むしむしブログ

カテゴリ: 奈良公園の糞虫

 昨日6/19の朝から、認定NPO法人 シニア自然大学校の学生31名と一緒に奈良公園で糞虫観察を行いました。私もかつてここに1年間在籍したことで、自然の楽しみ方の幅を広げることができたと思っています。卒業してもう10年近くたちますが、今でも在校生の校外活動や卒業生の所属する自然観察グループのイベント等で観察会や講演会を毎年やらせてもらってます。
 昨年も一昨年も、エンマコガネやマグソコガネはほとんどの参加者さんが見つけることができたのですが、メインのルリセンチコガネが数匹しか見つからず、案内した私としては忸怩たるものがありました。で、今年は「ルリセンチコガネを観る」ことを最優先に観察コースと観察時間を組み直しました。
【写真】
 最初の観察ポイントでルリセンチコガネが一匹見つかると、要領を得た参加者さんたちは次々にルリセンチコガネ、ゴホンダイコクコガネ、カドマルエンマコガネ等をほじくり出し、あちこちで歓声があがりました。そういえば、黙々と一人で10匹以上(!)もルリセンチを見つけた人もいました。次の観察ポイントでは参加者同士で「朽木の下に隠れている」とか「干乾びたフンにはいない」とか情報交換しながら、次々にルリセンチコガネを探し当て、結局41匹のルリセンチコガネを捕獲することができました。これだけの数を一度に見ると、瑠璃色といっても緑っぽいのから紺色まで個体差が結構あることがよくわかっていただけたと思います。林の中で我々が見つけた糞虫達は以下の通りでした。身柄を拘束した糞虫達は、最後にまとめて種を同定しみんなで観察した後、その場に全てリリースしました。 
P2130851-2カドマルエンマコガネ

P5160289コブマルエンマコガネ

 オオセンチコガネ(ルリセンチコガネ)20匹以上(非常に多い)
 ゴホンダイコクコガネ  20匹以上(非常に多い)
 カドマルエンマコガネ  20匹以上(写真1枚目)(非常に多い)
 フトカドエンマコガネ  2匹
 コブマルエンマコガネ  1匹(写真2枚目)
 ナガスネエンマコガネ  2匹
 マエカドコエンマコガネ 10匹以上(多い)
 コツヤマグソコガネ   1匹
 その他糞虫以外の虫:コカブトムシ、ナガチャコガネ、ビロウドコガネ、キマワリ、クチキムシ、オオゴキブリ、ゴミムシなど

 時間がなくて芝地ではみんなと一緒に観察できなかったのですが、午後の講演会の時のスライドでも紹介したウスイロマグソコガネとオビマグソコガネ、スジマグソコガネがパフパフのおが屑状のシカ糞の下にいっぱい隠れていました。たった2時間で11種類の糞虫に出合える奈良公園。ホントに夢のような場所だと思います。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『美しくてたくましい糞虫図鑑』(創元社) 全国の書店で好評発売中!



 先日のブログでレッドデータブックのことを書きましたが、このヒメコマグソコガネが奈良県から何の保護も受けておらず、そもそも県がその存在を認識しているかということさえ疑わしいので、県のレッドデータブックRDBが糞虫に関してはザルだと思えてしまうのです。奈良県と岩手県のしかも局所的にしか生息が確認されておらず、例えて言うと糞虫界のカモシカかアマミノクロウサギといったところでしょうか。つまりそれくらい稀少で奈良が守るべき糞虫なのですよ!
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 ヒメコマグソコガネは5月のGWの頃、若草山にほんの1か月間ほど姿を現すだけなので、その生息地を1か月間ほど立入禁止にするなどの対策が効果的でお金もかからないと思うのですが、動きませんねぇ。やはり「ヒメコマグソコガネ」を知らないのかもしれません。 奈良の鹿は国の天然記念物でがっちり保護されていますし、奈良公園内のルリセンチコガネは条例の施行規則で採集が禁止されています。でも奈良のシカは増えすぎて貴重な春日山原始林の植生を壊滅的な状況に追いやり、シカ糞大好き‼なルリセンチコガネも我が世の春を謳歌しています。一方で、かよわいヒメコマグソコガネは絶滅寸前なのに完全に無視されています。というか、糞虫は奈良公園の生態系を維持し美しい景観を維持する重要な役割を担っているにもかかわらず、県はキレイなルリセンチコガネだけをえこひいきして特別に保護(採集禁止)して、その他の地味な糞虫達には何の保護の手も差し伸べてはいないのです。酷くないですか?国は憲法改正の議論をするのであれば、奈良のシカの天然記念物指定解除も議論せよ!県はルリセンチだけではなく、糞虫だけでもなく、生態系全体を保護することを考えよ! んー、今日は過激ですねぇ。ちょっとカワイイとかカッコイイ、キレイというだけで回りからちやほやされる世の中の縮図に怒りをぶつけているだけかもしれません。一晩寝れば収まります。(笑)
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 でもねー、この写真みたいに糞の下に隠れていることの多い、カッコイイ角もキレイな模様もない3㎜弱の地味な虫ですから、わざわざ保護しなくても・・・って感じなんでしょうね。世の中、そんなもんかもしれません。

