むしむしブログ

カテゴリ: 虫の話題

 『フンコロ昆虫記』の執筆陣や『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』の監修をするような糞虫にとても詳しい人たちが数多く在籍しているコガネムシ研究会(http://www.kogane.jp/)。縁あって1年ほど前に入会したのですが、年に一度総会の後に懇親会があって、ベテランの方が我々シロウトや若手に標本や採集道具、資料等を分けてくれるのです。その時に、なんと「オオチャイロハナムグリ」の幼虫10匹をいただきました。日本国内のハナムグリとしては最大種で、木の洞に住み、なかなか採集できないオオチャイロハナムグリ。「オスの成虫はいい香りがすることでも有名」と判で押したように紹介されているので知ってはいますが、実際に嗅いでみたいと思い、1年余り大切に飼っていました(実際はほとんど放置)。
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で、先週、プラケースからギーギー音がするので覗いてみると、2匹羽化してました!でも1頭はすでに死亡。さらに蛹室が2つ出てきたので、そっと割ってみましたが、カビの塊が出てきました。別のプラケースからも3つ蛹室を掘り出しましたが、中はすべてカビの塊でした。あと3匹いるはずですが、その日はそれ以上掘り出す気力がありませんでした。すでに1勝6敗で負け越し決定。ケースは分けてますが、置き場所は同じなので、残りの3匹も絶望的です。オオチャイロハナムグリは採集は難しいけど、飼育・繁殖は簡単!と聞いてたんですが・・・。蛹にまでなっているのに、本当にかわいそうな事をしました。でもどうしたらよかったのか?温度なのか、湿度に問題があったのか、原因を突き止めて次回に活かしたいと思います。ちなみに無事に羽化した1匹はメスでした。

今日はここまで。
また明日!

コカブトムシは、糞虫以外では私が最も好きな虫の一つなんですが、数年に一度偶然の出会いがやってくるという感じで、その生態をあまり知りませんでした。ところが最近、雑誌かネットで肉食だということを知り驚いたのですが、疑り深い私は半信半疑でした。
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写真は先週の4/26の夕方に見た衝撃の現場です。朽木の根元でコカブトムシ(♂)が自分の全長程もあるムチムチした黄色いイモムシと格闘しているところに出くわしました。コカブトムシは何度もイモ虫に噛みつき爪を立てるのですが、イモ虫の皮が丈夫なのか、仕留めることができません。30分以上戦ってましたよ。日が暮れるまで決着がつかず、最後は持ち帰りましたが、コガネムシの仲間が生きている虫を襲うなんて、驚きです。でも、普段から他の生きた虫を襲って食べているのかなー?動きは遅いし、毒もないし、牙もないし… 飼って調べる事にしました。意外にもナメクジとかヒルとかを食べてたりして。

今日はここまで。
また明日!

 前編の続きです。ならまち糞虫館で受ける最も多い質問がオオセンチコガネの色彩に関すること。「なぜ、こんなに綺麗な色をしているのか?」「なぜ、地域によってこんなに色が違うのか?」 学生の竹本さんは、誰もが抱くこの謎の解明に有用な実験をしているので、掻い摘んで紹介したいと思います。(話が複雑になるので体の大きさに関する部分は割愛しています。)

 実験は、まず京都、滋賀、奈良の3地域からオス・メス計108匹のオオセンチコガネを集め、個体識別マークを刻み、交尾頻度と鞘翅の反射スペクトル、身体の大きさの関係を調査しました。
 結果は、3地域混合でおこなった交尾実験では、同じ地域の個体どうしの交尾回数が特に多いということはなかった。また、体色の類似度と交尾頻度の関係において影響を示す有意な数値は得られなかったとのこと。
 よって、オオセンチコガネは配偶者を選ぶ際に、相手が同じ地域であることは重要ではない、色の違いが配偶者選択に与える影響が大きい可能性は低い、と考察している。

 なるほど、つまり奈良公園の青色のオオセンチコガネは意識的に地元の青いオオセンチコガネを選んでいるわけではないんだ。これが確認できただけでも大きな一歩だと思います。とすると、京都府南部の宇治のあたりには昔から美しい緑色のオオセンチコガネがいるので、中期的には奈良県北部(奈良市)に青緑色のオオセンチコガネが当然出現するはず。鈴鹿の山のオオセンチコガネも緑色らしいので、奈良県東部も青緑色のオオセンチコガネに変わっていくのか・・・。
 いや、すでにその変化は起きていて、先輩世代の糞虫好きの方は、「最近の奈良公園では、ルリセンチコガネの緑っぽいのが増えている」と言っています。また、私の40年前の標本には青緑色のものも少なくないのですが、当時は緑色の強いルリセンチコガネは奈良公園では珍しくて大変綺麗に見えたので、あえて標本に残していたのです。1966年に保育社から出版された標準原色図鑑第2巻「昆虫」(著:中根猛彦ほか)には「紀伊半島のもの(奈良を含む)は藍色に光り、ルリセンチコガネ subsp.ruri Nakane という。」とあり、緑っぽさを全く感じさせない記述がなされています。つまり、50年以上前は藍色と表現されるほど濃い青色だった奈良のオオセンチコガネは、周囲の緑色の個体とも交配を重ね、青緑色の個体が増えてきているのかもしれません。 
 ん?だとしたら、かつてはミドリセンチコガネとまで呼ばれた京都府宇治市あたりの美しい緑色のオオセンチコガネは、最近は青っぽくなっているはずですが、どーなんでしょう? そもそも、この私の妄想は「色彩は遺伝する、混ざると中間色になる」ということが前提になっているので、やはり繁殖・累代飼育して、F1やF2の色がどうなるか、確かめる必要がありますねー。

