メス23 (全部は写ってません)
地点④(奈良公園9/5)  オス3 メス10 (記録のみ)
地点⑤(滋賀県甲賀市9/24)オス1 メス4 (記録のみ)
地点⑥(滋賀県甲賀市9/24)オス1 メス5 (記録のみ)
 夕方、奈良公園等にシカ糞を山積みにして、翌朝見回るだけですが、結果は上記の通り(写真1枚目,2枚目,3枚目)。いる所にはまだまだいるようです。でもですね、感覚的にですが、奈良公園では、見る機会が減ったように感じてます。私ごときがボヤいていてもしょうがないので、誰かきちんと調べてくれませんかね。
 ついでに、上のデータからゴホンダイコクコガネのメスの比率が明らかに高いと思うのですが、たまたまですかね?もしかすると、オスは巣作りが終わると外に出て死んでしまい、メスは巣の中で子育てが終わるまで生き延び、今まさに新成虫と共に外に出てきたので、今だけメスが多いのかな?それとも、もともとメスの出現率が高いのか? 奈良公園のシカはメスがオスの4倍くらいいるようですが、カブトムシはオスもメスもほぼ同じ割合で羽化してくるような気がしますし・・・。あー、またわからないことが増えてしまった。
 雄雌大小何匹かを標本用に持ち帰りましたが、ほぼ全てを記録作成後リリースしています。一応、念のため申し添えておきます。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

【CM】糞虫初心者必携の『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社) 普通の本屋さんでも発売中!

 NHKラジオには、NHKで放送した番組の中で「聴いてよかった」「もう一度聴きたい」という声が寄せられる番組を再編成してもう一度お届けする「らじるセレクト」という番組があるそうです。で、本日9/4(土)のNHKラジオ第一で14:05~14:55に、先々月「関西ラジオワイド」で放送された私の糞虫話が再放送されるとの連絡がありました。あの時は生放送で、始まるまではむちゃくちゃ緊張してたのですが、アナウンサーの2人(大山さんと新口さん)の巧みな話術のおかげで、中身は全然覚えていないのですが、楽しくお話しできたという記憶だけがハッキリと残っています。それが自己満足ではなく、実際にラジオで聞いていた方から評価されていたというのはすごく嬉しいですね。ぜひ聴いてみてください!

再放送される番組詳細です↓

9/4(土)14:05-14:55「らじるセレクト」

https://www4.nhk.or.jp/P5708/


【予告】
9/10(金)の夕方5時頃、NHKテレビのニュース番組のキンゴジン(金曜5時人)コーナーで、糞虫&糞虫館が10~15分ほど紹介されます。お楽しみに!

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!                 

 このブログは8/11に書いたものの、公開するのを忘れてました!
 
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今朝、寝起きのボーッとした頭でテーブルの上の新聞を見ると、見覚えのある写真が。ん、これは、アレではないか! なんと『たくましくて美しい糞虫図鑑』があの朝日新聞の第1面下段、しかもカラーで掲載されていたのです。何千何万とある本の中から選ばれたたった6冊しか載ることのないスペースに糞虫図鑑が載るなんて・・・。出版してくれた創元社さんは、この本に社運を賭けたのか?!嬉しいです、ありがとうございます!
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 次の目標は「奈良市昆虫村」をつくること。糞虫館の他にカブト·クワガタ館、カミキリ館、ゾウムシ館、トンボ館、チョウチョ館、等々を建てて、それぞれ大好きな人達が工夫しながら運営する昆虫村。集まれば相乗効果もあって集客力もアップ。印税がガッポリ入ったら、北側の広い空き地(奈良市が所有)を買い取って昆虫村プロジェクト、開始です。「◯◯館」をやりたい方、連絡をお待ちしています(笑)。『鬼滅の刃』の100分の1、売れればいいだけなんだけどなぁ。宝くじを買うより本を書く。本を書くより真面目に働く。自分に合ったやり方でコツコツ頑張るのが目標実現への王道とわかってはいるんですが、ね。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

広告:『フン虫に夢中』(くもん出版)も読んでね。

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