むしむしブログ

カテゴリ: 奈良公園の糞虫

 オビモンマグソコガネ、クロモンマグソコガネ、クロオビマグソコガネ、キマダラマグソコガネ、セマダラマグソコガネ。これらの名前を聞いただけでその模様が思い浮かべられる人もそう多くはないと思いますが、これらの実物を見分けられる人となると相当”いっちゃってる人”です。自覚しましょうね(笑)。冗談はさておき、5㎜前後の黒い米粒のような種類が多いマグソコガネの仲間の中で、黄色に黒い模様があるとどうしてもそこに目がいくのでしょう、既存種とダブらないような名前を考えた先輩方の苦労がしのばれます(決して語彙がないわけではありません!)。
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 先日、ついに奈良公園でキマダラマグソコガネが発見されましたが、その後どなたからも「私も見つけました!」という知らせはありません。私もあれから3回奈良公園に探しに行きましたが、見つかったのはいつも通り4種類のネグロマグソコガネ、チャグロマグソコガネ(写真1、2枚目)、ミゾムネマグソコガネ、オビモンマグソコガネ。そして運よくタヌキの溜め糞を見つけたので、そこからセマダラマグソコガネが見つかりました。奈良公園のシカ糞からはまず見つからないのですが、元気に生息しているんですね。コイツは公園内よりもその周辺の住宅地の道路脇に放置されたイヌ糞を探すことで容易に見つけることができます

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 数週間前に「奈良公園でオビモンマグソコガネが見つけられません。」とのメッセージをいただいて少し気になっていたのですが、まだ大丈夫です。虫を見つけるのが下手な私が少ないながらも毎回見つけてますので、まだ生息しています。でも、ネグロマグソ(写真2,3枚目)やチャグロマグソの居る糞塊10個に1個いるかどうかぐらいです。見つけにくくなっているのは、奈良公園の林内は明るく乾燥してきた影響かもしれません。奈良公園周辺の森や林で探す方が見つけやすいような気がします。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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 かつては幻のマグソコガネと言われるほど珍しかったキマダラマグソコガネ。20年ほど前に紀伊半島に広く分布していることが確認されたものの、「珍種」にはあまり縁のない私には遠い存在だったキマダラマグソコガネ。ついに奈良公園で見つかりました!
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 先週の土曜日、糞虫館に来た糞虫好きの方がボソッと「館長に見ていただきたいものが」と言って取り出した小さな桐箱。中にはまだら模様のマグソコガネが3匹。上はオビモンマグソコガネ、下は一回り大きなセマダラマグソコガネであることは顕微鏡を覗くまでもなく分かりました。が、真ん中の1匹はビミョーな感じ。どっちかなーとよく見ていると、その人はボソッと「キマダラマグソだと思います」。聞くと今年の1月に奈良公園のイノシシの糞から採集したとのこと。そう言われてみるとそう見えてきて、新兵器のデジタルズーム付き実体顕微鏡にセットして確認すると、もう『日本産コガネムシ上科図説』で調べるまでもなくキマダラマグソコガネでした。奈良公園で見つかったのは初めてじゃないのかなー?これまでに奈良公園でキマダラマグソコガネを採集したことがある方からのコメントをお待ちしております。
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 採集された方はその日1日でキマダラマグソコガネの他にも冬のマグソ7種(ネグロ、チャグロ、ミゾムネ、オビモン、セマダラ、クロツツ、ヒメツツ)を見つけるほどの方ですが、それでもその日見つけたキマダラマグソコガネはこの1匹だけだったとのこと。やはり誰でも見つけられる虫ではないようです。でも1匹でも見つかるということは間違いなく「いる」ということ。冬の糞虫観察の楽しみが一つ増えました。私も何とか見つけたいと思いますが、このブログを読んでもし首尾よく採集に成功した方がいらっしゃったら、私が自分で見つけるまでの間糞虫館に展示させていただけるとありがたいです。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
館長の書いた『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

 ツヤエンマコガネは昔も今も普通に奈良公園に生息しているのですが、シカ糞にはほとんど来ないので普段はあまり目にすることはありません。ただ林内のFITにはよく落ちるので、その活動時期を知ることができます。去年のデータでは、4月はニッコウコエンマばかりがFITに落ちていたのですが、5月に入るとツヤエンマが毎日落ちるようになりました。秋も10月中旬以降は落ちていません。動物の腐肉が大好物なので、夏の汗ばむ空気の中でムッと漂う死臭を嗅ぎながらコイツをつまんだ経験が頭から離れず、私はツヤエンマコガネは夏の糞虫との印象が強いのですが、動物の死骸など滅多にないのでツヤエンマコガネの活動時期についてはずっと確信が持てずにいたのでした。『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』(監修:コガネムシ研究会)には 5~10月となっているので、別に新発見でも何でもないんですが、私個人としてはこのFITの結果でなんかこう腹に落ちたっていう感じ。ところが、達成感というか満足感みたいなのに浸っていたら、11/3(祝)に裏山で、歩行中のツヤエンマコガネを見つけてしまったんです(苦笑)。【写真1】まあ、虫にはカレンダーの日付なんか関係ありませんからね。
 それにしても、FITを最初に考えてやり始めた人ってほんとにすごいなーと思います。ガラス窓に結構いろんな虫がぶつかるのを見て思いついたのかもしれませんが、山や草原を自由に飛び回る虫がちょうど仕掛けた透明の板にぶつかって受け皿に落ちる確率なんて、宝くじを当てるようなものでしょ⁈でも、観察と試行錯誤でFITを採集方法として確立させたんでしょうね。
私なんか、FITで糞に来ない糞虫が採れると聞いても、ほんとかな~なんてグズグズしてやらなかったので、今、とても後悔しています。迷ったらトライ!やらずに後悔するよりやって失敗しろ!昆虫採集にも仕事にも恋愛にも共通する人生の鉄則ですね。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
 