今日はここまで。
今週末5/10(日)は、午前は若草山での糞虫観察会、午後はならまち糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

 今の時期、クロツヤマグソコガネは奈良公園ではごく普通にいくらでも見ることができるのですが、全国的にはなかなか見つけられない種で、日本産コガネムシ上科図説には「近年、本州では激減し、分布は局所的」と書かれています。この種には肩歯がありません(写真1)。
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一方、肩歯のあるトゲクロツヤマグソコガネはもう少し一般的な種なのですが、私は奈良公園内では見たことがなく、私が初めて採集したのは2020年4月滋賀県甲賀市の山でした。初めて行った場所での採集だったので同定を慎重にしたため、小さな肩歯(写真2.3)にたまたま気付くことができました。
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名前から受ける印象とはちょっと違ってましたねー。この程度のトゲなら今まで採集した奈良公園のクロツヤマグソの中に混ざっているかも・・・。ということで、標本箱の全てのクロツヤマグソの肩を見たところ、案の定、奈良公園の近くの山の公園で採集した標本の中からトゲクロツヤマグソが2匹見つかりました。
 これまでに滋賀県甲賀市、三重県津市、奈良県宇陀郡等でトゲクロツヤマグソコガネを採集していますが、たまたまかもしれませんが採集場所の標高は600m~800mほどなので、もしかしたら奈良公園の山の中には生息しているのかもしれません。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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4年ほど前からFITを仕掛けるようになってムネアカセンチコガネを採集することができるようになり、今ではならまち糞虫館の標本箱にも何匹かのムネアカセンチコガネの標本が並ぶようになりました。ただ、採集日は5~6月、9~10月のラベルばかり。『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)によると出現期は5~11月となっています。盛夏の頃(7~8月)もいるのかもしれないけれど、誰かから「春か秋がいいよ」と聞かされて、その時期にFITを仕掛けたら採集できたもんだから、夏にFITを仕掛けたことが無いのです。めちゃくちゃ暑い7~8月にムネアカセンチコガネは活動しているのか?自分の目で確かめてみないとね。
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 もう一つ「ムネアカセンチは夕方に飛ぶ」っていう都市伝説。私はこれを「夕方にしか飛ばない」と捉えていました。なのでFITの回収は、ムネアカセンチコガネが溺れて死なないように毎日日没後に見て回り、水盤でもがいているまだ元気なムネアカを見て「やっぱりまだ落ちたばかりだから元気だ」って思ってたのです。ところが、昨晩見回った後、今日は都合で昼過ぎにまた見回ったところ、ムネアカが水盤でもがいてました(写真1枚目)。午前中に落ちたようです。「夕方によく飛ぶけど午前中にも飛ぶ」みたいですね。「糞虫は糞を食べる(けど糞以外のものも食べる)」のと同じ。
 私が学生の頃はインターネットなんかなかったし、専門家の方に質問するのも手紙なので字が下手で人見知りする私にはできませんでした。僅かな情報から想像を膨らませて採集場所や時期を考えては、空振りを繰り返してました。今はたくさんの質の良い情報が簡単に得られるので、いい時代になったもんだと思います。ただ、新しい生息地の開拓や習性の発見には意識的に取り組まないと、見聞きした知識だけで分かったような気になってしまうんじゃないか、なーんてジジ臭いことを考えてしまう今日この頃です。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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20210608_144530オオセンチコガネ (2)

 昨日、事前レクチャー付き奈良公園糞虫ツアー主催者のJR東海の方と最終打ち合わせをおこないました。温暖化の影響かインバウンドの影響か原因はよくわからないのですが、従来の観察場所ではこの1,2年ルリセンチコガネの姿が見られなくなっていて、予定のコースでルリセンチコガネ(写真1枚目)やゴホンダイコクコガネ(写真2枚目)といった「メインディッシュ」が全く観察できない場合の対応を検討しました。自然観察グループの観察会であれば、いろんな種類の糞虫が観察できればたとえルリセンチコガネが見れなくても「今日は運が悪かったですね、こういう環境の場所でじっくり探せば見つかります」みたいに自然体でいいと思うのですが、JR東海のEX会員様向けの有料のスペシャルツアーですから「運が悪かったですねー」で終わるのも、ちょっとね。野生のイルカとかクジラを見に行くツアーにせっかく参加したのにイルカに会えなかったら、がっかりするだけでなく私なんか損した気になりますもん。検討の結果「前日までに春日大社にお参りをしておく」ことにしました!(笑)

【詳細はこちら】 ⇒ https://tabilist.jp/increment_click.php?id=476

 10/20(日)は残り数席ですが、10/19(土)はまだ余裕があるそうです。申し込みの期限は3日前の14:00となっていますが「ワシは糞虫館の館長の友達や!」と言えば、期限を過ぎても参加できるかも⁉(担当の方が困るので、期限までにお申し込みください。よろしくお願いいたします)
P5200051-1 ゴホンダイコクコガネ♂

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!


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