むしむしブログ

2023年11月

 4年ほど前に初音ミクというネットの世界で作られたアイドルが歌うゴホンダイコクコガネの歌を作った人がいて、このブログでも紹介したことがあります。今度はついに生身の人間、しかも本物の歌手がフンコロガシの歌をリリースしたというお話です。
 10月の初めに山口ケーブルテレビジョン株式会社から糞虫館のHPの問合せメールで「フンコロガシのことを番組で紹介したいのでその生態について教えて欲しい」との依頼がありました。糞虫の存在やその役割を広く知ってもらうことができるので、テレビ局や新聞社の方からの取材は積極的にお受けしており、今回も何度かやり取りしたのですが、相手はなんと自分で作詞・作曲して歌っている、いわゆるシンガーソングライターの高橋真実さんだったのです。現在「生き物ソングでHAPPY!」という番組で、生き物たちが頑張っている姿を歌にして毎月1曲生き物ソングとしてリリース、幼稚園を訪問する番組で毎日流しているとのこと。11月はフンコロガシがテーマで、「コロコロフンコロガシ」♪はYou Tube でも映像をアップしているそうなので、もう見た人もいるかもしれませんね。生き物ソングなので対象は虫だけではなくて、10月はトラ、9月はオタマジャクシ、という感じです。
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 番組のDVDの他にアルバムのCDも頂いた(写真1,2枚目)のですが、どの曲も真実さんのはじけるような歌声に元気が湧いてくる感じがします。「シロクロつけてたらなんだか疲れませんか?シロクロつけつけるなら、私についてます。」なーんて歌詞のある「シマウマの気持ち」。「鹿せんべい」というシカの歌もありました。なぜが涙が出てきた「セミの夢」なんかは最高の人生の応援歌です。高橋真実さんはそんなに生き物に詳しい方ではないと思いますが、生き物の気持ちを僕らと同じように深く読み取ることができるんだなぁと思いました。今回私は虫の生態や生き様をこんな形で多くの人に伝える方法がある事を知りました。機会があれば、B.Bクイーンズの「踊るぽんぽこりん♪」(の変なオジサン)ぐらいのパートなら歌えそうだから、高橋真実さんのステージ(幼稚園でもいいんですが)に呼んでいただき、一緒に生き物のことを大勢の人に歌で伝えたくなりました。生き物ソングのプリンセスとフン虫王子のデュエットなんてロマンチックじゃないですか?もしかしたら、You TubeでバズってNHKの紅白歌合戦に出場できるかも⁉ いやー、ワクワクしてきましたよ。夢を100人に話すと実現する、という格言もありますから、まずはこのブログへのアクセス100人達成を目指します(笑)。SUCCESS PROMOTION(高橋真実さんの所属プロダクション)からのオファー、お待ちしています!

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)は、全国の書店で好評発売中!

