奈良公園では1年を通して様々な糞虫を観察することができますが、出現期が短くその時期を逃すと翌年までお目にかがれない種も少なくありません。希少なヒメコマグソコガネは別格ですが、クロツブマグソコガネ(写真1枚目)も要注意です。コイツは米粒型のマグソコガネの仲間のなかでは特に丸っこくてもっこりしているので、大変わかりやすい種類です。
IMG20260416123445

 春は様々な糞虫たちが次々に姿を現すので、奈良公園に行く機会は多いのですが、クロツブマグソコガネは他の糞虫達が見向きもしないような古いシカ糞に好んで潜り込む(写真2枚目)ので、意識して探さないと全く見つかりません。香り高い新鮮な糞は好みではないのです。もちろん干乾びた糞はNGです。
IMG20260416124329

IMG20260416123848

 クロツブマグソコガネは近年乾燥化が進む奈良公園では見つけにくい糞虫になってしまいました。しかしやや標高がある青山高原辺りだと、おそらくよく霧が出るのでしょう、森全体がしっとりしていて、落ち葉に埋もれていないシカ糞でも干乾びることなくいい感じで熟成が進むようです(写真3枚目)。なのでここではクロツブマグソコガネを簡単に見つけることができます。インバウンド景気に活気づく奈良ですが、奈良公園の林における生物多様性は確実に低下してきているように思えてなりません。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)は全国の書店で好評発売中!