むしむしブログ

カテゴリ: タマオシコガネ

『名犬ラッシー』『わんわん物語』『ももいろのキリン』。私の記憶に残る絵本を3つ挙げるとこうなるのですが、今だったら『フンころがさず『フン虫に夢中』←絵本ではない、そして『フンコロガシといしころ』でしょうか。
 先週、クレヨンハウス編集部の方から丁寧なお手紙とともに1冊の絵本が送られてきました。フランスのクレール・シュヴァルツさんの作った絵本『フンコロガシといしころ ころころころころうみへいく』がフランス美術著作権協会による新人賞「レヴェラシオン賞」(児童書部門)を2018年に受賞、その絵本を200冊以上の子供の本の翻訳を手掛けてきた ふしみみさを さんが翻訳して、この5月1日出来たてホヤホヤの本をならまち糞虫館にプレゼントしてくれたのです。ありがとうございます!
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 一応、主人公はいしころのジャリーなのですが、フンコロガシのコロンがいないと当然ジャリーは動けないわけで、フンコロガシのコロンが途中大活躍するわけで。そもそもなんでいしころが海に行こうとするのか?いや、その前に、なんで砂利の一粒が海に行く話を絵本にしたんだろー?それは見てのお楽しみ。
 クレヨンハウス編集部の方によると、フンコロガシは子供の興味を誘う昆虫でありながら、ダンゴムシなどに比べ絵本での登場機会が少ないそうです。そうかー、フンコロガシはダンゴムシより人気がないんだ。フンコロガシだって丸まることできる(マンマルコガネだけですけど)し、フン玉転がすし、子育てするし、土に潜れるし、空も飛べるんだけどなー。
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 この絵本は、糞虫館で自由に見ることができます。小さい子供連れの方は必見です。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう。

 5月に出版されたフンコロガシの絵本『フンころがさず』は好評を博しているようですが、先月採集した日本のフンコロガシ「マメダルマコガネ」は本当に糞玉を作って逆立ちして後ろ足で押して転がすのでしょうか?初採集だったので綺麗な標本を作りたい気持ちもありましたが、この目で全長2㎜という極小のフンコロガシが糞玉を作り、転がす場面をこの目で見たいという誘惑が勝り、飼育を始めました(写真1枚目)。
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 過去40年以上に渡り一度もシカ糞でコイツを見つけられなかったことから、本当にシカ糞を食べるという確信はないものの、シカ糞を入れました。シカ糞の一部に潜り込んだ形跡は見られましたが、うろうろと容器内を動き回る姿が目についたので、どうも落ち着かない(=飼育環境がイマイチ)様子でした。3日もするとカビの菌糸が伸びはじめ、マメダルマコガネが歩きにくそうにしていました(写真2枚目)。
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 そして、飼育開始のわずか10日後、容器のふたにできた結露で溺れて死んでいました。遺体を回収し、何とか標本を作製できたのは不幸中の幸いでした。触角まで引き出せたのはまさに奇跡です(写真3枚目)。わずか2㎜の虫ですから。
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 ブログのコメントに、鳥(セキセイインコ)の糞を使って飼育すると、いくつも糞玉を作ったという情報が寄せられているので、次回は鳥の糞を試してみたいと思います。ただ、次にマメダルマコガネに出会えるのは一体いつになることやら・・・。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

 日本人はファーブル昆虫記を読んだ方が多いせいか「糞虫」=「フンコロガシ」、つまり糞を丸めて転がす虫と思っている方が多いようです。なので、私が「日本の糞虫の99%は糞を丸めて転がすことはしません」と説明すると、「えーっ!!」と驚かれると同時に、残り1%の糞玉を作って転がす糞虫に関心を示されます。で、全長2mmほどのマメダルマコガネというチビコエンマコガネよりまだ小さい糞虫が森の中で密かに糞の玉を転がしている、とお話しています。でもねー、私は今まで生きたマメダルマコガネを見たことがなかったのです。本州・四国・九州に生息し、それほど珍しいというわけでもないようなのですが・・・。
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 シカ糞のそばにゴホンダイコクコガネの死骸があり、「あー、死骸や。残念。」とピンセットでつまみあげると、その下に小さな甲虫が隠れていました。丸っこくて光沢があったその甲虫はあまりに小さかった(写真1,2枚目 下部の球は直径1㎜)ので、糞虫ではないだろうなと思いながらもマメダルマコガネかもねと心の片隅で思いながら、ピンセットでつまんで手に載せるとすぐに死んだふりを止めて動き出しました。「ん!?これって本物のマメダルマコガネちゃう?」 今日は、鳥の羽毛や動物の骨にも詳しい若手の糞虫好き山田氏と一緒に奈良公園に観察に行ったのですが、彼は学校の裏山のトラップにかかったマメダルマコガネを見たことがあり、たぶん間違いないとのこと。このほかにも目と勘のいい彼のおかげで、ルリセンチコガネが40匹以上集まっているところやセンチコガネやコブマルエンマコガネが多数集まっている大きなキノコ、ゴホンダイコクコガネ、ノコギリカミキリの交尾、シカの白骨死体など、様々な場面を目にすることができましたが、マメダルマコガネは最高の収穫でした。(写真3枚目)
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 マメダルマコガネは半世紀以上前から「糞玉を転がす日本のフンコロガシ」と言われていましたが、恥ずかしながら私は40年間その姿を奈良公園で見たことがなく、玉を転がす姿は夢のまた夢でした。今、元気に動き回るマメダルマコガネを目の前にして思うことは、コイツが糞玉を作って転がす姿を見たい。ただそれだけです。
 今晩絶食させて、明日の午後、ならまち糞虫館の特設ステージで糞を与える実験を行ないます。うまくいけばニッポンの糞虫がフンをコロガシてる姿を皆さんと一緒に見ることができるかもしれません。

