昨年5月に初めてナンキンハゼの朽木でクロツツマグソコガネ Saprosites japonicus を見つけてからというもの、奈良公園のあちこちの朽木の樹皮の下から季節を問わずその存在を確認していました。しかし、これまで数千個のシカ糞で糞虫を見てきた私は、一度もこのクロツツマグソコガネをシカ糞で見つけたことはありませんでした。「日本産コガネムシ上科図説(食糞群)」(コガネムシ研究会:監修)にも「樹皮下から見つかることが多く、落葉下からも得られている。イヌ糞・腐敗動物質・PTからも見つかり食性は幅広い。」と記されており、シカ糞で見つかった例はあまりないのかもしれません。
 それが今日、シカ糞に潜り込んでいるクロツツマグソコガネを確認したのです。いつものアセビ林で、それほど新しくない小ぶりの塊糞を割ると、ぷっくりとしたヌバタママグソコガネ Aphodius breviusculus 1頭と細身のマグソコガネの仲間らしき1頭が姿を現しました。細いのでハネカクシかとも思ったのですが、ピンセットでつまみだすと間違いなくマグソコガネの仲間、ルーペで見るまでもなくクロツツマグソコガネだとわかりました。
IMG_6846-1

 これだけだと、「ふーん、こんあこともあるんや。」で終わるのですが、夕方、やはりアセビ林のやや乾き気味の粒糞(エンマコガネ類の食痕あり)から、またまたクロツツマグソコガネを見つけたのです。こちらは厳密にいうと糞の中ではなく、喰い散らかされたシカ糞の下から出てきたので、シカ糞を食べていたとは断言できませんけど。
 でもですよ、今まで樹皮の下からしか見つけられなかったクロツツマグソコガネを2頭、樹皮の下以外のところで見つけたという事実は私にとっては歴史に残る大発見です。めっちゃ嬉しいです。この幸せを世界中の人にも分けてあげたい・・・。


今日はここまで。
再見!