むしむしブログ

カテゴリ: 日本の糞虫

 マルエンマコガネは沖縄あたりだと珍しくないらしいのですが、本州では激減している種として知られており、少なくとも奈良、大阪、滋賀の辺りではまず見つけられないのではないでしょうか。私が半世紀近く通う奈良公園でも、これまで一匹も見たことがありません。私にとってはほとんど幻のエンマコガネです。が、昨年あらゆる昆虫に精通し人生を賭して虫を採集してきた(⁉)三重のA氏のお宅を伺う機会があり、標本箱の古いマルエンマコガネを見て私が「コイツはもういませんよねぇ」とぼやくと、「最近は標本にしてないけど、確か3年ほど前まではいたと思うよ。まだいるんじゃないかな。」と。早速、トライしましたが良いイヌ糞を見つけられなかったせいか、残念ながらその年は結局一匹も見つけられませんでした。A氏と私の採集能力の差を考えれば、10倍努力しないと見つからないと自分に言い聞かせ、今年は牛糞を置いて待ち伏せ作戦を実行したところ、ついに採集に成功いたしました!!!(1枚目:オス、2枚目:メス)
IMG20251004172955マルエンマ雄
IMG20251004173727マルエンマ雌
 A氏によるとこのあたりのマルエンマコガネは飼いイヌの糞に依存しているので、住宅地の公園や空き地でも見つかるそうです。いるところにはいるんですねぇ。でも奈良のような地方都市でも飼い主のマナー向上により糞を持ち帰って処分するようになっており、例えばイヌ糞が大好きなセマダラマグソコガネみたいな普通種でも、うちの近所ではイヌ糞が見つけられず、昨年は採集できませんでした。なので、ここのマルエンマコガネの未来は決して明るくはないのではないかと心配しています。今回の採集でなんとなくマルエンマコガネが好む生息環境を体感できたので、この感覚を頼りに来年は新たな生息地を開拓したいと考えています。うまく見つけられたら、またむしむしブログで報告いたします。可能性は低いと思いますけど・・・
IMG20251004173449マルとコブマル
 参考までに、名前の似ているマルエンマコガネ(右)とコブマルエンマコガネ(左)のオスを並べてみました。似てませんね(メスは、マルエンマコガネにはコブが無いのに対しコブマルエンマコガネにはなだらかなコブが二つあります)。同じ場所で採集した個体ですが、環境的にはコブマルエンマコガネがあまり好むとは思えないような砂質の土壌で、実際マルエンマコガネのほうが圧倒的に多かったです。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)全国の書店で好評発売中!

 読書の秋、食欲の秋、芸術の秋という感じでなにかと忙しい季節ですが、もちろん私は糞虫の秋。ムネアカセンチコガネ、アカマダラセンチコガネ、マルエンマコガネ、ヤマトエンマコガネ、ミツコブエンマコガネ等々、冬が来る前に出合いたい糞虫達が目白押し。先週は満を持してヤマトエンマコガネを見に滋賀県まで行ってきました。去年観察することが出来たのと同じ時期を狙って、週間天気予報を見ながら10/9(水)に10か所以上に糞を仕掛け、10/11(金)に回収。もう1,2日後でも良かったのかもしれませんが、人目に付きやすい場所なので、10/12(土)からの3連休前に回収に行ったのでした。エンマコガネが飛びたくなるようなお天気が続いていたので、かなり期待してました。
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 ところが、連休前だからか芝刈り機で丁寧にシバが隅々までしっかり刈り込まれていて、仕掛けたフンの半分以上が押しつぶされたり粉砕されてました。さらに目印に置いていた枝や小石が跳ね飛ばされて仕掛けたフンの位置がわからなかったり、もう散々。結局この日は数匹のカドマルエンマコガネを見ただけで終了。
 毎年いろんな場所に仕掛けているのですが、ヤマトエンマコガネの新たな生息地を見つけることはできていません。去年ここのヤマトエンマコガネは鹿糞から見つかったので、シカ糞で世代を繋いでいると思っているのですが、採集個体によるシカ糞での繁殖は失敗続きです。失敗の原因は、私の飼育管理のマズさなんですけどね。奈良公園からコイツが姿を消してもう数十年になりますが、滋賀のこの地で生きながらえることを祈るばかりです。(写真のヤマトエンマコガネは2019年に採集・飼育したもの)

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【お願い】
 オープン7年目に突入したならまち糞虫館は「日本のすべての糞虫が展示されている糞虫館になる!」ことを目指しています。まだ糞虫館に展示されていない、もしくは数匹しか展示されていない種をお持ちの方は、寄贈や預り等どのような形でも結構ですので、ご協力いただけるとありがたいです。ちょこっとタッパーに入れて持ってきてくださるのも大歓迎。私個人は遅かれ早かれいずれ朽ちてしまうので、今後は法人化、できればNPO法人を設立して未来永劫糞虫のすばらしさを伝えていくハブ施設にすることを夢見ています。ご支援・ご協力いただけると幸いです。


