むしむしブログ

カテゴリ: エンマコガネ

 3/6石垣市で採集されたアカマダラエンマコガネをいただいてシカ糞で飼育しているのですが、3/30にシカ糞を追加した時に細かい砂を浅く敷いたビンに移し替えました。で、昨日4/8糞虫館に来た糞虫好きの小学生に見せてあげようと思ってビンの底を見ると、ガラス越しに真っ白な卵があったんですよ!(写真1、2枚目)いやー、驚きました。飼育を始めた時に「既に交尾をしていて、上手くいけば産卵するかも」なーんて言ってましたが、まさか本当に産卵するとは・・・
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 私のエンマコガネの産卵のイメージは、糞の下に枝分かれした穴(トンネル)を掘ってそれぞれの穴の先端に糞を貯めて、その糞に卵を1個ずつ産むと思ってました。小さなビンなので穴は縦横無尽に掘られていて全容は分かりませんが、何ヵ所か糞溜まりらしきものがガラス越しに観察できました。ただ、現時点では糞溜まりに卵は確認できず、卵は穴の底にまとめて産み付けられ、7~9個くらいの塊になっていました。穴の底は特に育児室のような広がりはないようです。卵塊がハッキリ目視できるものだけで3カ所あった(写真3枚目)ので、少なくともこの1週間で20~30個くらいは産んでいることになります。
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 卵は少し歪な”長球形”をしていて、大きさは長径1.4~1.6㎜、短径0.8㎜くらいでしょうか。(写真4枚目)ガラスの厚みがあるので、実際より大きく見えているかもしれません。飼育個体は体長約8㎜ですから、産卵直後の卵はもう少し小さいとは思いますが、このサイズの卵を1度にまとめて7~9個産むのは大変なことだと思います。本当にこの卵はアカマダラエンマコガネの卵なのでしょうか?確信はぜーんぜんありません。
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 さらに幼虫も見つかって狂喜したのですが(写真5枚目)、よく見るとエンマコガネの幼虫の特徴である背中の大きなコブが見当たりません。その後、クロツヤマグソコガネの成虫2匹も見つかりました。(写真6枚目)この幼虫はどうやらクロツヤマグソコガネの幼虫のようです。実は飼育開始時に与えたシカ糞は厳しくチェックしたのですが、追加の糞を与えた時のチェックが甘く、その時に両方とも紛れ込んだようです。でも、卵はアカマダラエンマコガネが掘って実際に今も潜んでいるトンネル内に産み付けられていますし、このサイズの卵を産む他の生き物がこの小さなビンの中にいたらいくら私でもさすがに気が付くと思います。
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 今はとにかくこの卵がうまく孵化してくれることを祈るばかりです。日本では沖縄よりさらに南の石垣島等にしか生息しないアカマダラエンマコガネが、糞虫の聖地奈良で産卵して、その生育過程を目の前で観察できるなんて、幸せです。無事に成虫まで育ったら故郷の石垣島に送り返してあげないといけませんね。ん-、でもやっぱり標本にしてしまうかも。妄想はどんどん広がってますが、現時点では「アカマダラエンマコガネの卵らしきもの」があるだけという状況です。

今日はここまで。
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 アカマダラエンマコガネはシカ糞で飼育は可能なのか?この謎を解明するために、というよりは簡単に手に入るフンはシカ糞しかないので、シカ糞での飼育を開始したのが3/9。今日は3/30なのでちょうど3週間が経過しました。砂を敷いた飼育容器を準備するつもりだったので、ティッシュの上にシカ糞塊を置いただけの仮住まい。年度末バタバタして気がついたら3週間が経過。容器を見ると白い毛カビに覆われた糞塊(写真1枚目の上部分。下部分は新しいシカ糞)が・・・。まずいなー、大丈夫かなーと恐る恐る糞塊をひっくり返して探すと、いました!元気です!!(写真2、3枚目)
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 仮住まいなのであまり活動して体力を使うといけないので、温室に置かなかったのが良かったのかもしれません。沖縄島より台湾に近い南国石垣市の最低気温は20℃前後ですが、奈良市は5~10℃。最高気温は石垣市は25℃前後ですが、奈良市は20℃以下。糞塊一つくらいであればナガスネエンマコガネでも3週間も放置すれば原形をとどめないほどに粉砕してしまいますが、糞塊があまり破壊されていなかったのは、南国育ちのアカマダラエンマコガネが低温のためあまり動き回らなかったからだと考えています。5℃前後の寒さは、アカマダラエンマコガネは十分耐えられるようですがあまり活動しなくなるようです。もし0℃ぐらいでも耐えられるようであれば、いつかは本州まで生息地を北上させてくるかもしれませんね。  
 これから飼育環境を改善して、シカ糞で長期飼育が可能なのか、シカ糞でも繁殖するのか、等について、観察していきたいと思います。はるばる石垣市から連れてきたわけですから、ムダに死なせるわけにはいきません。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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 アカマダラエンマコガネ(Onthophagus lutosopistus)を飼育したことがある人は、そう多くはいないでしょう。なぜならこの種は沖縄島よりさらに南西の八重山諸島などにしか生息していないからです。『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』(監修:コガネムシ研究会)によると、真夏の7~9月以外が出現期で、国内ではやや珍しい種のようです。生息地までたどり着ければ、みつけることはさほど難しくはないといったところでしょうか。
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 先日(R5/3/9)、大学受験を終えた某糞虫男子が石垣島に行って採集(R5/3/6)したアカマダラエンマコガネを生きたままならまち糞虫館に持ってきてくれました!1匹は輸送の途中で息絶えていたので標本にしました(写真2枚目)が、もう1匹は調子がよさそうだったので、シカ糞の塊を入れて5分くらいして見ると潜り込んで自分のスペースを作り、そこでくつろいでいました。(写真1枚目)
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 図説にはアカマダラエンマコガネは「腐敗動物質、牛・人等の糞に集まる」との記載があり、セマダラマグソコガネのようにシカ糞では長期飼育が難しい種もいますが、コイツは餌としてはシカ糞でも全然OK!です。八重山諸島には野生のシカが生息していないだけなのかもしれません。2個体ともメスで体長約8㎜前後で、この種としては標準サイズ。体形は典型的なエンマコガネの形で、ツノやコブは無く、光沢は鈍く、色は真っ黒ではなくやや褐色でニッコウコエンマコガネに近い色味です。オスは前脚が長く伸びるので、図説で見るたびにナガスネエンマコガネに似てるなーと思ってましたが、実物はフトカドエンマコガネぐらいの大きさがあるし黒褐色なので、見分けるのは難しくありません。ただ、前翅のオレンジ色の模様は、意外に目立たないので要注意です。

