むしむしブログ

カテゴリ: マグソコガネ

 11月の上旬は暖かい日も多かったのですが、下旬(11/26)ともなるとさすがにもう冬ですね。センチコガネもエンマコガネも見られなくなってしまいました。しかし奈良公園は日本一の糞虫生息地だけあって、糞虫がいなくなることはありません。10/26にFITに2匹のチャグロマグソコガネが落ちたのは少々早すぎる気もしますが、11月下旬の奈良公園の林に行くと、冬マグソの潜り込んだ穴の開いた糞をすぐに見つけることができます(写真1枚目)。注意深く糞に開いた穴を広げていくと、ネグロマグソコガネ(写真2枚目)が出てきました。
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 別の糞からはチャグロマグソコガネ(写真3枚目)、ミゾムネマグソコガネ、オビモンマグソコガネ(写真4枚目)がすぐに見つかりました。オビモンマグソコガネは他の冬マグソに比べると出会える機会は少ないのですが、この日はラッキーでした。
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 もう少し日の当たる場所も探せばマグソコガネ、イヌ糞があればセマダラマグソコガネも見つかると思います。ちょっと散歩のついでに糞を見るだけで6種類のマグソコガネの仲間を観察できるなんて、日本中でも奈良公園ぐらいじゃないかな。幸せです。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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2020年10月、富雄川(奈良県大和郡山市)でコケシマグソコガネとともにハバビロコケシマグソコガネを多数観察できたのですが、先日9/19に同じ場所に友人と2人で行ってきました。周囲の様子は3年前とほとんど変わりがなく、3年前にハバビロコケシマグソコガネ等をたくさん見つけた水の無い側溝に生えた草の根周辺を集中的に探しました。2人で2時間篩い続け、コケシマグソ5匹(写真1枚目)、ハバビロコケシマグソ1匹(写真2枚目)。数は少なかったけれど、今回も2020年と同じ2種類のケシマグソコガネを見つけることができました。
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 午後からは場所を木津川(京都府木津川市)に移してケシマグソコガネを探しました。朝からずーっと砂ばかり見ているので、目がチカチカして頭も朦朧としてきた中で探し続け、辛うじて2匹をゲット。家で実体顕微鏡で観察すると、ホソケシマグソコガネ(写真3枚目)とコケシマグソコガネ(写真4枚目)でした。
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 『日本産コガネムシ上科図説』(監修:コガネムシ研究会)によると、コケシマグソコガネは星3つ☆☆☆でどこにでもいるわけではないようですが、「芝生の移植で分布を広げるためどこで採れても不思議ではない」 と書かれています。実際、私も夢前川(兵庫県姫路市)や若草山(奈良市)、富雄川(奈良県大和郡山市)、木津川(京都府木津川市)など様々な場所で見つけています。場所的には芝生の移植とは関係なさそうですが、いずれも細かい少し乾燥気味の砂地に生える草の根際がお好みのようです。
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P5230577-1ハバビロコケシマグソコガネ越冬クリーニング後

 ホソケシマグソコガネとハバビロコケシマグソコガネは、前胸背の模様が似ているので混同しているケースが少なくないようです(私もその一人でした)。ちなみに2006年に新種として発表されたハバビロコケシマグソコガネは『日本産コガネムシ上科図説に写真が掲載されていませんが、ホソケシマグソコガネの特徴である「上翅の間室に列生する刺毛」(ホソケシマグソ:写真5枚目)が無い(ハバビロコケシマグソのクリーニング後:写真6枚目)ので見分けることができます。ホソケシマグソコガネの標本をお持ちの方は顕微鏡を使ってぜひ確かめてみてください。