 糞虫館の館長をやっていると、世界のあちこちで糞虫を採集しているとか、日本のほとんどの糞虫を採集したことがあるとか思われがちですが、私は学生時代から奈良公園で糞虫を観察して楽しんでいる単なる糞虫好きなので、糞虫の専門家からすると驚くほど少ししか標本を持っていません。マグソコガネの仲間なんて『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』に書いてある以上のことはわかりませんし、星一つ★の最普通種と言われる種でも採ったことが無い種はたくさんいます。その中でもツノコガネは、長いツノがカッコいいしなんとか自分で捕まえたいと思ってました。
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 先月、糞虫館に来た子供のお父さんから三重県の高原にたくさんいるという情報をいただき、今月8/13にバケツ一杯の牛糞を車に積んで地図で見つけた高原に向かいました。シカ糞が確認できた場所を中心に小分けした牛糞を20か所ほど置いて回って、8/15に見に行くと40~50匹のツノコガネを見つけることができました!一番多かったのはツノコガネで、その次はオオセンチコガネとセンチコガネとゴホンダイコクコガネがそれぞれ20~30匹で同じくらい。マエカドコエンマコガネは数えきれないほどたくさんいましたが、カドマルエンマコガネやフトカドエンマコガネは数匹しか確認できませんでした。夕方で見落としたのかもしれませんが、マグソコガネの仲間は見つけられませんでした。ツノコガネは約9割がメスだったのが不思議なのですが、大小5匹のオスも採れたのでペアでお持ち帰りさせていただき、末永くならまち糞虫館で活躍してもらうことにいたしました。今乾燥中なので、早ければ来週にも糞虫館デビューです。
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 ツノコガネですから、多くの糞虫好きの方からすると珍しくもなんともないと思いますが、実にカッコイイ姿をしています。セオリー通り頭・胸・腹を水平にして標本にすると長いツノが寝てしまってイマイチなのですが、アゴを引いてツノを立てるとダイコクコガネにも劣らないほどカッコよくて、ずっと見ていられます。今回はコーフンしてしまい採集時にほとんど写真を撮ることができなかったのですが、次回は落ち着いてこの虫の魅力を最大限引き出せる1枚を撮りたいと思っています。還暦を迎えた大人をこんなにワクワク楽しませるなんて、すごいぞ!ツノコガネ、サイコーだぜ!糞虫。

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 奈良公園で黄色い紋様が美しいヤマトエンマコガネの姿が見られなくなって少なくとも既に40年以上になるでしょうか(もし違っていたらご指摘ください)。糞虫好きの先輩方からは「俺が若草山で野グソをすれば、ヤマトエンマが100匹飛んで来たもんだ」といった話を聞かされているものの、1977年以降に採った糞虫を収めた私の標本箱には「採集地:奈良公園」と記されたヤマトエンマの姿はありません。
 コガネムシ研究会の会誌『鰓角通信』のバックナンバーで滋賀県にヤマトエンマがコガネがいる事を知り、2019年に滋賀県で初めて採集できたのですが、その後牛糞を仕掛けたりもしたものの、見つかるのはカドマルエンマコガネやフトカドエンマコガネばかりでした。今年も9月に採集を試みたものの空振り、10月に再度トライしてようやく出会うことができました。2019年は、イヌ糞やタヌキ糞から見つかっているもののシカ糞からは1匹も見つからず、ヤマトエンマコガネはシカ糞を好まないのか?と思ったものです。今回は10月にシカ糞から5匹、牛糞で1匹見つかっており、シカ糞嫌いではないことが分かりました。シカ糞の中に潜んでいることが多く、糞の下のトンネルからほじくり出したエンマコガネは、カドマルエンやフトカドエンマコガネがほとんどで、ヤマトエンマコガネはいませんでした。たまたまかもしれませんけどね。その時の様子が写真1~4枚目です。
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2020年10月、富雄川(奈良県大和郡山市)でコケシマグソコガネとともにハバビロコケシマグソコガネを多数観察できたのですが、先日9/19に同じ場所に友人と2人で行ってきました。周囲の様子は3年前とほとんど変わりがなく、3年前にハバビロコケシマグソコガネ等をたくさん見つけた水の無い側溝に生えた草の根周辺を集中的に探しました。2人で2時間篩い続け、コケシマグソ5匹(写真1枚目)、ハバビロコケシマグソ1匹(写真2枚目)。数は少なかったけれど、今回も2020年と同じ2種類のケシマグソコガネを見つけることができました。
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 午後からは場所を木津川(京都府木津川市)に移してケシマグソコガネを探しました。朝からずーっと砂ばかり見ているので、目がチカチカして頭も朦朧としてきた中で探し続け、辛うじて2匹をゲット。家で実体顕微鏡で観察すると、ホソケシマグソコガネ(写真3枚目)とコケシマグソコガネ(写真4枚目)でした。
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 『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)によると、コケシマグソコガネは星3つ☆☆☆でどこにでもいるわけではないようですが、「芝生の移植で分布を広げるためどこで採れても不思議ではない」 と書かれています。実際、私も夢前川(兵庫県姫路市)や若草山(奈良市)、富雄川(奈良県大和郡山市)、木津川(京都府木津川市)など様々な場所で見つけています。場所的には芝生の移植とは関係なさそうですが、いずれも細かい少し乾燥気味の砂地に生える草の根際がお好みのようです。
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P5230577-1ハバビロコケシマグソコガネ越冬クリーニング後

 ホソケシマグソコガネとハバビロコケシマグソコガネは、前胸背の模様が似ているので混同しているケースが少なくないようです(私もその一人でした)。ちなみに2006年に新種として発表されたハバビロコケシマグソコガネは『日本産コガネムシ上科図説に写真が掲載されていませんが、ホソケシマグソコガネの特徴である「上翅の間室に列生する刺毛」(ホソケシマグソ:写真5枚目)が無い(ハバビロコケシマグソのクリーニング後:写真6枚目)ので見分けることができます。ホソケシマグソコガネの標本をお持ちの方は顕微鏡を使ってぜひ確かめてみてください。

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