むしむしブログ

2023年01月

 10年に一度の寒波で奈良公園にも雪が積もりましたが、雪の下の糞の中でネグロマグソコガネやチャグロマグソコガネといった冬の糞虫達は元気に暮らしていることでしょう。この時期は自然観察グループや公民館の糞虫講座に呼ばれることもなく、たいていは静かに標本整理や読書をして過ごすのですが、今年は以前糞虫館にも来てくれた伊丹市昆虫館の方々が企画した生物多様性講演会でお話しする機会をいただいており、落ち着かない日々を送っています。
 伊丹市昆虫館は「生物多様性交流フェスティバル in ラスタ」を1/25(木)からラスタホールで開催していて、伊丹近隣の自然団体の活動紹介パネルの展示や昆虫館の生きた虫たちと一緒に写真を撮れるイベントなどがあって、最終日の2/5(日)に標記のタイトルで”ならまち糞虫館館長”の私がお話しするスケジュールになっています。講演するだけじゃなくて話の後には質問タイムがあって、そのあとは交流(雑談?)会なんかもあるらしく、楽しみではあるもののかなり緊張してしまいます。あまり専門的なことを聞かれると困るなー。
 糞虫館でも10~20人程度の団体さんには奈良公園の糞虫等を紹介する「糞虫トーク&スライドショー」を実施していますが、今回はなんと伊丹市の『ラスタホール』という立派な施設での講演会で、募集人数が80人。参加費無料ですが、糞虫の話を聞きに80人も来るんかいな?と口には出さないものの内心ホントにすごく心配してました。でもスタッフさんはテレビ取材が来るようにしたりステキなチラシを作ったり広報活動をして、すでに80人の申し込みがあった(!)とのこと。で、ホールの収容人数にはまだ余裕があるので、コロナの動向を睨みつつもう少し受け付けることにしたそうです。まだ空きがあると思うので、よかったら聞きに来てください。会場では前述のパネルやイベントのほか生物多様性への伊丹市の戦略的な取り組みやおススメBookの紹介等もあって、とても好評のようです。今ちょうど開催中なので行ってみる価値ありだと思います。
 講演会の参加申し込み先は伊丹市昆虫館(072‐785‐3582)ですが、開催場所は伊丹市昆虫館ではなくて伊丹市立生涯学習センター「ラスタホール」なのでご注意ください。詳細はチラシをご覧ください。「来週末は、ラスタホールでお会いしましょう!」



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 写真(出典:Introduced Dung Beetles in Australia)はアフリカ北部やヨーロッパに生息していてファーブル昆虫記にも登場するイスパニアダイコクコガネ(Copris hispanus)ですが、こういったアフリカやヨーロッパなど国外の糞虫がオーストラリアに移入され糞公害に対処した話は、このブログを読む人であればご存じの方も多いと思います。実はニュージーランドでも同様の問題が発生しており、10年程前から本格的に糞虫の活用について研究されるようになったそうです。2018年、糞虫館オープン予定の新聞報道を見たニュージーランドで糞虫の繁殖の仕事をしているYK様から次のようなメールをいただきました。「ニュージーランドでは主に牛の糞が原因で水質汚染や大気汚染の問題が深刻になったので、私は糞虫の繁殖に大きなスケールで4年前から取り組んでます。帰国したら糞虫館に遊びに行きます。」 
 時が流れて2022年9月、見知らぬ人から「ニュージーランドでフンコロガシの重要性を訴えてフンコロガシを輸入できるようにジョン・ペアス(John Peace)さんと一緒に働きかけて成功させた人」が糞虫館に行きたがっているとの連絡があったのですが、私はすぐにその人がYK様に違いないと確信しました。
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 で、連絡をくれた方も含めた3人と11月に糞虫館でお会いして、糞虫トークを楽しみました。オーストラリアの場合は公的機関が社会問題解決への対応として外国の糞虫を研究し移入しましたが、ニュージーランドではERMA(環境リスク管理局)を巻き込んで民間主導で進められたようで、国の許認可取得なんかは大変だったそうです。
 ネットを検索すると2008年9月のニュースに「農業の生産性を高める計画の下で、フンコロガシは3年後に導入される可能性がある」と出ていました。実際、2011年に最初の2種類の糞虫が輸入されたようです。なお、私の英語力、理解力、記憶力には限界がありますので、ご参考程度でお願いします。この続きは、また次回。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中。
 

 あけましておめでとうございます。2015年12月から続くこの『むしむしブログ』の更新、今年こそは1年を通してがんばりたいと思います。今年は糞虫館主催のイベントも少し考えているので、よかったら参加してくださいね。本年もよろしくお願いいたします。

 年末に糞虫館の大掃除に行くと、郵便受けに糞虫館の近くにある「奈良市立済美小学校」の大きな封筒が入っていました。済美小学校は、生活科学習「わくわくさんぽ」で2年生が糞虫館に話を聞きに来てくれる予定だったのですが、コロナがまた流行り出したので、昨年10月末頃に子供たちの質問を携えた先生だけが糞虫館に来て、インタビューを受けていたことを思い出しました。事前に子供たちからの質問を取りまとめてメールまでしてもらっていたのですが、実際に先生にお会いして話始めると、私の悪いクセであれやこれやと余計な話をしてしまい、かえってわかりにくくなってしまったのではないかと心配していました。先生は一日の授業の終わった夕方に糞虫館に来ているので大変お疲れだったと思うのですが、結構面白がって聞いてくれたので、ついついあれこれと。基本的に私は人見知りする性格なので人と話するのは苦手なんですが、好きな生き物の話になると急におしゃべりなオジサンになるんですよ。
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 封筒の中身は子供たちからのメッセージ。インタビューの内容がしっかりと子供たちに伝わっていることが、今回受け取ったたくさんのお礼のメッセージでよく分かりました。みんなが糞虫のことを知ってくれて、そして糞虫のことを好きになってくれたことがすごく伝わってきました。嬉しいです。  
 済美小学校にはちょうど3年ほど前にもお邪魔して、糞虫トーク&スライドショーをやった記憶があります。その時は、藤井先生という若い先生が子供たちと学校でオオセンチコガネの飼育にも挑戦していたとか。今回の生活科学習「わくわくさんぽ」の本来の目的は「生き物」や「自然観察」とは違うのかもしれませんが、奈良らしい「自然」に関係するお仕事をしている人が奈良の町にいることを知ることは子供たちにとってそれなりに意義がある事だと思います。今後も生活科の学習でこのような取り組みが奈良市内の学校で広がることを期待しています。贈られたメッセージ集は3年前にいただいた『ふん虫のひみつクイズ』『ふん虫かん 中村さんへ』とともに糞虫館で自由に見ることができますので、学校関係者の方にも見ていただければと思っています。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
館長の書いた『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、好評発売中!

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