むしむしブログ

2021年11月

 ツヤエンマコガネは昔も今も普通に奈良公園に生息しているのですが、シカ糞にはほとんど来ないので普段はあまり目にすることはありません。ただ林内のFITにはよく落ちるので、その活動時期を知ることができます。去年のデータでは、4月はニッコウコエンマばかりがFITに落ちていたのですが、5月に入るとツヤエンマが毎日落ちるようになりました。秋も10月中旬以降は落ちていません。動物の腐肉が大好物なので、夏の汗ばむ空気の中でムッと漂う死臭を嗅ぎながらコイツをつまんだ経験が頭から離れず、私はツヤエンマコガネは夏の糞虫との印象が強いのですが、動物の死骸など滅多にないのでツヤエンマコガネの活動時期についてはずっと確信が持てずにいたのでした。『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』(監修:コガネムシ研究会)には 5~10月となっているので、別に新発見でも何でもないんですが、私個人としてはこのFITの結果でなんかこう腹に落ちたっていう感じ。ところが、達成感というか満足感みたいなのに浸っていたら、11/3(祝)に裏山で、歩行中のツヤエンマコガネを見つけてしまったんです(苦笑)。【写真1】まあ、虫にはカレンダーの日付なんか関係ありませんからね。
 それにしても、FITを最初に考えてやり始めた人ってほんとにすごいなーと思います。ガラス窓に結構いろんな虫がぶつかるのを見て思いついたのかもしれませんが、山や草原を自由に飛び回る虫がちょうど仕掛けた透明の板にぶつかって受け皿に落ちる確率なんて、宝くじを当てるようなものでしょ⁈でも、観察と試行錯誤でFITを採集方法として確立させたんでしょうね。
私なんか、FITで糞に来ない糞虫が採れると聞いても、ほんとかな~なんてグズグズしてやらなかったので、今、とても後悔しています。迷ったらトライ!やらずに後悔するよりやって失敗しろ!昆虫採集にも仕事にも恋愛にも共通する人生の鉄則ですね。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
 

 正直、これには私も驚きました。ならまち糞虫館は奈良の新観光名所(⁈)で商業施設ですから、奈良商工会議所の会員になっています。なので、毎月『奈良商工会議所ニュース』という小冊子が送られてくるのです。冊子には経営セミナーやIT講演会の案内チラシが何枚も挟まっているので何気なく見ていると、どう見ても場違いなルリセンチコガネのカラー写真が! 吹き出しの「美しすぎる‼」はいいけど、「奈良公園の『神虫』ルリセンチコガネの超絶パワー‼」って、何⁇ (写真1、2枚目)
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 最近SDGsが流行していて、ホテルや旅行会社はもちろん一般企業もSDGsに関連するイベントや勉強会をやっているようです。このチラシは決していい加減なものではなく、奈良新しい学び旅推進協議会が企画した「奈良公園SDGs 自然学校」の参加者募集のチラシで、恥ずかしながら私が最初の”探検隊長”となっております。2回目以降、奈良教育大学の渡邉先生、春日山原始林を未来へつなぐ会の杉山先生、国連環境計画の本多先生となっていて、その道のプロというべき人達が出てきますので、SDGsの理解を深めるうえできっと役に立つ気付きが得られると思います。
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 このイベントではフィールドワークの後、できたばかりの県庁東バスターミナル2Fで振り返り教室をやるところがミソですね。SDGsが意外に身近に感じられるようになると思います。各回10組限定なのでこのイベントはもう満席かもしれませんが、SDGsを学ぶ企画はこれからも色々出てくると思いますので、一度参加してみてはいかがでしょう。
 

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
糞虫の入門書『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)好評発売中!近くの本屋さんで売ってますよー。


 ヤマトエンマコガネのような美しい黄色の文様を持つミツコブエンマコガネ。船の積み荷と共に姫路市あたりに上陸したのではないかと言われていますが、現在は、夢前川、揖保川、市川、といった川沿いや海浜公園、姫路城周辺でも普通に見つかるようです。もちろん奈良公園にはいませんので、先日は糞虫館にプレゼントしてくれた方がいて、大喜びしたのですが、今度は別の方から生態写真の提供がありました。私はミツコブエンマコガ幼虫とか蛹を見るのはこれが初めてです。
20201018_親@姫路市 市川堤防 (2)
20210605_終齢幼虫? (2)
20210605_2令幼虫? (2)
20210626_蛹背 (2)
20210626_蛹腹1 (2)
20210626_蛹側面1 (2)
20210626_蛹側面2 (2)
20210626_新成虫2 (2)
20210626_新成虫3 (2)

 その方は、昨年10/18に姫路市の市川で採集して飼育を開始、今年6/5に一部を掘り出したところ幼虫が見つかり、さらに6/26には羽化直後のまだ薄茶色の成虫や蛹が多数見つかったとのこと。飼育したご本人は、ほったらかしにしていただけと謙遜していましたが、容器越しに様子を窺いながら本当に絶妙のタイミングで掘り返してますよね。エンマコガネの幼虫の特徴を如実に示す背中のコブ、蛹の側面からは恐らくオスのツノになる部分なのでしょうか、突起が見えます。今年も飼育に挑戦しているようですから、来年はもっと詳しい情報が得られることを期待してます。ミツコブエンマコガネ以外にも、ご当地糞虫の飼育・繁殖に挑戦している方からの情報提供をお待ちしています。私も頑張らねば・・・

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 今年もコロナの影響が続いていて多くの糞虫観察会が中止や延期になってしまいましたが、それでも対策を徹底し人数も絞ることで、公民館や学校、自然観察グループの方々と一緒に何度か糞虫観察会を行いました。11月になると、”メインディッシュ”となるルリセンチコガネを見つけにくくなるので、10/30(土)の特定非営利活動法人奈良まほろばソムリエの会の女性グループ(ソムリエンヌ)の方々をご案内するのが今年最後。快晴で朝方は少し寒かったせいかルリセンチはなかなか見つからず、「あっ!」という声が上がるものの、青く輝く羽(死骸)ばかり。その後気温は20℃近くにまで上昇し、残り時間30分を切った頃でしょうか、ソムリエンヌの一人がとうとう生きたルリセンチコガネを見つけました。それまでにエンマコガネ等の黒くて小さい種類は何種類も見つかっているのですが、ルリセンチガ見つからないと、ね。よかったー、ホッとしました。その時の様子はぜひこちらをご覧ください。
〇観察4

 本当は11月でも気温が上がる日はルリセンチコガネもうろついているので、根気よく探せばまだまだ見つけることは可能です。その他にも、ナガスネエンマコガネは普通に見られますし、冬の糞虫チャグロマグソコガネなんかも気の早いヤツがもう出てきています。正倉院展の見学ついでに、ぜひ糞虫探しにトライしてみてください。うまくいけば秋の糞虫と冬の糞虫の両方を一度に見ることができるかもしれません。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

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