

「兵庫県揖保川や夢前川流域からの記録が多い」このエンマコガネ(写真1、2枚目)は、1990年代になってその存在が広く知られるようになりました。黄色い模様のエンマコガネなので、超希少種であるヤマトエンマコガネ(Onthophagus japonicus)と混同されることも多いようです。私のミツコブエンマコガネ(Onthophagus trituber)に関する知識は「日本列島フン虫記」(塚本珪一:著)の受け売りなんですが、この本の中に塚本さんと河野伊三郎さんが2人で夢前川に採集に行き、簡単に採集できた様子が記載されていたので、私も行ってみました。ちなみに、チャグロマグソコガネ(Aphodius isaburoi)(写真3枚目)のイサブロイは、伊三郎さん由来だそうです(残念なことに河野さんは1997年に亡くなられました)。

記録では10月頃の採集が多いのですが、奈良公園の多くのエンマコガネと同じく春と秋に出現するとの話も聞いており、また春に採集できれば貴重なデータの蓄積にもなると思い、5/4に電車を乗り継いで2時間半かけて夢前川へ。そこには想像通りの景色が広がっていたのですが、ただ一つ違っていたことが・・・。それは「犬糞がない」ってこと。1994年にお二人が採集した時は河川敷の散歩道のあちこちに犬糞があったようですが、今では3時間歩き回っても適当な犬糞に巡り合えず、収穫はゼロ。河川敷に犬糞を放置したら罰金100万円!ぐらいの条例があるのかも・・・。で、頭を切り替えて、砂をふるってケシマグソコガネ狙いに変更。するといきなり1匹見つかりました。が、それっきり。日も傾いてきたので来た道を戻りつつ、諦めモードで「何かおらへんかなー」とこんもりした枯れ草をめくってみるとその下に犬糞がゴロリ。そーなんです、人間らしい人がまだまだここにはいたんですねぇ。糞を持って帰るのは嫌だけど放置するのは忍びない。で、草を被せてカムフラージュ(写真4枚目)。

その後、さらに枯れ草に隠された2つのいい状態の犬糞を見つけることができ、1匹だけですがミツコブエンマコガネ♀を採集することができました。伊三郎さんがかわいそうに思ってプレゼントしてくれたのかもしれません。感謝。
今日はここまで。
再見。
コメント
コメント一覧 (4)
単純に、連休ですと人間は旅行に行くので、犬はペットホテルに強制連行かと。
つまり、犬の散歩をしていないのでは?と思います。
こちらはメインのハンミョウに四月末から苦戦しており、位置付けでは希少種のアイヌハンミョウを数百匹単位で確認しましたが(採集は4匹)、コニワハンミョウは数年かけても確認できていません。
連休中の河原巡りでは、オサムシやらマイマイカブリを捕まえただけでギブアップです。
糞虫もそうですが、環境悪化の現代で、ハンミョウなぞ追うものではないのかもしれません。
黒戌さんはハンミョウですか!私は網を持ち歩かないので、先週もさっそく奈良公園でも見かけましたが、種類はわかりませんでした(薄茶色に黄色の小さい模様)。あと、東京勤務時代に東京と九州(小倉付近)にしかいない(と図鑑に書かれている)トウキョウヒメハンミョウ(?)を練馬区で大量に見たことがあります。
ある程度の大きさがあり、飛んでいたなら確率が高いです。
春の採取記録はほとんどないようですが、大きなアリくらいの大きさで、飛ばずに走り回っていたなら、ホソハンミョウかも知れません。
トウキョウヒメハンミョウは関西で発見されましたよ。
噂には聞いていましたが、関東では本当に都市部で普通にいるんですね…。
網を持っていると目立ちますので、話かけられると、虫屋さんには、ハンミョウ採集と答えますが、一般の方には、クモやハエだと答えています。
採集は残酷、種の絶滅、乱獲のイメージを持たれていることが多いため、心理的不快害虫をあげておけば無駄な争いを避けれます。
実際、見せる用に数匹生け捕りにしています。
そもそも、山には登山者の格好で網の柄も登山ステッキの改造品等、自然な格好で行くので、虫屋さんにも気付かれませんが。