むしむしブログ

カテゴリ: 日本の糞虫

 ヤマトエンマコガネのような美しい黄色の文様を持つミツコブエンマコガネ。船の積み荷と共に姫路市あたりに上陸したのではないかと言われていますが、現在は、夢前川、揖保川、市川、といった川沿いや海浜公園、姫路城周辺でも普通に見つかるようです。もちろん奈良公園にはいませんので、先日は糞虫館にプレゼントしてくれた方がいて、大喜びしたのですが、今度は別の方から生態写真の提供がありました。私はミツコブエンマコガ幼虫とか蛹を見るのはこれが初めてです。
20201018_親@姫路市 市川堤防 (2)
20210605_終齢幼虫? (2)
20210605_2令幼虫? (2)
20210626_蛹背 (2)
20210626_蛹腹1 (2)
20210626_蛹側面1 (2)
20210626_蛹側面2 (2)
20210626_新成虫2 (2)
20210626_新成虫3 (2)

 その方は、昨年10/18に姫路市の市川で採集して飼育を開始、今年6/5に一部を掘り出したところ幼虫が見つかり、さらに6/26には羽化直後のまだ薄茶色の成虫や蛹が多数見つかったとのこと。飼育したご本人は、ほったらかしにしていただけと謙遜していましたが、容器越しに様子を窺いながら本当に絶妙のタイミングで掘り返してますよね。エンマコガネの幼虫の特徴を如実に示す背中のコブ、蛹の側面からは恐らくオスのツノになる部分なのでしょうか、突起が見えます。今年も飼育に挑戦しているようですから、来年はもっと詳しい情報が得られることを期待してます。ミツコブエンマコガネ以外にも、ご当地糞虫の飼育・繁殖に挑戦している方からの情報提供をお待ちしています。私も頑張らねば・・・

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

「外来種」というと悪者のイメージが強いので、このカワイイ糞虫にはあまり使いたくはないのですが、その分布の特異性等からミツコブエンマコガネは外来種ではないかと言われています。私がこの糞虫を知ったのは4年ほど前、塚本先生の「日本糞虫記」の中で夢前川でこの虫を観察したお話を読んで、見に行ったのが最初です。その後、その近くの揖保川や糞虫館に来た方の情報を基に姫路市内の海浜公園などでもミツコブエンマコガネを見ることができました。ホントは毎年見に行ければいいのですが、奈良からだとちょっと遠くて気軽に行けません。そろそろ行かねば、と思っていたらなんと糞虫館にミツコブエンマコガネを持ってきてくれた方が現れました。
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 最近は姫路市内の野良猫の糞でも普通に見つかるとか。オス、メス、黄斑の違う個体などいろいろ取り交ぜて採集してきてくれたので、標本の少ない糞虫館としては大変助かりました。来月から展示できると思います。お楽しみに。

 今週末の10/24(日)は年に一度のコガネムシ研究会大会です。今年はリモート開催なので、普段は遠くて参加できない方やちょっと恥ずかしいという方でも全然平気です。アクセスして黙って画面を見てたらいいだけですから。今年の大会参加者は会員以外の方も多いと聞いているので、まずは大会を見て、そのあと何人かでも入会してくれたら、糞虫好きのネットワークが広がるのではないかと期待しています。大会の参加方法はコガネムシ研究会のHPにありますが、基本的に以下の通りです。

参加登録:大会への参加は会員・非会員とも無料ですが、10月22日(金)までに事前の参加登録をお願いします。
 参加登録は下記の項目を明記したメールを大会事務局宛(taikai@kogane.jp)にお送り下さい。
  1. 氏名(ふりがな): 会員/非会員
  2. 住所:〒
  3. 電話番号:
  4. メールアドレス:
  5. お楽しみプレゼント:希望する/希望しない
  6. 抽選会でお楽しみプレゼントに当った場合:名前を読み上げる/参加登録番号を読み上げる

 参加登録を受け付け次第、参加登録番号を記した確認メールをお送りします。



今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!





 