 奈良公園周辺は、この50年で小川の水量が減少したり湿地が消滅するなど目に見えて乾燥してきており、こういった環境変化が色彩に影響している可能性も捨てきれません。だって、遺伝説より環境説の方が、現在地域によって大きな色彩変化があることの説明がつきやすいように思えるのです。
 奈良公園のルリセンチコガネは、もしかすると我々人間に何か大切なメッセージを送っているのかもしれません。私にはもうムリですが、若い世代や竹本さんのような学生さんには頑張ってもらって、糞虫からのメッセージを読み解いていただきたいものです。

【参考】 
「オオセンチコガネの色彩変異と配偶者選択」(2019年1月23日)
龍谷大学 理工学部 環境ソリューション工学科
竹本 碧 
丸山 敦 准教授
(ならまち糞虫館でもご覧になれます)

今日はここまで。
また明日!

 
 

 実に興味深いタイトルですね。オオセンチコガネの色彩変異は地域によって大きく異なっており、近畿をざっくり分けると奈良のルリ色系京都南部から滋賀のミドリ色系京都西部から兵庫のアカ色系という感じでしょうか。ならまち糞虫館でも奈良、京都、兵庫のオオセンチコガネを並べて、同一種でありながら大きく色彩が異なることを実感していただいています。で、必ず聞かれるのが「なぜ、生息地によってこんなに色が違うんですか?」。
 私はこれまでは、得意の”オウム返しの術”で「なんででしょうーねー、不思議ですよねぇ。」で終わらせていたんですが、なんと京都の学生さんがこの謎に正面から自らの卒業を賭けて挑みました!「オオセンチコガネの色彩変異と配偶者選択」は、そんな学生さんの想いの詰まった力作なのです(写真1枚目)。
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 昨年の夏の終わり頃でしょうか、昨年、一人の学生さんが糞虫館に来てオオセンチコガネの色彩変異を調べるようなことを言っていたので、頭で考えるのは簡単でも実際には飼育・繁殖が難しく、まだ誰もその謎を解明できていないようなことをわかったよーなふりをしつつ伝えて、それきり忘れていた(!)のです。が、先週末お母様と2人で来館され、見事卒論としてまとめ上げて無事卒業・進学されたとのこと。おめでとうございます! その時にいただいたのがこのタオル(写真2枚目)。いいでしょ。でも、昨年お会いした時に、感謝されたり役に立つようなことを言った記憶がないんです・・・
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今日はここまで。
タイトルの卒論の中身については、また後日。お急ぎの方は、ならまち糞虫館で見ることができますよ。

 ならまち糞虫館にはときどき虫好きの方がやって来て、いろんなお話が聞くことができるのでとても楽しいです。で、聞いてそのままにしておくのはもったいないので、備忘録的にブログに書かせていただこうと思い立ちました。名付けて「糞虫こぼれ話」。

 今日来館されたチョウ好きの方が10年ほど前に、奈良の正倉院付近の窪地で朽木をのけた時のこと。そこにルリセンチコガネが何十匹もうじゃうじゃ重なり合っていたのを息子さんと一緒に見た、とのことでした。10匹20匹ではなく、数えきれないほどの数が密集していて、あまり衝撃的な光景だったため、いまだに忘れられず、糞虫館が出来たのを知ってわざわざ伝えに来てくれたのです。ちょうど先日(大寒の頃)私は地下数センチという浅いところでセンチコガネを見つけており、もしかしたらセンチコガネの仲間は意外に浅いところで越冬しているのではないかと想像したところだったので「おおっ、これはもしやルリセンチコガネの集団越冬か?!」と思いました。
 まあ、話をよく聞くと、たぶんムラサキツバメというチョウの出現を期待して奈良公園に来て、窪地にはワラビが茂っていたような・・・とのことだったので、その記憶が正しいとすると季節は冬ではなく、テントウムシのような集団越冬していたわけではない可能性が高いということになります。でも、なぜあんなに多くのルリセンチコガネが集まっていたのか、謎は深まるばかりです。数日後、奥様と一緒に再度その場所を訪れた時は、数匹のルリセンチコガネが残っているだけだったそうです。

 観察した時期の記憶がかなり曖昧でしたが「昔の野帳を調べればわかるかも」ともおっしゃっていたので、続報を期待しています。ご本人は写真を撮っておけばよかったとしきりに残念がってましたが、うわーっ!と思った時に限って何もしてないことってありますね。私も昨夏、飼育していたタマオシコガネがシカ糞で糞玉を作り始めたとき、何枚か写真は撮ったのですが、なぜビデオモードで撮らなかったのかと、ホントに残念に思っています。おかげで、来館者の方にはビデオを見てもらう代わりに、私がタマオシコガネになりきってその動作を再現しています。

今日はここまで。
また明日!
 
 

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