今日はここまで。
今週末、糞虫館で会いましょう!

 我々50代半ばの人にとって「カドカワ」といえば、主演:高倉健 の映画「野生の証明」でしょう。知らない人は、レンタルビデオで借りてぜひ見ていただきたい。高倉健さんと薬師丸ひろ子、サイコーです。鉄道員(ぽっぽや)の健さんもサイコーですけど。かつての角川書店は、現在は株式会社KADOKAWA、売上は2,000億円を超える大企業のようです。
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 そのカドカワから一昨日、小包が届き、開けると中から絵本が1冊。タイトルは『フンころがさず』(写真1,2枚目)。いいですねー、巨大企業でしかも超メジャーなカドカワが糞虫の絵本を出すなんて、いよいよ糞虫にスポットライトが当たる時代が来るのでしょうか!? ご丁寧にもお手紙が添えてあって、じつは絵本の絵を描いた高畠純さんは、この絵本を書くにあたってならまち糞虫館に来ていて、スカラベを実際に見てイメージを膨らませたとのこと。たぶん、私が身ぶり手ぶりを交えてスカラベの話をさせてもらったのではないでしょうか。今年5月に出版されたばかりですから、もしかしたら、去年の夏に糞虫館でアフリカの生きたスカラベ(タマオシコガネ)を見たのかも。週末には奈良公園のシカ糞を集めて飼育容器に入れて糞玉作りや糞玉転がしの様子を実際に観察できたので、それもご覧になられたのかもしれません。楽しい絵になっているにもかかわらず、前足や頭の形の特徴がよく出ていて、どう見てもフンコロガシに見えてしまう。さすがですね。うちの糞虫たちが多少なりともお役にたてたのあれば、とてもうれしいです。
 ダ・ヴィンチニュースという本の紹介サイト(https://ddnavi.com/review/623615/a/)があって、そこに絵本について詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。
 ついでだから言っちゃいますが、糞虫に魅せられた男の波乱万丈の半生(!?)を描いたノンフィクション童話があの「くもん♪いくもん♬」でお馴染みのくもん出版から9月頃発売予定です。今、私が最も注目している童話作家いどきえりさん渾身の作品です。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!

 夏の間、ならまち糞虫館で糞玉を作っては転がし、みんなの人気者だったフンコロガシ。秋の深まりと共に動きが鈍くなり、地上に現れなくなったのでそのまま放置していました。1月に大きな水槽を片付けようと土を取り出したところ、5匹がじっと動かないものの生きている状態で出てきました。掘り出してしまったものの、まだ真冬なのでカブトムシマットを入れたプラケースに埋めて、オオコブスジコガネと同じ2階の部屋に置いておきました。
 やはりこちらも最近20℃前後の陽気が続いたせいか、2匹が地上に現れ、その動きがゆっくりではあるものの正常に近い感じになっていたので、エアコンを23℃に設定しシカ糞を与えたところゆっくりとした動きではありましたが、食べているのが確認できました(写真1枚目)。
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 残念ながら残りの3匹は死んでいたのですが、掘り出さずに春までそっと置いておけば1匹も死なさずにすんでいたように思います。生きている2匹には粉ダニがたくさんついており、本来の動きには程遠い状態なので、糞は食べたものの夏まで生かしておくことができるか、自信がありません。タマオシコガネが越冬するとは考えてもみなかったのですが、ファーブルが実際に観察したタマオシコガネ(Scarabaeus typhon)は、アフリカだけでなくヨーロッパから中央アジア、朝鮮半島にもいたようですから、寒くても生き延びる術を知っていても不思議ではありません。
 今はタマオシコガネのケースを2階の南側のより暖かい部屋に移し、徐々に体を慣らすようにしています。越冬して翌年の夏にこいつらがまた糞玉を作って転がしたら、私的には大発見です。もしかしたら、天国のファーブル先生もこれからどうなるのか注目しているかもしれません。

今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!
 

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