日本産コガネムシ上科図説第1巻〔食糞群〕(監修:コガネムシ研究会)によると、クロツツマグソコガネもヒメツツマグソコガネも1年を通して出現するとなっています。両種とも奈良公園ではそれほど珍しくもなく、カシの木やナンキンハゼの朽木の皮をパカッと剥がせば意外と簡単に観察することができます。特にここ数年は「ナラ枯れ」や台風などで多くの木が倒れており、朽木に住む糞虫達のいい住み家になっています(写真1枚目)。
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 先週観察したヒメツツマグソコガネは、伐採された「ナラ枯れ」のクヌギの樹皮をめくって見つけました。一昨年の5月と6月に奈良公園で私にとって初めてこの両種を見つけてからは、「ホンマに一年中いるんかいな?」と気にかけていましたが、見つけるのが下手な私でもこの1年半の間観察して、ほぼ毎月のように見ることができましたので、間違いありませんね。よく見つかるのは広葉樹の倒木で樹皮が微妙に浮いていて、パカッと捲れるくらい朽ちている幹。地面に横たわるなどしていてかなり湿っていることが重要と感じています(写真2,3,4枚目)。
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 子育てをするのか、7月頃幼虫と一緒にいるという情報があるのですが、まだ確認できてません。ネグロマグソコガネの幼虫よりさらにスリムで小型の可能性もあるので、見過ごしているのかもしれません。どんな形をしているのか?何を食べているのか?どれくらい生きるのか? わからないことだらけの奴らですが、少し珍しい糞虫でもあるので、出会えるだけでもありがたいと思わないといけないのかも。

 ところで、奈良公園に朽木を粉々に粉砕する人が来てますねー。何かお目当ての虫を探してるんでしょうが、朽木は集合住宅みたいなもんで、お目当ての虫以外の生き物もたくさん住んでいます。寒空の下に裸で放り出されるわけですから、かわいそーと思わないのでしょうかね。ほかの生き物のことを考えていないという点で、ある種の害虫を殺そうと殺虫剤をまいて関係のない生き物まで皆殺しにしてしまうのと同じじゃないかなー。

今日はここまで。
また明日!