

見やすい写真がふんだんに使われた糞虫図鑑がある現在では考えにくいことですが、キレイな黄色い斑紋が前翅にあることから、過去にはヤマトエンマコガネと間違われていたこともあるというミツコブエンマコガネ(写真1,2枚目)。その分布が偏っていることから、港から上陸した”外来種”の可能性が高い本種は、『日本列島フン虫記』(著:塚本珪一)にもあるように、夢前川あたりが震源地となっているようで、私も2017年に夢前川、2019年に揖保川でこの目で生息状況を観察しています。1ヶ月程前、糞虫館に来た虫好きの方から「ミツコブエンマコガネなら姫路では普通にみられますよー」とあっさり言われ、「ほんまかいなー?!」と10/20に高速代5000円使って見に行ってきました。

たしかに、教えてもらった場所に行くと、フツーにいました。イネ科の草が表面を覆ってますが、海岸沿いなのでピンセットで簡単に掘れるほどサクサクの砂地で、適当な犬糞にはほとんどミツコブエンマコガネが来てました(写真3枚目)。揖保川の河川敷ではカドマルエンマコガネもたくさん来てましたが、ここは波の荒い日はしぶきがかかるような場所だからか、カドマルエンマコガネは1匹もいませんでした。
ミツコブエンマコガネは川沿いに生息地を広げているようですが、もしかしたら海水に耐性があって、海岸沿いにもイヌやネコの糞を糧にやすやすと分布を広げているのかも知れません。たしか市川の河川敷ではすでに見つかっていますから、次は加古川でしょうけど、それも私が知らないだけで、実はもう明石をぬけて神戸のすぐ近くにまで来ているのかもしれません。50年くらい継続して観察すれば、この虫が日本に分布が広げる様子が見えてくるかもしれません。
今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!
コメント
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1996年6月に揖保川産の検体について実施した牛・鹿・人の容器内二者択一選好実験では、牛:鹿は牛を有意に好み・人:牛は人を有意に好み・鹿だけでは2割がきただけでした。台湾では、犬・人・牛・水牛などのそれから得られるようですが、ぼくは2015年秋にぼくらのグループ旅行で連れて貰った際、マレーシアのペナンの海岸沿いのホテルの芝生の犬で見かけています。また、知人によりすと、沖縄県宮古島でも道ばたの犬にいたそうです。
このように、犬に依存するかぎり(イベルメクチンの弊害が無ければのことですが)、本種は日本でも、夏は暑いですから、成虫越冬して、分布域を拡大するでしょう。先述の久保さんの採集は2018年のことですから、言われますように、兵庫県では現在もっと広がっているかもしれませんね。