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 飼育するにあたり、奈良市の気温は日中は20℃近くまで上がりますが夜は5℃前後まで下がるため、生息地の石垣島並みに温かくするため部屋のオイルヒーターを24時間稼働させて15℃~24℃にキープ。電気代がめっちゃかかるけど、エアコンよりもはるかに温度変化がマイルドなので、アカマダラエンマコガネに満足してもらえると思います。水槽もたくさん置いてあるので湿度も相当あって、この部屋に入ると南国気分が味わえます。メス1匹での飼育ですが、野外で既に交尾をしている可能性があるので、実は産卵するのを期待しているんです。亜熱帯の島の環境は整えたし、餌はシカ糞でいけそうだし(写真3枚目)、あとは私の根気が続けば、繁殖の報告ができるかもしれません。期待せずにお待ちください。

今日はここまで。
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 ツヤエンマコガネは昔も今も普通に奈良公園に生息しているのですが、シカ糞にはほとんど来ないので普段はあまり目にすることはありません。ただ林内のFITにはよく落ちるので、その活動時期を知ることができます。去年のデータでは、4月はニッコウコエンマばかりがFITに落ちていたのですが、5月に入るとツヤエンマが毎日落ちるようになりました。秋も10月中旬以降は落ちていません。動物の腐肉が大好物なので、夏の汗ばむ空気の中でムッと漂う死臭を嗅ぎながらコイツをつまんだ経験が頭から離れず、私はツヤエンマコガネは夏の糞虫との印象が強いのですが、動物の死骸など滅多にないのでツヤエンマコガネの活動時期についてはずっと確信が持てずにいたのでした。『日本産コガネムシ上科図説(食糞群)』(監修:コガネムシ研究会)には 5~10月となっているので、別に新発見でも何でもないんですが、私個人としてはこのFITの結果でなんかこう腹に落ちたっていう感じ。ところが、達成感というか満足感みたいなのに浸っていたら、11/3(祝)に裏山で、歩行中のツヤエンマコガネを見つけてしまったんです(苦笑)。【写真1】まあ、虫にはカレンダーの日付なんか関係ありませんからね。
 それにしても、FITを最初に考えてやり始めた人ってほんとにすごいなーと思います。ガラス窓に結構いろんな虫がぶつかるのを見て思いついたのかもしれませんが、山や草原を自由に飛び回る虫がちょうど仕掛けた透明の板にぶつかって受け皿に落ちる確率なんて、宝くじを当てるようなものでしょ⁈でも、観察と試行錯誤でFITを採集方法として確立させたんでしょうね。
私なんか、FITで糞に来ない糞虫が採れると聞いても、ほんとかな~なんてグズグズしてやらなかったので、今、とても後悔しています。迷ったらトライ!やらずに後悔するよりやって失敗しろ!昆虫採集にも仕事にも恋愛にも共通する人生の鉄則ですね。

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 ヤマトエンマコガネのような美しい黄色の文様を持つミツコブエンマコガネ。船の積み荷と共に姫路市あたりに上陸したのではないかと言われていますが、現在は、夢前川、揖保川、市川、といった川沿いや海浜公園、姫路城周辺でも普通に見つかるようです。もちろん奈良公園にはいませんので、先日は糞虫館にプレゼントしてくれた方がいて、大喜びしたのですが、今度は別の方から生態写真の提供がありました。私はミツコブエンマコガ幼虫とか蛹を見るのはこれが初めてです。
20201018_親@姫路市 市川堤防 (2)
20210605_終齢幼虫? (2)
20210605_2令幼虫? (2)
20210626_蛹背 (2)
20210626_蛹腹1 (2)
20210626_蛹側面1 (2)
20210626_蛹側面2 (2)
20210626_新成虫2 (2)
20210626_新成虫3 (2)

 その方は、昨年10/18に姫路市の市川で採集して飼育を開始、今年6/5に一部を掘り出したところ幼虫が見つかり、さらに6/26には羽化直後のまだ薄茶色の成虫や蛹が多数見つかったとのこと。飼育したご本人は、ほったらかしにしていただけと謙遜していましたが、容器越しに様子を窺いながら本当に絶妙のタイミングで掘り返してますよね。エンマコガネの幼虫の特徴を如実に示す背中のコブ、蛹の側面からは恐らくオスのツノになる部分なのでしょうか、突起が見えます。今年も飼育に挑戦しているようですから、来年はもっと詳しい情報が得られることを期待してます。ミツコブエンマコガネ以外にも、ご当地糞虫の飼育・繁殖に挑戦している方からの情報提供をお待ちしています。私も頑張らねば・・・

今日はここまで。
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