私は大変な糞虫好きですが、コレクターではないので、珍しい種類の標本はあまり持っていません。ダイコクコガネですら自分で採ったことがないので、超糞虫好きの九州大学の学生さんに借りて展示しているくらいです。なので、長野の師匠に送っていただくまでは、『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』で最希少種とされているオオコブスジコガネ(★★★★★)なんか、当然見たこともありませんでした。師匠に生息環境や飼い方のコツを伝授していただき、不思議な鳴き声に耳を傾けたりして、楽しく観察してました。でも、この種の出現期は5~9月と記載されており、南方系のコブスジコガネとの説もあって、季節に関係なく産卵し幼虫も育ちますが、冬になると成虫も幼虫も死んでしまうらしいのです。とすれば、ウチのも幼虫が育っているかも・・・。というか、鳥の羽根をよく食べてはいるし、じょりじょりと砂を掘っている音が聞こえたり、鳴き声が聞こえたりはするのですが、姿が見えない。砂の中にまで羽根を引きずり込んだ残骸も多数確認できており、もしかしたらという期待もありました。
 砂の状態は、表面はさらさら乾燥、1~2cm掘ると湿り気があり、握ると辛うじておにぎりが結べる感じ。狙い通りにコントロールできています。注意深く砂を除けていくと、5cmくらいの深さのところから、小さな幼虫がポツポツと10匹ほど出てきました。このプラケースにはオオコブスジコガネの成虫が6匹いるだけですから、その幼虫に間違いありません。(写真1枚目)
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かなり大きめの幼虫も出てきました。終令(3令)幼虫でしょう。成虫と比べても負けないくらい堂々たる大きさです。(写真2,3枚目)
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 オオコブスジコガネとコブナシコブスジコガネの幼虫を比べると、大きさ以外にも結構違いがあります。オオコブスジコガネの方が動きが早く、6本の脚を使ってスタスタとかなりのスピードで歩き回ります。そのせいでデジカメ写真はピンボケばかりです。外観の違いは、大顎が大きいこと。しかもけっこうケンカ好きで、ほかの幼虫にぶつかったりすると、大顎をガッ!と開いて威嚇します。でも、基本的にはこの大顎は骨や羽根の芯、干乾びた肉をかじるために大きく発達したものと思うのですが、どうでしょう?

今日はここまで。
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