越冬後、元気なメスだけが確認されているダイコクコガネ。一昨日、容器の土を全て掘り起し、ダイコクコガネのオスのご遺体を回収するつもりで土の塊を崩していきました。と、出てきたのがこれです(写真1,2,3枚目)。おおーっ、これはまさしく糞玉!ホントに”玉”なので一目でわかりました。
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 糞玉は3つありましたが、形はほぼ真ん丸で、どれも直径21~24㎜に収まっており、重さは6g前後。見事なまでに粒ぞろいの糞玉に仕上げています。しかし、ダイコクコガネは体長25㎜以上ありますから、彼らの糞玉にしては小さすぎます。じつは、これらはゴホンダイコクコガネの糞玉のようです。長野のフン虫好きの方がゴホンダイコクコガネも一緒に送って下さったので、とりあえず一緒に容器に放り込んだことを思い出しました。玉を掘り出した時、糞玉の近くにゴホンダイコクコガネのメスが1匹(写真4枚目)、表面近くにはオスが1匹いました。
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 その他にもこの容器からは、たくさんのナガスネエンマコガネ、クロツヤマグソコガネ、ウスイロマグソコガネなどが見つかりましたが、これらは餌のシカ糞と共に飼育容器に潜り込んだようです。細かく見ていくと、ゴホンダイコクコガネやカドマルエンマコガネ、ナガスネエンマコガネ等の死骸もいくつか見つかりました。しかし、ダイコクコガネの死骸はおろかオスのツノの欠片さえ見つけることができませんでした。2匹のオスがいたはずなんですが・・・。
 ゴホンダイコクコガネの糞玉をこの目で見たのは初めてでしたので、普通だったら大喜びするのですが、日本最大種ダイコクコガネをシカ糞で繁殖させるという大きな目標が果たせなかったので、今は残念な気持ちが強いです。
 ところで、この糞玉には卵が入っているのでしょうか?スカラベ(タマオシコガネ)は糞玉に卵を産むとその部分を盛りあげて洋梨型にするので明確にわかりますが、ダイコクコガネやゴホンダイコクコガネはどうなんでしょう。名著『ふんコロ昆虫記』(トンボ出版)には地中の糞玉の写真が載っていますが、どれも丸くて少なくとも洋ナシ型には見えません。ということは、私の手元のこの3つの糞玉の中には卵、もしくは幼虫が入っているかもしれません。育児室を完全に破壊してしまったので、土を押し固めてくぼみを作り、そこに糞玉3つとゴホンダイコクコガネのメスを置いて、上からそっと土を10 cmほどかぶせました。メスが育児室を作って糞玉の世話を再開することを祈るばかりです。
 
今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!