 ならまち糞虫館は、これまで奈良TVの『ならナビ』『ゆうドキッ!』『ならフライデー9』、NHK『キンゴジン』『なりきりむーにゃん、生きもの学園』、ABC『キャスト』『ナニコレ珍百景』、MBS『ちちんぷいぷい』、BS-TBS『奈良ふしぎ旅図鑑』、関西テレビ『よ~いドン!となりの人間国宝』、TV東京『所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!』、TV大阪『かがく de  ムチャミタス!』、日テレ『マツコの月曜から夜更かし』、ケーブルTV『三関王 (虫ラバー編)』・・・。一瞬のコメントとか写真提供なんかも入れると、この3年間でずいぶんTVに出てます。上野動物園と同じくらい糞虫館はTVに出ている、というとさすがに言い過ぎですが、奈良の橿原昆虫館を上回っていることは間違いないでしょう(当然ながら中身は足元にも及びませんけどね)。こんなにテレビに出てたら、飲食店なら売れて売れてもうウハウハなんでしょうけど、なぜか糞虫館はいつも静かでマイペース。コロナ対策を忘れてしまいそうな、密とは無縁の別世界。なぜなんでしょ???
20211030世界ふしぎ発見篠原かをりさんと

 今回放送される草野仁の日立『世界ふしぎ発見!』は、生き物や自然に関心のあるご家庭では、恐らくNHKの『ダーウィンが来た!』とともによく見られている番組ではないでしょうか。その人気番組『世界ふしぎ発見』の今月30日(土)21:00放映の「江戸の生き物語」の3つの話題の中の1つで奈良公園の糞虫が紹介されます。番組のHPを見ると、他の二つは江戸時代に関係する流れが読めるのですが、糞虫の話は江戸とは何の脈絡もないような気がするのでちょっと心配です。まあ、うまく編集されていると信じて楽しみにしていますけどね。クイズ王にして生き物好きで研究者、さらにタレントであり作家でもある篠原かをりさん(写真1枚目)と結構たくさんお話ししたので、ほんの一部でもいいので一緒にお話ししている場面がカットされずに残っていることを祈りつつ。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 野外観察自体は密ではないけれど、集合場所やルリセンチを見つけた時などは感染リスクが高まる恐れもあり、コロナ禍で糞虫観察会は限定的にしかやってませんでした。先月、ディープなこじんまりとしたツアーを得意とするまいまい京都さんの企画ツアーを恐る恐る開催、近鉄奈良駅から浅茅ヶ原園地付近までの2時間コースでしたが、明るい場所と暗い場所の2つの環境の違いを意識しながら糞虫探しをしていただきました。
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 まずは、県庁前の芝地で糞虫が集まる良い糞の見分け方と糞の調べ方をしっかりマスターしていただき、割り箸を片手に各自で実際に糞虫を探してもらいました(写真1枚目)。この辺りで見つかるのは米粒サイズのマグソコガネばかりですが、糞をお箸で丁寧にほぐしていくという非日常的な行為のせいか皆さんテンション高めで、あちこちで「これ、糞虫じゃないですか?」と嬉しそうな声が聞かれました。
 次は場所を変えて、林の周辺の芝地で観察。この辺りにもマグソコガネが多いですが、エンマコガネやコエンマコガネも見つかるのです。想定通り、間もなくそこそこ大きなカドマルエンマコガネやナガスネエンマコガネなどが見つかりました。早春から活動する大型のクロツヤマグソコガネも数匹見つかりましたね。カドマルエンマコガネは全国どこでも見られますが、ナガスネエンマコガネやクロツヤマグソコガネはそう簡単には見られない種類です。奈良公園ならではの自然の恵みですね。誤算だったのは、ここでルリセンチコガネが1匹見つかってしまったこと。早すぎるー(泣)。ホントは小さなチビコエンマコガネ(でも角がある!)とか糞にまみれたニッコウコエンマコガネとかをしっかり探して観察してから、最後のメインディッシュとしてルリセンチコガネが見つかる、というのが理想だったんですけどね。
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 最後は春日大社表参道脇の林の中で最後の糞虫探し。正確にいうと、もう完全にルリセンチコガネ探しになってました(笑)。6月上旬なので、時期的には最高、天候にも恵まれたせいか、子供も含めて結構たくさんの方が自力でルリセンチコガネを見つけていました(写真2、3枚目)。それらを比べることで色には個体差がかなりあるということやオスとメスの見分け方などもよくわかったようで、本当に楽しそうでした。
 自然観察グループの糞虫観察会は楽しかったねーで終わればいいのですが、一応旅行会社のツアーなので高い顧客満足度が求められ、そのためなんとツアー終了後、アンケート調査がなされるとのこと。聞いてないよー、と言いたかったですが、聞いていても同じですね。つい先日、秋の糞虫観察ツアーのオファーが来ましたので、アンケートの評価はそこそこよかったのでしょう。ホッとしました。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(著:中村圭一)が7/16に創元社から出版されます。お楽しみに!
『フン虫に夢中』(くもん出版)も好評発売中 ‼ 

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