むしむしブログ

2023年08月

 小学生の親子を対象にしたこのイベントは2019年から続く山風舎さんの恒例の年中行事。昨年同様、①奈良公園で糞虫観察→➁木陰で『シカの白ちゃん』の読み聞かせ→③奈良の鹿愛護会で鹿角ストラップ作り をおこないました。
 今回は真夏の暑さが厳しい時期の観察(8/22)だったので朝8:30に観察地の近くに集合し、まだ涼しいうちに糞虫観察を実施。早起きした子供たちはほぼ全員がルリ色に輝くオオセンチコガネ(俗称:ルリセンチコガネ)をGET!さらに立派なツノのゴホンダイコクコガネも次々に見つかり、大人は完全に蚊帳の外でしたね(写真1枚目)。運よく糞を引っ張るオオセンチコガネを観察できた子もいました。 
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林の中で見つかった糞虫は、私の記憶では以下の通り。
 ①ルリ色に輝くオオセンチコガネ
 ②地味に輝くセンチコガネ
 ③ツノがカッコいい!ゴホンダイコクコガネ
 ④胸の左右に突起あり。カドマルエンマコガネ
 ⑤腕のながーいナガスネエンマコガネ(メスは長くない)
 ⑥ツヤツヤ黒光りするマエカドコエンマコガネ
 ⑦米粒サイズのマグソコガネの仲間1~2種
後半は明るい芝地での糞虫観察の予定で、ここであと1~2種見つかれば伊丹市昆虫館友の会の観察会(6/10開催)での9種類に並ぶ快挙達成!と思ったんですが、既に日差しが強烈で子供たちの関心は水辺の生き物へ。ここでもトンボやヤゴ、マツモムシなどを次々に見つけて盛り上がってました。
 この後、木陰で水分補給しながら山風舎の高橋さんによる恒例の「シカの白ちゃん(1954年誕生、1972年交通事故死)」(写真2枚目)のちょっと悲しい、人間と野生動物とのかかわり方について考えさせられるお話。さっきまでワーワーはしゃぎまわっていた子供たちが静かに耳を傾けていました(写真3枚目)。


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 最後は奈良の鹿愛護会でシカの角のお話等を聞いた後、角の切片を磨いて絵を描いて自分だけの鹿角ストラップ(写真4枚目)を作ってお土産に持って帰りました。みんなの楽しそうな笑顔、サイコーです!(写真5枚目)
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(※奈良公園での糞虫観察会では、基本的に観察後すべての糞虫をリリースしています。)

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

 ならまち糞虫館でアフリカから来たフンコロガシ(スカラベ・サクレ)の飼育を始めてもうすぐ2ヵ月。私の手元には卵を産み付けられて西洋ナシ型に変形した糞玉や蛹にまで成長した糞玉などがあって、毎日糞玉や蛹を見て楽しんでいます。8/22にも既に産卵経験のあるメスが糞塊(奈良公園のシカの糞塊約20個に熱湯をかけてダニを殺し、練り固めたもの)から大きな糞玉をくり抜くように切り出して(写真1枚目)、あちこち転がした末に地面に埋めました。
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 翌日(8/23)地下室を完成させ、いよいよ産卵かと思ったら、なんと糞玉をモグモグ食べているではありませんか!相当な量を食べたらしく、お尻の辺りには糸のような糞が重なり合っていました。(写真2枚目) この個体はメスであることが確認できているので、てっきり卵を産むものだと思っていただけにちょっとガッカリです。
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 今日(8/25)見ると、表面が丁寧にまーるく削り取られたようになっていました(写真3枚目)。もしかしたら糞玉の仕上げ作業をおこなっている最中で、余分な糞を削り取って食べていたのかもしれません。確かに糞塊からくり抜いた糞玉は大きくて、通常の完成した糞玉の倍以上の大きさがありました。今回に限らず、糞塊からくり抜く糞玉はかなり大きかったり形が歪だったりすることも多いのですが、数週間たって掘り出すと小さくて美しい球体か西洋ナシ型に作り変えられています。私は大きな糞玉を地下室で押し固めて小さくすると思ってましたが、幼虫の成長に必要な量を残して親虫が食べていたんですね。まだこの糞玉は産卵されていないので何とも言えませんけど。
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 4年前に飼育した時も含めこれまでに見た30個くらいの地下室はそのほとんどがプラケースや水槽の底に作られていましたし、昆虫写真家 今森光彦氏の『スカラベ』(平凡社 1991年)の生態写真からも30cm以上の深さに埋めると思っていました。しかし今回は地表から10cmほどの深さで、プラケースの底まで5cm以上余裕がありました。これは『ファーブル昆虫記Ⅰ』(集英社 訳:奥本大三郎)p91の「スカラベの母虫がほった巣穴は地下十センチばかりのところにあります。」に一致するので、もしかしたら土の硬さや質、湿り具合などによって変化するのかもしれません。
 200年前に生まれたファーブル先生がフンコロガシに夢中になり、退職後にアルマスで見た光景と同じ光景を、今こうして私が見ているのだと思うと、感慨深いものがあります。フンコロガシの謎と魅力は200年たっても尽きるどころかますます深まるばかり。すごいぞ!フンコロガシ。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

