むしむしブログ

カテゴリ: マグソコガネ

 シカ糞の近くで次々にコケシマグソが見つかった5/4の観察では、ヒメコマグソコガネは最後まで1匹もみつけられませんでした。この時期に1匹も見つからないと心配になります。異常に早い梅雨入りのせいで見に行けるときはいつも雨。ようやく5/16の午前中に再度トライして、2時間という限られた隙間時間でしたが、ヒメコマグソコガネを4匹見つけることが出来ました。
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 いつも通り、糞の中には潜り込まず、糞の下にポツンとたたずんでいるのを見て、ほんとにホッとしましたよ。いまだに新たな生息地を見つけられずにいるので、今年もまた会えたけど、マジで来年どうなるか不安です。岩手にも生息地があるらしいけど、広い範囲にたくさんいるのでしょうか?一昨年は採集して飼育してみましたが、他のマグソコガネのように糞を食べているのかどうか今一つわからず、結局死なせてしまった苦い経験があります。コケシマグソコガネやクロツツマグソコガネなんかもいったい何を食べているのか確実なところはわからないけど長生きするのになー。
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 今回もコケシマグソコガネが2匹見つかりました。直接食べるかどうかは別として、シカ糞のすぐ近くにいるのは偶然ではないと確信を深めました。それにしても、今までコケシマグソコガネをホイホイ見つけられるなんて思ってもみませんでしたが、今年が異常なのか、何か大きな変化が起きているのか、気になります。

 三重県鈴鹿市の郊外を流れる鈴鹿川の河川敷で発見され、2006年に新種としてコガネムシ研究会の方々によって発表されたハバビロコケシマグソコガネ。前胸背版の横隆起がホソケシマグソコガネに似ており、私も以前間違えてしまいました!その後、関東や北陸からも報告されており、結構広く分布しているのではないかと考えられています。奈良は富雄川の河川敷からコケシマグソコガネとともに一度に多数見つかっており、私は側溝の砂や堆積物ごと持ち帰り飼育していました。飼育と言ってもいったい何を食べているのかわからず、時々霧吹きで水をやるだけです。冬になる前に堆積物に紛れ込んでいた10匹ほどのスナゴミムシダマシは全て死んでしまいました。冬になると、ケシマグソコガネは一体何匹いるのかもわからないまま、姿を見ることはなくなりました。
P5230449コケシマグソコガネ越冬
P5230481ハバビロコケシマグソコガネ越冬
P5230577ハバビロコケシマグソコガネ越冬クリーニング後

 一応室内に置き(暖房無し)たまに霧吹きをするだけの世話でしたが、先週、コケシマグソが1匹もぞもぞと姿を現しました(写真1枚目)。さらに、3日前にはプラケース越しに何か動くものが見え、よく見ると中にはケシマグソコガネらしきものの姿が。ピンセットでつまみだして顕微鏡で見ると、紛れもなくハバビロケシマグソコガネ(写真2、3枚目)。ホソケシマグソの特徴である上翅の間室の刺毛がありません。この写真はクリーニングして翅の間室の顆粒間にある垢をおとしてあるのでよくわかりますが、掘り出した直後でクリーニングする前のものが次の写真(写真4枚目)。これではちょっと見分けられません。
P5230553ハバビロコケシマグソコガネ越冬クリーニング前

 本種もコケシマグソコガネも、成虫で越冬するんですね。自然界では枯れた植物などの堆積物の下の川砂の中に潜って冬を越すに違いありません。うちのプラケースは堆積物2~3cm、その下に川砂2~3cmほどしか入れてませんが、室内なので問題なかったのでしょう。元気に活動を再開したのはいいのですが、一体エサは何なのか?乾いたところにいるイメージですが、雨が降ったら水浸しになるようなところに住んでいるし・・・。飼育環境も含めて、謎は深まるばかりです。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!



 人間不思議なもので、年を取ると頭が固くなり新しいことを考えたり試したりしなくなります。なので、私はいつも意識的に、今までやってなかったことには挑戦するようにしています。5/25の挑戦は、「針葉樹で虫を探す」こと。完全な思い込みなのですが、杉とかヒノキはいい香りのする油脂が含まれていて、虫はそれを嫌うので、特定の種を除いて虫はいないと思っているのです。私がこれまで観察したクロツツマグソコガネとヒメツツマグソコガネはほぼすべてがカシやナンキンハゼなど広葉樹(数匹はシカ糞)。針葉樹の皮をめくって探したことがないのだから、当然の結果です。
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P5250663針葉樹樹皮下のクロツツ

