むしむしブログ

2024年10月

 東京メトロ日比谷線「六本木」駅から徒歩5分に位置する東京ミッドタウンにあるデザイン施設、21_21DESIGN SIGHTで、『ゴミうんち展』が開催されています。チラシには展覧会ディレクターである佐藤卓 氏のメッセージが。「現代の「ゴミ」や「うんち」という概念は、なぜ生まれたのか。「循環」が難しいテーマであることは重々承知の上で、何ができるのかを探っている。難しいテーマをいかに面白くできるか。そこにもデザインが試される。」 
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 この企画展では身の回りから宇宙までを見渡して様々な「ゴミうんち」を扱っており、そしてゴミうんちを含む地球規模の複雑に絡み合う世界の循環を「pooploop」と捉えています。うんちのあるところには糞虫あり。糞虫といえば「ならまち糞虫館」。循環をテーマにした壮大なスケールの企画展に、実は糞虫館もちょこっと顔をのぞかせています。この企画展ではフンコロガシが紹介されていて、そこに糞虫館秘蔵のスカラベ・サクレ(Scarabaeus sacer)の育児球(糞玉)が展示されているのです!
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 糞虫館に来たことのある方は、この糞玉をご覧になった方も多いと思いますが、規模もテーマも糞虫館とは桁違いなので、よーく探さないと見過ごしてしまうかもしれません。というか、糞玉を見過ごしてしまうほど盛り沢山で奥深い展示内容なのですよ。webサイトがありますので、そちらをぜひご覧ください。

 21_21DESIGN SIGHT 企画展「ゴミうんち展」 開催概要 ➡ こちら

 美術手帖 「ゴミうんち展」 開幕レポート ➡ こちら

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

4年ほど前からFITを仕掛けるようになってムネアカセンチコガネを採集することができるようになり、今ではならまち糞虫館の標本箱にも何匹かのムネアカセンチコガネの標本が並ぶようになりました。ただ、採集日は5~6月、9~10月のラベルばかり。『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)によると出現期は5~11月となっています。盛夏の頃(7~8月)もいるのかもしれないけれど、誰かから「春か秋がいいよ」と聞かされて、その時期にFITを仕掛けたら採集できたもんだから、夏にFITを仕掛けたことが無いのです。めちゃくちゃ暑い7~8月にムネアカセンチコガネは活動しているのか?自分の目で確かめてみないとね。
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 もう一つ「ムネアカセンチは夕方に飛ぶ」っていう都市伝説。私はこれを「夕方にしか飛ばない」と捉えていました。なのでFITの回収は、ムネアカセンチコガネが溺れて死なないように毎日日没後に見て回り、水盤でもがいているまだ元気なムネアカを見て「やっぱりまだ落ちたばかりだから元気だ」って思ってたのです。ところが、昨晩見回った後、今日は都合で昼過ぎにまた見回ったところ、ムネアカが水盤でもがいてました(写真1枚目)。午前中に落ちたようです。「夕方によく飛ぶけど午前中にも飛ぶ」みたいですね。「糞虫は糞を食べる(けど糞以外のものも食べる)」のと同じ。
 私が学生の頃はインターネットなんかなかったし、専門家の方に質問するのも手紙なので字が下手で人見知りする私にはできませんでした。僅かな情報から想像を膨らませて採集場所や時期を考えては、空振りを繰り返してました。今はたくさんの質の良い情報が簡単に得られるので、いい時代になったもんだと思います。ただ、新しい生息地の開拓や習性の発見には意識的に取り組まないと、見聞きした知識だけで分かったような気になってしまうんじゃないか、なーんてジジ臭いことを考えてしまう今日この頃です。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

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 昨日、事前レクチャー付き奈良公園糞虫ツアー主催者のJR東海の方と最終打ち合わせをおこないました。温暖化の影響かインバウンドの影響か原因はよくわからないのですが、従来の観察場所ではこの1,2年ルリセンチコガネの姿が見られなくなっていて、予定のコースでルリセンチコガネ(写真1枚目)やゴホンダイコクコガネ(写真2枚目)といった「メインディッシュ」が全く観察できない場合の対応を検討しました。自然観察グループの観察会であれば、いろんな種類の糞虫が観察できればたとえルリセンチコガネが見れなくても「今日は運が悪かったですね、こういう環境の場所でじっくり探せば見つかります」みたいに自然体でいいと思うのですが、JR東海のEX会員様向けの有料のスペシャルツアーですから「運が悪かったですねー」で終わるのも、ちょっとね。野生のイルカとかクジラを見に行くツアーにせっかく参加したのにイルカに会えなかったら、がっかりするだけでなく私なんか損した気になりますもん。検討の結果「前日までに春日大社にお参りをしておく」ことにしました!(笑)

【詳細はこちら】 ⇒ https://tabilist.jp/increment_click.php?id=476

 10/20(日)は残り数席ですが、10/19(土)はまだ余裕があるそうです。申し込みの期限は3日前の14:00となっていますが「ワシは糞虫館の館長の友達や!」と言えば、期限を過ぎても参加できるかも⁉(担当の方が困るので、期限までにお申し込みください。よろしくお願いいたします)
P5200051-1 ゴホンダイコクコガネ♂

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!


 読書の秋、食欲の秋、芸術の秋という感じでなにかと忙しい季節ですが、もちろん私は糞虫の秋。ムネアカセンチコガネ、アカマダラセンチコガネ、マルエンマコガネ、ヤマトエンマコガネ、ミツコブエンマコガネ等々、冬が来る前に出合いたい糞虫達が目白押し。先週は満を持してヤマトエンマコガネを見に滋賀県まで行ってきました。去年観察することが出来たのと同じ時期を狙って、週間天気予報を見ながら10/9(水)に10か所以上に糞を仕掛け、10/11(金)に回収。もう1,2日後でも良かったのかもしれませんが、人目に付きやすい場所なので、10/12(土)からの3連休前に回収に行ったのでした。エンマコガネが飛びたくなるようなお天気が続いていたので、かなり期待してました。
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 ところが、連休前だからか芝刈り機で丁寧にシバが隅々までしっかり刈り込まれていて、仕掛けたフンの半分以上が押しつぶされたり粉砕されてました。さらに目印に置いていた枝や小石が跳ね飛ばされて仕掛けたフンの位置がわからなかったり、もう散々。結局この日は数匹のカドマルエンマコガネを見ただけで終了。
 毎年いろんな場所に仕掛けているのですが、ヤマトエンマコガネの新たな生息地を見つけることはできていません。去年ここのヤマトエンマコガネは鹿糞から見つかったので、シカ糞で世代を繋いでいると思っているのですが、採集個体によるシカ糞での繁殖は失敗続きです。失敗の原因は、私の飼育管理のマズさなんですけどね。奈良公園からコイツが姿を消してもう数十年になりますが、滋賀のこの地で生きながらえることを祈るばかりです。(写真のヤマトエンマコガネは2019年に採集・飼育したもの)

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

【お願い】
 オープン7年目に突入したならまち糞虫館は「日本のすべての糞虫が展示されている糞虫館になる!」ことを目指しています。まだ糞虫館に展示されていない、もしくは数匹しか展示されていない種をお持ちの方は、寄贈や預り等どのような形でも結構ですので、ご協力いただけるとありがたいです。ちょこっとタッパーに入れて持ってきてくださるのも大歓迎。私個人は遅かれ早かれいずれ朽ちてしまうので、今後は法人化、できればNPO法人を設立して未来永劫糞虫のすばらしさを伝えていくハブ施設にすることを夢見ています。ご支援・ご協力いただけると幸いです。


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