 7/2にフンコロガシ(スカラベ・サクレ)のペアが糞玉を埋めて、1週間後に1匹が這い出し(たぶんオス)、2週間余り後に2匹目も這い出してきました(たぶんメス)。家の土間等の比較的涼しい場所に置いてましたが、エアコンはないのでプラケースの中は地中でも30℃を超えていたでしょう。交尾をしたペアが埋めたので産卵は確実と思ってましたが、現在ケース越しに見える糞玉の表面は真っ黒に変色しており「ダメだろーなー」と思ってました。1ヶ月半が経過したので、もしうまく育っていたら大きな幼虫になっているだろうけどねなどとブツブツ言いながら、今日糞虫館に来てくれた子供たちと一緒に掘り出しました。普通、糞玉はまわりに土がついていますがシカ糞の場合茶色っぽくなります(写真1枚目)。しかし掘り出した糞玉は、黒いヘドロで覆われたような変わり果てた姿になっており絶望的な気持ちになったのですが、振ってみるとコトコト音がします。干乾びた幼虫の死骸が出てくると思いつつ、慎重にナイフで割ってみると、なんと薄い飴色をした透けるような蛹が出てきました(写真2枚目)。
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 振動で少しクネクネ動きましたが、カブトムシのように激しくは動きません。予想外の展開で一緒に見ていた来館者の方より私の方が興奮してましたね。とりあえず素焼きの植木鉢にケースの土を入れて窪みをつけて、割った糞玉ごとそっと置いて、ラップで蓋をして、暗くしておきました。(写真3枚目) 写真をとりまくったけど、だいじょうぶかなぁ。
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 蛹の上をダニが3匹歩いていましたが、この程度であれば問題ないでしょう。4年前は幼虫にダニが大量に取りついていたので、今回は巨大糞団子を与える前に糞に熱湯を何度もかけてダニを殺したのがよかったのかもしれません。黒いヘドロの正体は何なんでしょう?親が糞玉の小部屋から出て行ってから変化してますから、親虫の出した物質ではありません。ということは「幼虫が出すヘドロ状の物質」=「幼虫の糞」 以外に考えられません。糞玉の壁はもはやシカ糞の名残はなく、ほぼすべてが黒いヘドロでできていました。(写真4枚目)
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 外側はパイナップルみたいにデコボコで、内側はなめらかスベスベ。糞を壁が抜けるほど食べてそこに糞をぶちゅっと出して穴を埋める。これを繰り返して最終的に黒いヘドロの固まったような糞玉となり、汚物を出し切ったところで蛹になる。想像ですが、目の前にある糞玉の表面と内側を見ながらそんなことを考えました。8/4に埋められた2つ目、3つ目の糞玉の表面は少し毛カビみたいなのが絡まってますが、普通の糞玉のままです。この糞玉の幼虫は順調に育てば9/22頃には蛹になっているはずですから、今回同様黒いヘドロ状の物質で覆われた糞玉になっているか、確かめたいと思います。でも、こんなことはファーブル昆虫記にも書いてなかったように思います。ファーブル生誕200周年となる記念すべき今年、私的には世紀の大発見⁉になるような予感がしています。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!



