ならまち糞虫館は、じつは全くマニアックな昆虫館ではありません。館長が学者でも博士でもない普通の元サラリーマンだし、そもそもコンセプトが「若い二人のデートスポット」ですからね。とはいうものの、カップルばかりが来るわけでもなく(というか、少数派です)、いろんな生き物好きな方がいらっしゃって、私もそんな方から話のネタや最新の知識を得たりしています。
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 近鉄電車で奈良に近づくと、広い原っぱを突っ切る場所がありますが、そこが歴史の教科書にも出てくる平城宮(跡)で、毎年8月頃でしょうかすごい数(6万羽!)のツバメが集結し、南へと旅立っていきます。その移動経路を調査する大規模なプロジェクトが動き出したようです(写真1枚目)。「夏の夕方、あなたの街でツバメを探そう」ということで、この数万羽(!)のツバメは一体どこから集まって来るのか?調査で意外な新事実が浮かび上がってくるかもしれません。
 昆虫では、大移動をするアサギマダラのマーキング調査が有名で、その活動は40年以上続いているのではないでしょうか。各地に調査の事務局もあるようで、すでにそのデータから多くの研究成果が上がっています。今回はツバメなので、捕まえてマーキングというわけにもいきません。その調査方法や情報をどのように分析するのか気になりますが、詳細は7月頃とのこと。私はこのキャンペーンで、いままで鳥にあまり関心を持たなかった人がツバメを見るようになって、日常の暮らしの中で「今日、ツバメを見たよ!」という会話がなされるようになれば、それだけでも大変意義のある取り組みだと思っています。
 まあ、難しいことは抜きにして8月下旬(だったと思います)の夕暮れ時に、一度騙されたと思って平城宮跡に行ってみてください。ツバメが北部にある池の周辺に徐々に集まってきて上空をぐるぐる飛び回り、いつの間にかあたり一面がゴマを散らしたようにツバメだらけになり、ある瞬間からつぎつぎに葦の中に舞い降りて、気が付くとツバメはいなくなってます。そして、すっかり陽が落ちて暗くなった草原に痛くなった首をさすっている人が何人も突っ立っているという、ちょっと笑える光景が。おススメです。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!
(糞虫館は祝日でも営業していません。ご注意ください。)