ツヤエンマコガネは昔も今も普通に奈良公園に生息しているのですが、シカ糞にはほとんど来ないので普段はあまり目にすることはありません。ただ林内のFITにはよく落ちるので、その活動時期を知ることができます。去年のデータでは、4月はニッコウコエンマばかりがFITに落ちていたのですが、5月に入るとツヤエンマが毎日落ちるようになりました。秋も10月中旬以降は落ちていません。動物の腐肉が大好物なので、夏の汗ばむ空気の中でムッと漂う死臭を嗅ぎながらコイツをつまんだ経験が頭から離れず、私はツヤエンマコガネは夏の糞虫との印象が強いのですが、動物の死骸など滅多にないのでツヤエンマコガネの活動時期についてはずっと確信が持てずにいたのでした。『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』(監修:コガネムシ研究会)には 5~10月となっているので、別に新発見でも何でもないんですが、私個人としてはこのFITの結果でなんかこう腹に落ちたっていう感じ。ところが、達成感というか満足感みたいなのに浸っていたら、11/3(祝)に裏山で、歩行中のツヤエンマコガネを見つけてしまったんです(苦笑)。【写真1】まあ、虫にはカレンダーの日付なんか関係ありませんからね。
 それにしても、FITを最初に考えてやり始めた人ってほんとにすごいなーと思います。ガラス窓に結構いろんな虫がぶつかるのを見て思いついたのかもしれませんが、山や草原を自由に飛び回る虫がちょうど仕掛けた透明の板にぶつかって受け皿に落ちる確率なんて、宝くじを当てるようなものでしょ⁈でも、観察と試行錯誤でFITを採集方法として確立させたんでしょうね。
私なんか、FITで糞に来ない糞虫が採れると聞いても、ほんとかな~なんてグズグズしてやらなかったので、今、とても後悔しています。迷ったらトライ!やらずに後悔するよりやって失敗しろ!昆虫採集にも仕事にも恋愛にも共通する人生の鉄則ですね。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!