糞虫館にいるコブナシコブスジコガネは、もともとは山梨県の東部で2018年に採集されたものを長野県で飼育・繁殖されていたものです。その方から「いろいろ試して、観察してみて」と、成虫十数匹と1令幼虫多数を送って下さったものです。自分で採集した時はその生息地の様子を知っているので、飼育する環境も大体イメージできるのですが、コイツは自分で採集どころか生きた虫すら見たことが無いので。なんせ、星★4つの希少種ですから。
 いい状態で到着したので、成虫も幼虫も同封していただいた鳥の羽根やタヌキの毛をモリモリ食べ、5月中旬にはおそらく終齢幼虫(3令)と思われる大きな幼虫が散見されるようになってました。6月に入ると、タッパーの底の方に白い幼虫が張り付いてうねうね動く様子が観察されるようになりました。ただ、タッパーは半透明なのではっきりとは見えず、うねうね動く様子がうじ虫のようにも見えて、一抹の不安があったのです。その数がどんどん増えてくるにつれて、不安もどんどん高まってきて、とうとう耐えられなくなり、今日、1つ掘り返してしまいました(写真1,2枚目)。
P6210282-1
P6210286-1

 やったー!蛹になってるー。5/14時点では大半が1令幼虫ですから、そこから1ヶ月ほどで蛹になったことになります。まだ真っ白なので、蛹になってあまり日は経っていないと思われます。『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』〔監修:コガネムシ研究会〕によると発生時期は5~9月となっていますので、この蛹はこの夏に羽化すると思いますが、まだまだ親虫も元気。親子一緒に越冬するのかもしれません。
P6010094-1
P6210278-1

 食べ物については、成虫は鳥の羽毛とタヌキの毛のほか、奈良公園のシカの毛、金魚の死骸、どれもよく食べます(写真3,4枚目)。幼虫は細いタヌキの毛や鳥の羽毛、獣糞(?)が食べやすいのかよく食べているように感じました。シカ糞はかじった痕跡はありましたが、ほとんど食べないようです。
 私はこれまで、外国産のカブトムシやオオチャイロハナムグリなどを飼ってなんとか蛹にまでは育てるのですが、最後は羽化せず蛹室の中でカビて死んでいるという経験をたくさんしているので、まだまだ気を抜かず無事に羽化するまで、緊張感を持って観察を続けます。

今日はここまで。
また明日!