 11月の上旬は暖かい日も多かったのですが、下旬(11/26)ともなるとさすがにもう冬ですね。センチコガネもエンマコガネも見られなくなってしまいました。しかし奈良公園は日本一の糞虫生息地だけあって、糞虫がいなくなることはありません。10/26にFITに2匹のチャグロマグソコガネが落ちたのは少々早すぎる気もしますが、11月下旬の奈良公園の林に行くと、冬マグソの潜り込んだ穴の開いた糞をすぐに見つけることができます(写真1枚目)。注意深く糞に開いた穴を広げていくと、ネグロマグソコガネ(写真2枚目)が出てきました。
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 別の糞からはチャグロマグソコガネ(写真3枚目)、ミゾムネマグソコガネ、オビモンマグソコガネ(写真4枚目)がすぐに見つかりました。オビモンマグソコガネは他の冬マグソに比べると出会える機会は少ないのですが、この日はラッキーでした。
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 もう少し日の当たる場所も探せばマグソコガネ、イヌ糞があればセマダラマグソコガネも見つかると思います。ちょっと散歩のついでに糞を見るだけで6種類のマグソコガネの仲間を観察できるなんて、日本中でも奈良公園ぐらいじゃないかな。幸せです。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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 コロナが流行する前は学校に出張授業にいったらその話や質疑応答した内容から『ふん虫のひみつクイズ』の本を作ったり、コロナの時は糞虫館に来れない生徒の代わりに先生が質問書を持ってやって来たこともある奈良市立済美小学校。『ふん虫のひみつクイズ』や生徒からのお礼のメッセージが綴られた小冊子は今も糞虫館に展示してあって、たくさんの人が手に取る人気のアイテムです。今年は4年生のグループが来て取材を受け、なんと「となりの人間国宝さん」(関西TVの人気番組です)ならぬ「せいびの人間校区宝さん」に認定されました(写真1枚目)。1ヶ月ほど前には、生活科「町探検」の学習で先生と2年生15人が糞虫館に来て、事前にまとめた質問をもとに私にいろいろインタビューしたことがありました(写真2,3枚目)。
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 その時に担任の先生から、創立150周年記念式典で発表するのでぜひ見に来てくださいと言われていたのです。私は式典とかはあんまり好きじゃないのですが、インタビューの内容がしっかりしていてみんなが熱心で予定時間をオーバーするほどだったので、どんな感じにまとめて発表するんだろう?と興味が湧いたので、有名な建築家が設計した「100年会館」という立派な建物(写真4枚目)で開催された記念式典を覗きに行ってきました。
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 さすがに150年もの歴史があると卒業生だけでも相当いますから、約1,500もある大ホールの座席がほぼ満席。家族連れが多く、みなさん学習発表会を楽しみに来ているようでした。1年生の校内探索に始まり2年生は学校周辺へ、学年が上がるにつれて校区全体や世界遺産へと対象を広げ、人の暮らしや奈良の歴史を踏まえた興味深い発表内容になっていました。発表のやり方も学年ごとに工夫されていて画一的な発表でなく、自分たちで作り上げている様子が伝わってきましたよ。舞台での発表の時、みんな原稿なしでやっているところもスゴイ!なかなかできることではありません。
 2年生の15人が調べてくれた糞虫館の掲示発表と舞台発表はこんな感じ(写真4~6枚目)。
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 4年生になると、量も質もかなりのものになってますね(写真7,8枚目)。
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 こういった活動を6年間続けて鍛えられた6年生の発表は、(6年生の)62人が選んだこれからも残していきたい奈良市のすてきな風景、名付けて『新・南都六十二景』(写真9枚目)。舞台発表では新・南都八景を紹介してくれました。観光ガイドブックより面白くて役に立つ、そんな素晴らしい出来栄えでした。
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ホントに今日は楽しくて、ブログが長くなっちゃいました。
今日はここまで。
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 日本中のさまざまな博物館を訪れ、直接館長さんや学芸員さんからお話を聞くのが大好きという丹治俊樹さん。エンジニアの仕事の傍らこれまで1100ヶ所以上の博物館を訪れたという博物館マニア。昨年(2022年)8月に「ユニークな博物館を紹介する本を出すのでお話を聞きたい」との連絡を受けました。実は既にその1年ほど前(2021年)にも来館されたそうで、その時2冊目の本を出すときにはこの糞虫館を掲載しようと決めていたとのこと。丹治さんはブログ「知の冒険」の主宰者でフォロワーが1.6万人(!)、博物館好きの間では超有名人で、2021年に全国のコアで魅力的な55ヶ所の博物館を取り上げた『世にも奇妙な博物館』を出版して大ヒット。で、今回の連絡は、その第2弾『世にも至宝な博物館』の取材だったわけです。取材といっても糞虫に関する思い出話や糞虫館設立時の苦労話などを聞かれるがままにお話するんですが、とても楽しくていつの間にか時間が過ぎてましたね。本を書くためというよりは、丹治さん自身が糞虫や糞虫にハマっている私のこと知りたくていろいろ聞いてくる感じだったからだと思います。
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 取材を受けて1年が経過し、そんなことも忘れかけていた先月、「みらいパブリッシング社 から出版しました」とのうれしいお知らせと本が届きました。表紙には『世にも至宝な博物館』ー後世に遺したい50のみらい遺産ー (写真1枚目)。なんと日本全国1100以上の博物館の中から博物館マニアの丹治さんが選んだ50ヶ所に糞虫館が入ってたんです!糞虫館は規模は小さいし、私は学者でもないただの糞虫好きだし、すんごいコレクションがあるわけでもないので、この本を見た時にここに載ってていいんだろうか?なーんてことも少し思いましたが、糞虫に対する熱量やずーっと糞虫とかかわってきた人生も含めて「後世に遺したい」と評価して載せてくれたのかなと思っています(写真2枚目)。
 この本に紹介されている博物館は、さすが自らを博物館マニアと名乗る丹治さんが厳選しただけあって、設立した人の思いや後世に伝えるべき深いテーマを持つ所ばかりです。震災遺構 仙台市立荒浜小学校(宮城県)、万世特攻平和祈念館(鹿児島県)、三毛別ヒグマ事件復元地(北海道)・・・ 。丹治さんは前書きに「本を読んで知っていただく以上に足を運んでいただきたい」と書いてますが、文字や写真では伝えきれないものを現地に行けば感じることができる、ということだと思います。なので、ならまち糞虫館にもぜひ足を運んでくださいね!お待ちしています。

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『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)は、全国の書店で好評発売中!

 奈良公園で黄色い紋様が美しいヤマトエンマコガネの姿が見られなくなって少なくとも既に40年以上になるでしょうか(もし違っていたらご指摘ください)。糞虫好きの先輩方からは「俺が若草山で野グソをすれば、ヤマトエンマが100匹飛んで来たもんだ」といった話を聞かされているものの、1977年以降に採った糞虫を収めた私の標本箱には「採集地:奈良公園」と記されたヤマトエンマの姿はありません。
 コガネムシ研究会の会誌『鰓角通信』のバックナンバーで滋賀県にヤマトエンマがコガネがいる事を知り、2019年に滋賀県で初めて採集できたのですが、その後牛糞を仕掛けたりもしたものの、見つかるのはカドマルエンマコガネやフトカドエンマコガネばかりでした。今年も9月に採集を試みたものの空振り、10月に再度トライしてようやく出会うことができました。2019年は、イヌ糞やタヌキ糞から見つかっているもののシカ糞からは1匹も見つからず、ヤマトエンマコガネはシカ糞を好まないのか?と思ったものです。今回は10月にシカ糞から5匹、牛糞で1匹見つかっており、シカ糞嫌いではないことが分かりました。シカ糞の中に潜んでいることが多く、糞の下のトンネルからほじくり出したエンマコガネは、カドマルエンやフトカドエンマコガネがほとんどで、ヤマトエンマコガネはいませんでした。たまたまかもしれませんけどね。その時の様子が写真1~4枚目です。
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