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 オビモンマグソコガネ、クロモンマグソコガネ、クロオビマグソコガネ、キマダラマグソコガネ、セマダラマグソコガネ。これらの名前を聞いただけでその模様が思い浮かべられる人もそう多くはないと思いますが、これらの実物を見分けられる人となると相当”いっちゃってる人”です。自覚しましょうね(笑)。冗談はさておき、5㎜前後の黒い米粒のような種類が多いマグソコガネの仲間の中で、黄色に黒い模様があるとどうしてもそこに目がいくのでしょう、既存種とダブらないような名前を考えた先輩方の苦労がしのばれます(決して語彙がないわけではありません!)。
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 先日、ついに奈良公園でキマダラマグソコガネが発見されましたが、その後どなたからも「私も見つけました!」という知らせはありません。私もあれから3回奈良公園に探しに行きましたが、見つかったのはいつも通り4種類のネグロマグソコガネ、チャグロマグソコガネ(写真1、2枚目)、ミゾムネマグソコガネ、オビモンマグソコガネ。そして運よくタヌキの溜め糞を見つけたので、そこからセマダラマグソコガネが見つかりました。奈良公園のシカ糞からはまず見つからないのですが、元気に生息しているんですね。コイツは公園内よりもその周辺の住宅地の道路脇に放置されたイヌ糞を探すことで容易に見つけることができます

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 数週間前に「奈良公園でオビモンマグソコガネが見つけられません。」とのメッセージをいただいて少し気になっていたのですが、まだ大丈夫です。虫を見つけるのが下手な私が少ないながらも毎回見つけてますので、まだ生息しています。でも、ネグロマグソ(写真2,3枚目)やチャグロマグソの居る糞塊10個に1個いるかどうかぐらいです。見つけにくくなっているのは、奈良公園の林内は明るく乾燥してきた影響かもしれません。奈良公園周辺の森や林で探す方が見つけやすいような気がします。

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 かつては幻のマグソコガネと言われるほど珍しかったキマダラマグソコガネ。20年ほど前に紀伊半島に広く分布していることが確認されたものの、「珍種」にはあまり縁のない私には遠い存在だったキマダラマグソコガネ。ついに奈良公園で見つかりました!
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 先週の土曜日、糞虫館に来た糞虫好きの方がボソッと「館長に見ていただきたいものが」と言って取り出した小さな桐箱。中にはまだら模様のマグソコガネが3匹。上はオビモンマグソコガネ、下は一回り大きなセマダラマグソコガネであることは顕微鏡を覗くまでもなく分かりました。が、真ん中の1匹はビミョーな感じ。どっちかなーとよく見ていると、その人はボソッと「キマダラマグソだと思います」。聞くと今年の1月に奈良公園のイノシシの糞から採集したとのこと。そう言われてみるとそう見えてきて、新兵器のデジタルズーム付き実体顕微鏡にセットして確認すると、もう『日本産コガネムシ上科図説』で調べるまでもなくキマダラマグソコガネでした。奈良公園で見つかったのは初めてじゃないのかなー?これまでに奈良公園でキマダラマグソコガネを採集したことがある方からのコメントをお待ちしております。
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 採集された方はその日1日でキマダラマグソコガネの他にも冬のマグソ7種(ネグロ、チャグロ、ミゾムネ、オビモン、セマダラ、クロツツ、ヒメツツ)を見つけるほどの方ですが、それでもその日見つけたキマダラマグソコガネはこの1匹だけだったとのこと。やはり誰でも見つけられる虫ではないようです。でも1匹でも見つかるということは間違いなく「いる」ということ。冬の糞虫観察の楽しみが一つ増えました。私も何とか見つけたいと思いますが、このブログを読んでもし首尾よく採集に成功した方がいらっしゃったら、私が自分で見つけるまでの間糞虫館に展示させていただけるとありがたいです。

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館長の書いた『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社)、全国の書店で好評発売中!

 私はサラリーマンは辞めましたが、今も平日は仕事をしていることが多いです。仕事で奈良県のあちこちに行く機会が多く、その先々で糞を見つけてはひっくり返して楽しんでいます。先日は宇陀方面に行った帰りに、僅かな時間ではありますが、牧場に立ち寄りました。この牧場は、初めて行った時にマルツヤマグソコガネを採集するという幸運に恵まれた(写真1枚目)、相性のいい牧場です。
P2130820マルツヤマグソコガネ

 今回は11月中旬ですでに朝晩が寒くなっているせいか、あまり多くの糞虫は見つかりませんでした。それでも牛糞からカドマルエンマコガネとマグソコガネが見つかりました。いつもと違う場所での糞虫探しは、普段にも増してワクワクして楽しいです。結果は平凡でしたけどね。

今日はここまで。
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