日本には糞虫が160種類以上生息していて、そのうち100種類前後がマグソコガネの仲間。そのほとんどが黒くて米粒ぐらい小さいので、『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)と実体顕微鏡がない野外では、なかなか種類を見分けることができないことがよくあります。でもこのマルツヤマグソコガネは唯一無二のフォルムをしており、一度見たらもう見間違えることはないでしょう。(写真1~3枚目)
P9220205マルツヤマグソコガネ
P9220153マルツヤマグソコガネ

 1977年から糞虫にハマり続けている私が初めてマルツヤマグソコガネを採集したのは2018年8月に奈良県宇陀郡で、その後2019年10月に滋賀県甲賀市、2020年5月にも滋賀県甲賀市の別の場所で1匹。図説によると「シカ糞を好み全国に生息するが分布は比較的局所的で★★★★(稀種)」とのことなので、私は訪れた場所でたまたま1匹だけ見つかるこれまでのパターンを当たり前だと思ってました。
 ところが今回は、前日の9/20に6ヶ所に置いたシカ糞のうちの一つにレアなマルツヤマグソコガネが3匹も来てたのです! ここは吉野郡北部の農村の林で、実は2日前に糞虫館に来た糞虫好きの大学生が教えてくれた場所。彼はここでマルツヤマグソコガネ4匹+終令幼虫1匹を見つけています。ほとんどの畑の周囲には柵がめぐらされているので、シカがよく出る場所だと推測されます。確証はありませんが、この辺りの林内でマルツヤマグソコガネは世代を繋いで生き続けているに違いありません。周囲の林も調査してこの辺りの広い範囲にわたって生息しているのかどうか、調べてみたいと思います。
 今回観察できた7匹の成虫は、表面のツヤもあり脚の棘も鋭い新鮮な個体ばかり。しかもマルツヤマグソコガネの終令幼虫(と思われる)も見つかっているので、9~10月にかけて新成虫が羽化しているようです。図説には「春季に個体数を増す」との記載があるので、羽化した新成虫は秋の深まりとともに土に潜って越冬し、春暖かくなると一斉に活動を再開するのではないでしょうか。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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