ケシマグソコガネの仲間を採集するには、大抵は河川敷や海岸の砂地のイネ科の植物やゴミの下などの砂を篩いにかけるのが一般的だと思います。しかし食性もイマイチよくわからないコイツらを探してひたすら砂を篩う忍耐力は私には無いので、これまで奈良公園で採集した2匹のコケシマグソコガネは、たまたまシカ糞をどけた時に下に隠れていたのを見つけたものでした。
P5030172コケシマグソ

 5/3にそろそろヒメコマグソコガネが出てるかなーと、草地でも土が露出している探し易い所のシカ糞の下を丁寧に見ていると、なんとコケシマグソコガネが見つかりました(写真1枚目)

。今日はラッキー!と上機嫌で引き続きヒメコマグソを探していると、またもやコケシマグソコガネ。まとまった粒糞であれば比較的乾燥して硬くなっていても、中に潜り込むわけでは無いので問題ないようです(写真2枚目)。風もない晴天の13時~15時頃までの2時間弱で、5か所のシカ糞から6匹見つけました。
P5030178コケシマグソ

 我らがバイブルの『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』には、ホソケシマグソコガネのところに辛うじて「糞や腐敗物に集まることがある」との記載があるだけなので、これはちょっと驚きです。5回とも糞に食痕らしきものは確認できず、また糞から数センチ離れた枯草屑の下からも見つかっているので「糞に集まる」とまでは言えないかもしれませんが、「シカ糞が好き」だと思います。糞の湿り気が好きなのか、糞のニオイに惹かれるのか、糞の下で増殖する微生物を食べているのか、なぜシカ糞の下にいるのかその理由は分かりませんが、単なる偶然ではないはずです。
 奈良公園の芝地は近年移植されたものではなく、長い年月をかけてシカによって作られたものであることを考えると、コケシマグソコガネは昔から奈良公園に普通に生息してはいたものの、さすがに観光客が行き交うこんなところで砂を篩ったり食痕のないシカ糞をしつこく観察する糞虫愛好家はいないので、見逃されてきたのかもしれません。もちろん、見逃していたのは私だけかもしれませんけどね。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!