この春(3/28)から糞虫の飼育を始めましたが、いくつかの容器で突然多数のハエが発生しました。ハエが発生しなかった容器の糞虫は元気で、糞を入れるとたちまち粉々にしてしまいます(写真1枚目)。一方、ハエが発生した容器は糞虫を1ペアだけ入れていたり、食欲が無かったりで、糞塊がいつまでも残っていました(写真2枚目)。ウジ虫(ハエの幼虫)が発生すると糞がべたべたになり、糞虫は嫌がるようです。糞虫に食欲がないからハエが発生するのか、ハエが発生するような環境だから糞虫に食欲がなくなるのか、よくわかりません。ただ、多数の糞虫たちによって粉々にされた糞ではハエは発生しないということは間違いなさそうです。
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 オーストラリアやインド、中国、スイスでは、家畜が近くにいない場所でも、シカがたくさんいる奈良公園に比べてハエが多いように感じます。奈良公園は、春になり桜のつぼみが膨らむ頃には大型のクロツヤマグソコガネが現れ、その後はクロマルエンマコガネなどのエンマコガネの仲間、さらに大型のルリセンチコガネも現れます。夏は糞虫の種類は減るものの、暑い夏に活躍するマグソコガネの仲間がウジャウジャ現れますし、ナガスネエンマコガネやカドマルエンマコガネなどは健在です。秋にはまた糞虫達の種類が増えるので、2,3日で糞を粉々にしてしまうこれらの糞虫のせいでウジ虫が成長できる時間がないのでしょう。ハエが発生できる季節は完全に糞虫が活発に活動する季節と重なり、ハエの発生は糞虫によって抑制されていると言っていいと思います。
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 では奈良公園にハエがいないのかというと決してそうではなく、今回のように奈良公園のほとんどのシカ糞には多数のハエの卵が産み付けられており、糞虫が頑張らないとほんの一塊の糞塊から3週間ほどで100匹のハエが出てくるのです(写真3枚目)。糞虫の繁殖には失敗しましたが、そのおかげでハエの驚異的な繁殖力を学びました。転んでもただでは起きない、のお手本のような出来事ですね。


今日はここまで。
再見!