コガネムシ研究会の河原氏のプレゼントはもう一つありました(写真1枚目)。エンマコガネの仲間ですねー。黄色い模様がはっきり見えますから、これもヤマトエンマコガネでしょうか?ラベルから、兵庫県広畑区の夢前川で採集されたものであることがわかります。
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  そうです。『日本産コガネムシ上科図説(第1巻 食糞群)』にも生息地として夢前川やその西を流れる揖保川が紹介されているミツノエンマコガネ(Onthophagus trituber)です。私は、この美しいエンマコガネの存在を『日本列島フン虫記』(塚本珪一:著 2003年 青土社)で知りました。塚本先生は、「14章ミツコブエンマコガネ・河野伊三郎さんのこと」のなかで、1994年10月13日に河野氏と二人で夢前川の河川敷を糞虫話を交わしながら、ミツコブエンマコガネの撮影や採集を楽しんだ様子を描かれていらっしゃいます。それを読んだ私も2017年5月に夢前川を訪れ、お二人が四半世紀前に歩いたであろう河川敷を辿り、辛うじて1匹のミツコブエンマコガネに出会うことができたという、わたしにとっては思い入れのある糞虫なのです。
 もうお気付きでしょうか。この写真の標本は、お二人がその日その時に採集された14頭の中の1頭なのです。今日、この1994年生まれのミツコブエンマコガネを私が採集した2017年2019年生まれのミツコブエンマコガネ達と同じ標本箱に並べたのですが、もしかしたらこんなところで25歳年下の後輩たちに出会ってびっくりしているかもしれません。もしかしたら25世代後の遠い親戚か子孫かもしれません。
 塚本先生がフン虫記のなかで「私のフン虫学の師匠の一人」と書いている河野伊三郎さんは、チャグロマグソコガネ(Aphodius isaburoi)などにも名を残されていますが、残念ながら1997年に亡くなられています。あの日塚本先生と一緒に採集したミツコブエンマコガネが、コガネムシ研究会の河野さんの手を経て、ならまち糞虫館に渡り、四半世紀後に同じ場所で採集されたミツコブエンマコガネと一緒に標本箱に並んでいるのを見たら、何とおっしゃるでしょうか。私はあの世に行っても糞虫ネタで楽しく暮らせそうです。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!