この数十年で見かけなくなった糞虫として、クロツブマグソコガネ(写真1枚目)の名前がよく挙がります。糞虫観察の大先輩方は、クロツブマグソコガネなんか奈良公園にいくらでもいるはず、と言いますが、去年も結局1匹も見つけられなかったので、私的には「最近見られなくなった糞虫リスト」に入れていました。塚本珪一先生の『日本列島フン虫記』(2003年)にも「奈良公園の糞虫の中には理由不明で激減している種があることが不気味である。」という中でクロツブマグソコガネの名前を挙げてらっしゃいます。
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 しかし、先日クロツブマグソコガネを難なく見つけた方からコメントをいただき、またこの種独特の食性・習性をおさらいして、今日ダメもとで探してみるとあっさり見つかったのです!見つけたのは1ヵ所、5匹ですが、いまの私ならいくらでも見つけられるような気がしています。いやー、自分でいうのも何ですが、こういうのを一皮剥けたっていうんでしょうね。違うか・・・
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 見つけ方は簡単。落葉が重なって地表が見えないようなところで、シカの通り道になっていそうなところ(落ち葉の下にシカ糞がありそうな所)で落ち葉を除けて埋もれて湿っている古いシカ糞を探し、食痕があればよく見る(写真2,3枚目)。ほんと、今まで大先輩方から耳にタコができる程聞いていた内容通りでした。普通に糞虫を探すときには全く注目しないほど古いシカ糞の粒の中に入ってました。一度騙されたと思って、落葉に埋もれた古いシカ糞を探してみてください。ひっそりと暮らすもっこりした愛嬌のある体型のクロツブマグソコガネに今なら会えるかもしれません。(写真4枚目)
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今日はここまで。
また明日!