P5130429ゴホンダイコク巣穴
 ご存じの通り、ダイコクコガネは地下に育児室を作ります。なので、その空間の分だけ土を外に押し出すため、入り口付近に大きな盛り土ができるそうです。考えてみれば当たり前ですね。ならば、ゴホンダイコクコガネも育児室を作るので、小さいけれどやはり盛り土ができるのではないか?それを見つけて掘れば、糞玉が出てくるのではないか?
 先週、奈良公園で小さな盛り土があったのを見て、このことに突然気が付いたのです。奈良公園は(場所によるのでしょうが)意外に腐葉土に厚みはなくすぐ土が出てくるので、盛り土は地下にそれ相応の空間がある証拠。乾燥した赤土の芝地ではジガバチが穴掘りするのをよく見かけますが、林内のしっとりした地面では見かけません。穴の大きさからも、ゴホンダイコクコガネのように思えてきました。で、小さなスコップとピンセットで盛り土をそっとのけて、穴に小枝を差し込んで見失わないようにして、慎重に穴に沿って斜めに掘り進めていきました。スコップを差し込んでグッと持ち上げて土の塊を取り除くと穴の向こうに黒光りする物体。さらにピンセットで糞を取り除くと、粒糞とその粉に頭を突っ込んでいるゴホンダイコクコガネのメスがはっきりと見えました(写真2枚目)。
P5130328ゴホンダイコク♀

 入り口を広げて中から粒糞を取り出すと15個もあります。完全に粉砕されたものもありますから、20粒くらいは運び込んでいます(全て小鹿の小さな粒糞でした)。部屋の反対側からは立派なオスも出てきました(写真3枚目)。糞玉の世話をするのはメスだけですが、今はまだ糞玉の材料を練っている最中なのでオスもいたのでしょう。
P5130362ゴホンダイコク巣穴

 上部の土を取り除いて巣穴の形や大きさを確認し、もしかしてコツヤマグソコガネなんかがいたりして、などとブツブツ言いながら糞の粉を丁寧に取り除くと、右上の隅っこに隠れているコツヤマグソコガネをホントに発見しました!(写真3,4枚目) 
P5130454巣穴のコツヤマグソ
P5130455巣穴のコツヤマグソ

 以前、たまたま糞玉を掘り出したことはありますが、盛り土から育児室を掘り当ててゴホンダイコクのペアを発見し、さらにその部屋には盗食寄生をしているのではないかと言われているコツヤマグソコガネが隠れていたなんて、出来すぎです。今月の運を全部使い果たすぐらいの幸運です。今日のブログの長さが、私の興奮度合いを示しています。まあ、取り立てて新たな発見があったわけではありませんが、この目で見れたこの嬉しさは、ちょっと言葉では表現できませんね。糞虫の観察はこれだからやめられません。サイコーに楽しいです!
 この続きを見るために、このペアのゴホンダイコクとコツヤマグソコガネを一緒に糞虫館で飼っています。うまくいったら、また後日報告いたします。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!