むしむしブログ

カテゴリ: 奈良の糞虫

 ムネアカセンチコガネをとらえる術を身に着けたとたん「ムネアカセンチコガネは意外に身近にいるんですよ」なーんてエラそうに言うようになった自分が怖いんですが、これは人間性の問題ではなく、たんにFlight interception trap (FIT) という採集方法をやるかやらないかの違いだけですね。といいつつも、なんか自分の採集技術が大きくレベルアップしたような気がします。そりゃー40年間で死骸2個しか見つけられなかった虫を半月で10匹捕まえたのですから。
 この魔法のようなFITは、狙う虫によっていろんなタイプがあるようですが、最初に考えた人はスゴイ!糞虫に使い始めた人は本当にエライ!と思います。私なんて糞ばかりを追いかけてきたので、糞に来ない糞虫には出会えるわけないんですよねー。もちろん、この採集方法もいいことばかりではないんですが、とにかく実物を捕まえて観察しないと何も始まりませんから。
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 前置きが長くなりましたが、実は10/12昼頃設置したFITを暗くなってから見に行ったら、エンマコガネが1匹水盤に浮いていました。大きさはカドマルエンマコガネよりやや小さい感じで、なぜか滑って少しつまみにくかったのを覚えています。息を吹き返して動き回る姿をフィルムケース越しに見てもエンマコガネと思っていましたが、ふたを開けてみると胸や前翅に薄汚れたような肌色の模様が・・・(写真1枚目)。
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 ヤマトエンマコガネ?いやいや、ツヤがないし色も違うし、あれー、毛むくじゃらだなー(写真2枚目)。で、顔をよく見ると大きな牙が見えた(写真3枚目)のでようやく →あ、センチコガネ?! →アカマダラセンチコガネだ!! とわかりました。
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 FIT回収時すでに暗くなっていたので、普通のエンマコガネと思ったものの念のためその場で解放せずに持ち帰ったのは、持って生まれた”運”の強さかもしれません。ムネアカセンチコガネに続く「自分史上初」の世紀の大発見につながりました。以前、糞虫界のプリンスこと中谷君が、この場所に仕掛けたFITで1匹採れたよと教えてくれていたおかげです。ありがとー!
 何を餌にして飼えばいいのかわかりませんが、昆虫ゼリーで様子を見てます。うまく生きていれば今週末、糞虫館で生きたアカマダラセンチコガネとムネアカセンチコガネを見ることができます。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 今までにコケシマグソコガネを見たのは、奈良公園のシカ糞の下の砂地からたまたま見つけたのが2回と兵庫県の夢前川河川敷の砂をふるって1匹見つけた計3回のみ。最も一般的な種類といわれるホソケシマグソコガネは、見たことがありませんでした。虫がいるのかいないのかもわからないところの砂をひたすら篩い続けるという気の遠くなるような作業は、なかなかフツーの人には出来ることではありませんから。
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 今回は、奈良市内を流れる富雄川の河川敷でハバヒロケシマグソコガネらしき虫を採ったとの情報を得て、意を決して篩を持って行ったのですが、30分もたたずにギブアップ。犬フンを探して河川敷をさまよったものの見つけられず。初めての場所での採集はやっぱりむづかしいなーとぼやきながら車に戻る途中、水の流れていない乾いたU字溝の底に少し溜まっていた砂と枯草を「こんなとこにいたりして」と見たら、いたんです!しかもB5版ほどの面積の砂と枯草の塊を丁寧に見ていくと、もう出るわ出るわ、数えるのを止めましたが、30匹以上いました。1mほど離れたところの同様の砂と枯草の塊にも、よーく見ると10匹以上確認できました。ちょっと色合いや大きさが違う個体がいるように見えた(写真1枚目)ので、20匹ほど持ち帰りました。で、実体顕微鏡でよく見ると、コケシマグソコガネ(写真2枚目)とホソケシマグソコガネ(写真3枚目)だったというわけです。
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 富雄川の土手の上に設けられたU字溝なので、普段は水は流れていないようでした。幅・深さとも30cmほどあるので、落ちたら最後、よじ登ったり飛んで逃げることができず、いうなれば超大型のピットフォールトラップ(落とし穴式の罠)みたいになっているのかも!? スナゴミムシダマシもたくさんいました。U字溝のゴミ溜りは、砂を篩う忍耐力の無い人にとっては、意外に狙い目なのかもしれません。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!
 