 昨日のコブナシコブスジコガネの話には続きがあります。
 生きている奴だけでなく死骸もきちんと見つけないと、もしかしたら逃げ出したのかも、という可能性が残ってしまいます。で、ちまちまと少しずつフレークを崩しながら成虫を探したのですが、その時に見つけたのがコレです(写真1、2枚目)。これは何でしょう?たまたま1つ見つけたので、注意して探したらもう一つ見つかりました(写真3,4枚目)。
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 ケースにはコバエ防止の目の細かいネットを被せており、餌の羽毛や鹿毛は冷凍保存のものを与えているので、外部からの虫の侵入は考えにくいです。2019年の夏頃、卵やふ化直後の幼虫を撮影しているのですが、それと比べても大きな違いは見られません。状況からすると、コブナシコブスジコガネの卵ということになりますが、ただ、この季節に卵を産みますかね?60匹もいて2個だけというのも少し引っ掛かります。とりあえず、埋め戻して様子を見ることにしましたが、暖かい日が続いたりエアコンを入れたりで、間違って産んだのかもしれませんね⁉ でも、室温が20度を超えるのは、土日の午後の数時間だけで、平日5~10℃くらいしかありません。コブナシコブスジコガネは比較的低温でも産卵するのでしょうか。そういえば最初に長野の糞虫好きの方から送られてきた時には、成虫と一緒にすでに成長した幼虫も何匹かいたので、自然界でも春のまだ肌寒い頃から産卵する可能性も否定できない気もします。今後に注目です。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

 いきなりの「その後」ですが、ならまち糞虫館では20195月から長野県在住の糞虫好きの方にいただいたコブナシコブスジコガネの飼育を続けています(写真1枚目)。送られてきた容器(タッパー)でそのまま飼育していただけなんですが、どんどん増えて65匹が新成虫になりました。過密状態になったので少し大きな容器(プラケース)に移しました(写真2枚目)。フレークが足らないのでカブトムシマットを足したのですが、それが良くなかったのか、風通しが良すぎるのか、昨年(2020)はケース越しに見る限りは繁殖している気配はありませんでした。餌となる鳥の羽やシカの毛は食痕があるので生きているはずなのですが、60匹以上いるのに減り方が少なく、一時期を除いてあまりその姿を見ることがなかったので心配してました。
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 昨日、ちょっと掘ってみると死骸が出てきたので、ちゃんと調べることにしました。容器は糞虫館の2階に置いてますが、平日は人がいないのでを下回ることもあります。たまにエアコンを入れるせいか上半分はやや乾燥気味でしたが、下半分は「強く握れば固まるけど指で押すと簡単に崩れる」程度の湿り気が残っていました(写真3枚目)。捜索の結果は、2019年春~夏に羽化した成虫65匹は、生存60匹、死骸2匹、行方不明3匹。ほとんどが生きていたので「良かったー!」と喜んだのもつかの間、「やはり繁殖してなかったか・・・」と残念に思う気持ちがムクムクと。殖えなかった原因は、ダニの発生を恐れて乾燥気味にしていたせいかもしれません。しかし、コブナシコブスジコガネがフクロウの巣から大量に見つかった話が本に載っていたので、湿気が多いのを好むとは考えにくいしなー・・・。
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 別のケースで飼育していた2018年秋に野外(神奈川県西端)で採集された元の成虫匹は、生存4匹(友人に提供分を除く)、死骸3匹(写真4枚目)。これらのコブナシコブスジコガネは、飼育下で2年半生きていることになります。どんどん増えた2019年が嘘のように、こちらも2020年は繁殖していません。飼育環境が繁殖に適していなかったことは間違いなさそうです。どうすればいいんだ・・・。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

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 見やすい写真がふんだんに使われた糞虫図鑑がある現在では考えにくいことですが、キレイな黄色い斑紋が前翅にあることから、過去にはヤマトエンマコガネと間違われていたこともあるというミツコブエンマコガネ(写真1,2枚目)。その分布が偏っていることから、港から上陸した”外来種”の可能性が高い本種は、『日本列島フン虫記』(著:塚本珪一)にもあるように、夢前川あたりが震源地となっているようで、私も2017年に夢前川2019年に揖保川でこの目で生息状況を観察しています。1ヶ月程前、糞虫館に来た虫好きの方から「ミツコブエンマコガネなら姫路では普通にみられますよー」とあっさり言われ、「ほんまかいなー?!」と10/20に高速代5000円使って見に行ってきました。
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 たしかに、教えてもらった場所に行くと、フツーにいました。イネ科の草が表面を覆ってますが、海岸沿いなのでピンセットで簡単に掘れるほどサクサクの砂地で、適当な犬糞にはほとんどミツコブエンマコガネが来てました(写真3枚目)。揖保川の河川敷ではカドマルエンマコガネもたくさん来てましたが、ここは波の荒い日はしぶきがかかるような場所だからか、カドマルエンマコガネは1匹もいませんでした。
 ミツコブエンマコガネは川沿いに生息地を広げているようですが、もしかしたら海水に耐性があって、海岸沿いにもイヌやネコの糞を糧にやすやすと分布を広げているのかも知れません。たしか市川の河川敷ではすでに見つかっていますから、次は加古川でしょうけど、それも私が知らないだけで、実はもう明石をぬけて神戸のすぐ近くにまで来ているのかもしれません。50年くらい継続して観察すれば、この虫が日本に分布が広げる様子が見えてくるかもしれません。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!

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