 先日、『日本産コガネムシ上科図説』のクロツツマグソコガネの解説には「枯れた広葉樹や針葉樹の樹皮下から見つかることが多く」とあり、ヒメツツマグソコガネは「広葉樹の朽木樹皮下から見つかることが多い」とあるのに気付いたのです。で、梅雨の合間にFITを設置するついでに植林された杉林に横たわる直径20㎝くらいの樹皮を剝いでみました。初めての経験、挑戦でした。いました。クロツツマグソコガネを探すために初めて杉の皮を剥いだら、もうそこにいたという、「それはちょっと出来すぎやろー」と思わずひとりツッコミを入れてしまいました。いやー、本当に針葉樹の樹皮下にもクロツツマグソコガネはいるんですねー。これからは自信をもって「針葉樹の樹皮下にもいる事があります」って言えます。逆に、ヒメツツマグソコガネは針葉樹からはあまり見つからないんでしょうかね?この森には両方とも生息しているのを確認済みですから、杉の樹皮下でヒメツツマグソコガネが見つかるか、継続調査をしていきたいと思います。ホント、何事にも小さなことでも挑戦することは大事ですね!

今日はここまで。
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 ふつうは朽木の樹皮の下で見つかるクロツツマグソコガネを、他の糞虫が集まっているシカ糞にへばりついているのを見つけました。2018年5月にも一度シカ糞で2匹見つけたことがあり、その時は糞に潜り込んでいたので珍しい光景だとは思いましたが「たまたま」くらいに考えてました。ところが今回5/6にまた2回も同じような場面に遭遇しましたので、クロツツマグソコガネがシカの糞で見つかるのは単なる偶然ではないような気がしてきました(写真1,2枚目)。さらに5/13にクロツブマグソコガネを探して落ち葉をのけて古い糞を探していると、そこにもクロツツマグソコガネの姿が。コイツはここで何をしていたのか?
P5060026クロツツマグソコガネ

 クロツツマグソコガネは朽木に住んでますが、見つかるのはいつも材と樹皮の間で、クチキムシのように材の中に潜り込んだりはしません。あくまでも隙間に住んでいるという感じです。であれば、腐葉土になりかけの積もった落ち葉の隙間にいても全然おかしくないような気がします。でも、他の糞虫が来ているような糞に寄ってくるのはなぜなんでしょう?『日本産コガネムシ上科図説』には「犬糞や腐敗動物質からも見つかり、食性は幅広い」との記載があるので、もしかしたら取り立ててどーこー言うことではないのかもしれません。例えれば、オオセンチコガネがキノコにたかってたというレベルかな?
P5060045クロツツマグソコガネ

 それにしてもクロツツマグソコガネやヒメツツマグソコガネは何を食べてるんでしょうね?推測はできますが、決定的な証拠をつかみたいです。朽木のフレークを入れて湿度を保って世話を忘れなければ、半年以上でも生きています。シカ糞を与えても食痕はできませんでしたし、入れなくたって同じく長生きします。本当に不思議で面白いやつだと思います。

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 奈良公園の環境は開発や農薬散布を免れ、比較的よく守られているほうだと思います。しかし、地球温暖化や増えすぎたシカによる食害、ナラ枯れなど虫の異常発生からは逃れられません。データをもっているわけではありませんが、シカに食われて若木がほとんど育たない奈良公園の林は老化が進み、そこにナラ枯れが追い打ちをかけて明るい所が増えてきました。暗すぎて花を付けなかったアセビが最近は花を咲かせる場所が増えています。しっとりしていた地面も、晴天が続くとすぐに乾くようになりました。
 前置きが長くなりましたが、土壌が乾くとあらゆる生物に影響があるのでしょうが、フン虫王子としては糞虫が心配なわけで、特に湿ったカビの生えるような古いシカ糞を食べているクロツブマグソコガネの安否を気にしています。で、今年も探しに行きました。(写真1,2枚目)
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 クロツブマグソコガネは、新鮮な糞や乾いた糞ではまず見つかりません。落ち葉の下に埋もれていつも湿っている古いシカ糞にいるのです。なので、日の当たらない落ち葉が溜まりやすい場所で、シカの通り道になっていて糞をよくするところを探します。適当な場所で上の方の落ち葉や糞を木の枝でどんどんどけていくと(写真3枚目)、湿った腐葉土とそこに半分埋もれた古いシカ糞が姿を現します。そこをよく探せば見つかるのです。まあ、奈良公園はシカ糞だらけなのでこんなやり方でいいんですけど、ほかの場所ではまず通用しませんね。(のけた落ち葉はわからないように戻します)
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 本種は、ほんとによく探さないとなかなか見つからないのですが、昨日はすぐに見つかりました。1㎡くらい落ち葉をめくっただけで、7匹発見。別の場所でも見つけました。前日、いい感じで雨が降っていたので、喜んだクロツブマグソコガネが動き回っていたのかもしれません。奈良公園の林内のほとんどの場所に古いシカ糞は存在するので、単純計算するとすごい数のクロツブマグソコガネがいる事になりますが、悲しいことに実際にはなかなかいないんですよ。

今日はここまで。
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