 日本人はファーブル昆虫記を読んだ方が多いせいか「糞虫」=「フンコロガシ」、つまり糞を丸めて転がす虫と思っている方が多いようです。なので、私が「日本の糞虫の99%は糞を丸めて転がすことはしません」と説明すると、「えーっ!!」と驚かれると同時に、残り1%の糞玉を作って転がす糞虫に関心を示されます。で、全長2mmほどのマメダルマコガネというチビコエンマコガネよりまだ小さい糞虫が森の中で密かに糞の玉を転がしている、とお話しています。でもねー、私は今まで生きたマメダルマコガネを見たことがなかったのです。本州・四国・九州に生息し、それほど珍しいというわけでもないようなのですが・・・。
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 シカ糞のそばにゴホンダイコクコガネの死骸があり、「あー、死骸や。残念。」とピンセットでつまみあげると、その下に小さな甲虫が隠れていました。丸っこくて光沢があったその甲虫はあまりに小さかった(写真1,2枚目 下部の球は直径1㎜)ので、糞虫ではないだろうなと思いながらもマメダルマコガネかもねと心の片隅で思いながら、ピンセットでつまんで手に載せるとすぐに死んだふりを止めて動き出しました。「ん!?これって本物のマメダルマコガネちゃう?」 今日は、鳥の羽毛や動物の骨にも詳しい若手の糞虫好き山田氏と一緒に奈良公園に観察に行ったのですが、彼は学校の裏山のトラップにかかったマメダルマコガネを見たことがあり、たぶん間違いないとのこと。このほかにも目と勘のいい彼のおかげで、ルリセンチコガネが40匹以上集まっているところやセンチコガネやコブマルエンマコガネが多数集まっている大きなキノコ、ゴホンダイコクコガネ、ノコギリカミキリの交尾、シカの白骨死体など、様々な場面を目にすることができましたが、マメダルマコガネは最高の収穫でした。(写真3枚目)
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 マメダルマコガネは半世紀以上前から「糞玉を転がす日本のフンコロガシ」と言われていましたが、恥ずかしながら私は40年間その姿を奈良公園で見たことがなく、玉を転がす姿は夢のまた夢でした。今、元気に動き回るマメダルマコガネを目の前にして思うことは、コイツが糞玉を作って転がす姿を見たい。ただそれだけです。
 今晩絶食させて、明日の午後、ならまち糞虫館の特設ステージで糞を与える実験を行ないます。うまくいけばニッポンの糞虫がフンをコロガシてる姿を皆さんと一緒に見ることができるかもしれません。

今日はここまで。
今週末、糞虫館で会いましょう!

 奈良公園の桜は満開、すでに糞虫たちも春を感じているようです。先週、この時期にしては観光客の少ない奈良公園で見つかったのは、冬のマグソコガネ達や朽木に潜むクロツツマグソコガネに加え、センチコガネ、クロマルエンマコガネ、ナガスネエンマコガネ、ヌバタママグソコガネ。クロツヤマグソコガネとの出会いはなかったのですが、4月は1日で10種類以上の糞虫に出会うチャンスがあります。幻のヒメコマグソコガネにも出会える可能性だって否定できません。
 ヌバタママグソコガネ(Aphodius breviusculus)は、、やや小型のマグソコガネの仲間といってもいいと思います。奈良公園ではミゾムネマグソコガネやチャグロマグソコガネなどと同じような所にいますが、冬の糞虫達に比べると一回り大きく、真っ黒でツヤがあるのですぐにわかります。体型も特徴的で、前胸が丸くて大きいのでヒョウタンのように見えます。他の人にはそうは見えないようですので、わかり易い角度で写真を撮ろうと格闘したのですが・・・(写真1、2枚目)。
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 この丸っこさは、出現期の重なるクロツブマグソコガネにも通じるものがありますが、最近では奈良公園ではクロツブマグソコガネはかなり見つけにくくなっていることと、落葉に埋もれたかなり古いシカ糞を好むので、普通目にすることができるのはこのヌバタママグソコガネです。
 ところで、名前になっている「ヌバタマ」って何かご存じでしょうか?ヒオウギという植物の黒くて光沢のある種子のことで、そこから和歌の世界では「黒」「夜」さらに「髪」などにかかる枕詞にもなっています(今、グーグルで調べて書きました)。見たまんまのわかり易い名前の多い糞虫の中においては、文化の香りがほのかに漂うちょっと変わった名前ですね。和名を付けた方は和歌をたしなむ方だったのかもしれません。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!
 

 奈良公園のシカ糞では、本当にいろいろな糞虫を見ることができます。イヌ糞好き(と私は思っている)のコブマルエンマコガネやチビコエンマコガネだって、ふつうに見ることができます。一方で、奈良公園にいるんだけどもシカ糞には来ない種類もいます。よっぽど嫌いなんでしょうね。その代表がセマダラマグソコガネ。こいつは奈良公園に隣接する道路脇に放置されたイヌ糞で冬になるとふつうに見つけることができます(写真1枚目)が、シカ糞では見つかりません。今まで奈良公園で何万個もシカ糞をほじくってきた私が言うのですから間違いないです。昨年、初めてシカ糞の下からセマダラマグソコガネを発見して驚き、念のためその個体は証拠として標本にしたくらいです。で、今度は初めてイノシシの糞の下から見つかりました(写真2枚目)。糞に潜り込んでいなかったし、食痕もなかったので、食べたとは言い切れませんが、イノシシ糞に誘引されたことは確かでしょう。飛んできたけどもうかなり硬くなっていて潜り込めなかったのかもしれません。
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 最近はイヌを飼う人のマナー向上に伴い、道端のイヌ糞も少なくなりました。その昔、奈良公園付近の街道沿いで荷役用牛馬の糞で暮らしていたオオフタホシマグソコガネやツノコガネが牛馬と共に姿を消したように、セマダラマグソコガネを見かけなくなる日が来るかもしれません。好き嫌いを言わずに、イノシシ糞やシカ糞を食べてくれたらいいんですけど。『日本産コガネムシ上科図説(第1巻 食糞群)』によると、セマダラマグソコガネは日本中に広く生息しているごく一般的な種類で「イヌ糞で見つかることが多く、ヒト、ネコ、タヌキ、サル、ウシ等の糞にも集まる。」と書いてありました。日本の自然界に最も多く存在するシカ糞やイノシシ糞を食べないのに日本中でたくさん見られるなんて、不思議だと思いませんか?

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

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