 ミュージアムパーク茨城県自然博物館の第87回企画展「うんち無しでは生きられない!」のオープニングセレモニー(7/8(土))にご招待いただき、せっかくの機会なので東京での雑用処理を兼ねて行ってきました。一体どんなことをするんだろーと思ってましたが、市長、県議会議員、㈱茨城新聞社長のほか、小学校の校長先生や商工会、消防署、近代美術館等様々な方が出席し壇上でお祝いを述べていました。最後はなんと吹き抜けのロビーでたくさんの人が注目する中でのくす玉割り!(写真1枚目)この自然博物館の活動にはボランティアの方も多く参加されているなど、地域の人と共に存在していることを強く感じました。もちろん、企画展会場の糞虫エリアも大盛況です(写真2枚目の右側)。
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 さて、企画展の中身ですが「うんちを食べる」「うんちが運ぶ」「うんちに化ける」「うんちから生える」「うんちで育てる」「うんちがつくる」「うんちでコミュニケーション」などなど。これらのフレーズから中身を全て予想できた人は、かなりのうんちマニアです⁉ 糞虫に関する展示もしっかりスペースが確保されていて(写真3枚目)、昨今話題のオオセンチコガネの育児について紹介されていました。世界の糞虫の標本も数多く展示されており(写真4枚目)、この標本を見るだけでも新幹線に乗っていく値打ちがありましたね。日本中の糞虫好きが集まる「コガネムシ研究会」の方もセレモニーに招待されていて、一緒に丸一日うんちの企画展会場で過ごしました。 No UNCHI , No LIFE !
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 この日はならまち糞虫館開設5周年の記念日。ならまち糞虫館では華やかなセレモニーは何もしませんでしたが、この会場でゴホンダイコクコガネの大きな写真(提供:ならまち糞虫館)に出会えたことが5周年の良い記念になりました。(写真5枚目)
 なお、この企画展「うんち無しでは生きられない!」は、9/18(月・祝)までの開催です。ならまち糞虫館では先着10名様にご招待券を差し上げます。お盆や土日は予約がいるようですから、茨城県自然博物館のHP等で確認してから行ってくださいね。
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 オマケと言うにはスゴすぎるモノですが、これ(写真6枚目)何かわかりますか?カモシカの消化器官、つまり口から肛門までの標本です。腸間膜を切らずに作られているので超リアルです。これもこの企画展のために製作されたそうです。担当者さんたちの気合がビンビン伝わってきますね。
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今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!!

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 フンコロガシがならまち糞虫館にやってきて1か月が経過しました。90㎝×45㎝×30㎝の浅い水槽で飼ってますが、埋めた糞玉が別の個体に掘り返されるのを防ぐために糞玉を転がし出すとプラケースに虫と糞玉を移して埋めさせてます。現在、6個が産卵されたのではないかと期待しています。掘り出せば糞玉が西洋ナシ型に作り変えられているのですぐにわかるのですが、掘り出すタイミングを計りかねています。
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 とりあえず今回はフンコロガシがフンをするところの写真をアップします。ファーブル昆虫記には、12時間もの間スカラベ・サクレは糞を食べ続け、そして糞を出し続け、その糸のような糞は長さが2m88㎝にもなったと書かれています。ファーブル先生は、さらに糸のような糞の直径と長さから糞の体積を計算したところ、それはスカラベ自身の体積とほぼ同じだったそうです。ということは自分の体の数倍の糞を食べたことになりますね。すごいぞ!フンコロガシ。 ところで、スカラベの体積は一体どーやって調べたんでしょうね?正解は、集英社の『ファーブル昆虫記Ⅰ ふしぎなスカラベ』(訳/解説:奥本大三郎)にはきちんと書かれていますので、そちらをご覧ください。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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