むしむしブログ

2023年07月

 奈良の新観光名所、穴場スポットとして徐々にメジャーな存在になりつつある(⁉)ならまち糞虫。「東京から来ました!」という方も珍しくありません。でも、やっぱり遠いので来れない人も多いはず。だったらこっちから行きましょう、というわけで『たくましくて美しい糞虫図鑑』を世に送り出してくれた創元社さんが、東京の神保町にあるこどもの本専門店「ブックハウスカフェ」のイベントホールを無料で使わせていただけるように手配してくれて、今回の「糞虫話&糞虫標本作り体験」イベント開催が決定したわけです。4組の親子のほか教育関係の方など計10名が参加してくださいました。
IMG_8138-1

 これまで出張授業や講演会等は何度も開催していますが、映像や完成標本を使いながらお話するパターンがほとんどで、標本作りを子供に実際に体験してもらうのは全くの初めてだったのです。子供たちも標本作りは初めてだったので、私は椅子に座る間もないほど忙しかったのですが、最初は「虫は少し苦手」と言っていた子も「カワイイ!きれい!」を連呼して最後はニコニコ顔で帰っていきました。今回は、整ったきれいな標本をつくることよりも、脚を整えたり触角を針先で引き出すことを通して虫の体の構造や関節の動き方などをよーく観察してもらいたかったんです。あんまり私が手を出さなかったのは、子供が自分で虫をいじくっているうちに、足がどのように体についているのか(胸に6本の脚があるか?)、脚は自由に動くけど曲がる向きは決まっている、裏面には毛がいっぱい生えている、背中側だけでなく腹側もキレイな瑠璃色、などなど子供達は次々に新しい発見をしていくから。この日ほど虫に顔を近付けて脚や触角と格闘(=観察)したことはないんじゃないかな。
 最後は針を外して最初の状態に戻して家に持って帰ってもらったので、家で再度展脚して乾燥させてラベルを付けて最終的に標本として完成させられるかどうか。もしかしたらバラバラになって、ゴミ箱に捨てられるかもしれませんが、それでもこのイベントのために犠牲になった4匹のルリセンチコガネ(オオセンチコガネ)の死は無駄ではなかったと確信しています。最近では夏休みの宿題に「昆虫採集」は出なくなったようですが、虫を自分で捕まえて標本にすることで、実際には教科書に書かれている事の何倍もの知識が体験という形で脳ミソに刻まれているんですけどねー。まあ、宿題という形になるとやらされてる感が先立ってイマイチかもしれません。
E976AB68-4437-464C-9570-BEF0900AF961
   
 最後になりましたが、こどもの本専門店ブックハウスカフェは雰囲気も品ぞろえもサイコーに楽しめる本屋さんです。衰退産業と言われる本屋さん業界ですが、自分たちの存在意義は何なのか?を常に考え時代に適応しつつ進化してきたようです。しっかり見習って、糞虫館も進化しないといかんな。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 糞虫館がオープンして間もない頃、天王寺動物園で「Phoo! Phoo! Phoo! うんち展」があって、その時に展示されたアフリカのフンコロガシをいただいて糞虫館で展示したことがあります。イメージ通りに真ん丸の糞玉を作って転がす様子が面白くて何時間でも見てました。それくらい楽しかったです。
 今回は、宝塚の爬虫類専門店でフンコロガシを販売しているとの情報をキャッチし、買ってきました。「Scarabaeus sacer」の名前でエジプト便で日本に送られて来たそうです。スカラベの仲間は似たような姿形の種が多いですが、確かにスカラベ サクレっぽく見えます。お店では爬虫類の餌にするシルクワーム(カイコ)の餌として桑の葉をペースト状にすり潰したものを真空パックで販売しているのですが、これをフンコロガシに与えているそうです。見た目は色も柔らかさもウンコですが、ニオイが桑の葉の香りなので見なければ気になりません。1本買って与えたところ、粘り気がほとんどないので、糞玉を作る時は細かい仕上げの時にぽろぽろこぼれてちょっと作りにくそうでしたが、普通に食べてちゃんと糞玉を作って転がして埋めました(写真1枚目)。スグレモノです。ウサギの餌(ペレット)をふやかしてフンコロガシを飼っている人もいるようですが、いずれにしてもたぶん産卵まではすると思いますが、幼虫がちゃんと育つのか気になるところです。 
P7100023
 
 ならまち糞虫館ではもちろん新鮮なシカ糞を与えますが、前回は糞に混在するダニが糞玉の中の幼虫に多数取りついて途中で死んでしまいました。なので、糞に熱湯をかけてダニを殺してから与えるようにしています。不完全ではありますがそれなりに効果がある事を期待しています。今回7匹(@3,500円)購入しましたが、その日のうちにプラケース内で交尾をした(写真2枚目)ので少なくとも2ペアはいる事が確認できました。うまく繁殖させることができればいいのですが・・・
P7100012

 今週末は東京でフン虫話&標本作りのイベントがあるので私がいないためお見せできませんが、一応90㎝×45㎝水槽はセットしました。これからどうなるのか、楽しみですねー。

今日はここまで。
今週末は神保町で会いましょう!まだ空席あります(涙)。

3ヶ月以上も前(4/7)にこのブログに掲載したアカマダラエンマコガネの卵塊ではないかと言っていた卵から孵化した幼虫はスクスクと成長し、20匹程が蛹になり、無事に残念ながらクロツヤマグソコガネが羽化してきました。一時期白っぽいのと黒っぽいのと2タイプの幼虫がいたので僅かな希望は捨てずにいたのですが、やはりコブの無い幼虫はエンマコガネではなかったということです。でも今回の飼育は非常に緊張感をもって観察したので、クロツヤマグソコガネの生態をより詳しく知ることができ、また貴重な写真として残すことができました。結果はともかく、このワクワク感はたまりません。今回のクロツヤマグソコガネに関する私的新発見は以下の通り。

①クロツヤマグソコガネは7~10個程度の卵をまとめて産む。
P4080029-1

➁1匹のメスは少なくとも20~30個の卵を産む。
③卵(4/9)から蛹(5/2)になるまで3週間余り。
P5020103-1

④蛹の期間は約2週間。
P6030524-1

⑤羽化後も蛹室内に留まることが多いが、地表や浅い場所で羽化すると地下の安全な場所に移動する。
P5260452-1


今日はここまで。
今週末は神保町で会いましょう!






 3ヶ月ぶりのブログの内容が【緊急告知】というのもちょっと何なんですが、イベントのお知らせです。
 東京の神保町と言えば本屋街で有名ですが、ここで『たくましくて美しい糞虫図鑑』を広めようということで、ブックハウスカフェという洒落た空間で糞虫のお話と標本作りをワイワイと楽しもう!というイベントを来週7/29(土)にやります。小学生でも展脚が出来るように標本作りにはオオセンチコガネ(奈良のルリセンチコガネ)を使います。京都か滋賀のミドリ色のオオセンチコガネも採集できたら持っていきます。赤いのは関東のあちこちにいるので、持っていきません。あとで捕まえて自分で標本にしてみてください。
20210608_143316 (2)

 関西のお笑い芸人が東京進出する時はこんな気分なのかなぁと思いつつ開催する糞虫王子初の東京公演です。お友達と一緒にお気軽にご参加ください。かつて昆虫少年だった方の参加も大歓迎です。虫好きの皆様のお越しをお待ちしております。詳細は以下のリンク先をご覧ください(先着10名様なので事前予約が必要です)。

https://bookhousecafe.jp/event/content/1020

今日はここまで。
来週末は神保町で会いましょう!

このページのトップヘ