むしむしブログ

タグ:クロツツマグソコガネ

 人間不思議なもので、年を取ると頭が固くなり新しいことを考えたり試したりしなくなります。なので、私はいつも意識的に、今までやってなかったことには挑戦するようにしています。5/25の挑戦は、「針葉樹で虫を探す」こと。完全な思い込みなのですが、杉とかヒノキはいい香りのする油脂が含まれていて、虫はそれを嫌うので、特定の種を除いて虫はいないと思っているのです。私がこれまで観察したクロツツマグソコガネとヒメツツマグソコガネはほぼすべてがカシやナンキンハゼなど広葉樹(数匹はシカ糞)。針葉樹の皮をめくって探したことがないのだから、当然の結果です。
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P5250663針葉樹樹皮下のクロツツ

 先日、『日本産コガネムシ上科図説』のクロツツマグソコガネの解説には「枯れた広葉樹や針葉樹の樹皮下から見つかることが多く」とあり、ヒメツツマグソコガネは「広葉樹の朽木樹皮下から見つかることが多い」とあるのに気付いたのです。で、梅雨の合間にFITを設置するついでに植林された杉林に横たわる直径20㎝くらいの樹皮を剝いでみました。初めての経験、挑戦でした。いました。クロツツマグソコガネを探すために初めて杉の皮を剥いだら、もうそこにいたという、「それはちょっと出来すぎやろー」と思わずひとりツッコミを入れてしまいました。いやー、本当に針葉樹の樹皮下にもクロツツマグソコガネはいるんですねー。これからは自信をもって「針葉樹の樹皮下にもいる事があります」って言えます。逆に、ヒメツツマグソコガネは針葉樹からはあまり見つからないんでしょうかね?この森には両方とも生息しているのを確認済みですから、杉の樹皮下でヒメツツマグソコガネが見つかるか、継続調査をしていきたいと思います。ホント、何事にも小さなことでも挑戦することは大事ですね!

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 ふつうは朽木の樹皮の下で見つかるクロツツマグソコガネを、他の糞虫が集まっているシカ糞にへばりついているのを見つけました。2018年5月にも一度シカ糞で2匹見つけたことがあり、その時は糞に潜り込んでいたので珍しい光景だとは思いましたが「たまたま」くらいに考えてました。ところが今回5/6にまた2回も同じような場面に遭遇しましたので、クロツツマグソコガネがシカの糞で見つかるのは単なる偶然ではないような気がしてきました(写真1,2枚目)。さらに5/13にクロツブマグソコガネを探して落ち葉をのけて古い糞を探していると、そこにもクロツツマグソコガネの姿が。コイツはここで何をしていたのか?
P5060026クロツツマグソコガネ

 クロツツマグソコガネは朽木に住んでますが、見つかるのはいつも材と樹皮の間で、クチキムシのように材の中に潜り込んだりはしません。あくまでも隙間に住んでいるという感じです。であれば、腐葉土になりかけの積もった落ち葉の隙間にいても全然おかしくないような気がします。でも、他の糞虫が来ているような糞に寄ってくるのはなぜなんでしょう?『日本産コガネムシ上科図説』には「犬糞や腐敗動物質からも見つかり、食性は幅広い」との記載があるので、もしかしたら取り立ててどーこー言うことではないのかもしれません。例えれば、オオセンチコガネがキノコにたかってたというレベルかな?
P5060045クロツツマグソコガネ

 それにしてもクロツツマグソコガネやヒメツツマグソコガネは何を食べてるんでしょうね?推測はできますが、決定的な証拠をつかみたいです。朽木のフレークを入れて湿度を保って世話を忘れなければ、半年以上でも生きています。シカ糞を与えても食痕はできませんでしたし、入れなくたって同じく長生きします。本当に不思議で面白いやつだと思います。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 生き物は互いに生存競争をしていて、糞虫もその例外ではないという。特に奈良公園のように多くの種類の糞虫が生息する所では、競争を避けるために食べ物(シカ糞、イヌ糞、牛糞など)、生息場所(森、芝地、砂地など)、出現時期(春夏秋冬など)、活動時間帯(昼、夜など)が異なっていることがこれまでの観察で明らかにされている。なので、例えばイヌ糞はクサいからといってあまり観察しないでいると、ごく普通種であるセマダラマグソコガネにさえ出会うことは難しい。冬は寒いからといって観察に出かけないでいると、ネグロマグソコガネやチャグロマグソコガネを見ることはできない。
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 でもねー、糞虫同志は実際のところどう思っているんだろーね。春の奈良公園のシカ糞には、カドマルエンマコガネ、クロマルエンマコガネ、ナガスネエンマコガネ、クロツヤマグソコガネが数えきれないほど(写真1枚目)集まっています。デカいイヌ糞には、センチコガネとオオセンチコガネが20匹近く、さらにクロマルエンマコガネ、カドマルエンマコガネ、ナガスネエンマコガネなどがうじゃうじゃ見られました(写真2枚目)。朽木の樹皮の下には、クロツツマグソコガネとヒメツツマグソコガネがすぐ近くにいることも(写真3枚目)。こんな場面を見ていると、糞虫達はそれぞれ好き勝手に好きな時に好きな所で好きな物を食べているだけではないか?と思えてきます。そもそも地球上には何十万種も昆虫がいるのだから、お互いを気にして生きていたら住む場所も食べる物も無くなってしまんじゃないかなー。糞虫に一度聞いてみたいですね。

今日はここまで。
また明日!
 

 昨年5月に初めてナンキンハゼの朽木でクロツツマグソコガネ Saprosites japonicus を見つけてからというもの、奈良公園のあちこちの朽木の樹皮の下から季節を問わずその存在を確認していました。しかし、これまで数千個のシカ糞で糞虫を見てきた私は、一度もこのクロツツマグソコガネをシカ糞で見つけたことはありませんでした。「日本産コガネムシ上科図説(食糞群)」(コガネムシ研究会:監修)にも「樹皮下から見つかることが多く、落葉下からも得られている。イヌ糞・腐敗動物質・PTからも見つかり食性は幅広い。」と記されており、シカ糞で見つかった例はあまりないのかもしれません。
 それが今日、シカ糞に潜り込んでいるクロツツマグソコガネを確認したのです。いつものアセビ林で、それほど新しくない小ぶりの塊糞を割ると、ぷっくりとしたヌバタママグソコガネ Aphodius breviusculus 1頭と細身のマグソコガネの仲間らしき1頭が姿を現しました。細いのでハネカクシかとも思ったのですが、ピンセットでつまみだすと間違いなくマグソコガネの仲間、ルーペで見るまでもなくクロツツマグソコガネだとわかりました。
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 これだけだと、「ふーん、こんあこともあるんや。」で終わるのですが、夕方、やはりアセビ林のやや乾き気味の粒糞(エンマコガネ類の食痕あり)から、またまたクロツツマグソコガネを見つけたのです。こちらは厳密にいうと糞の中ではなく、喰い散らかされたシカ糞の下から出てきたので、シカ糞を食べていたとは断言できませんけど。
 でもですよ、今まで樹皮の下からしか見つけられなかったクロツツマグソコガネを2頭、樹皮の下以外のところで見つけたという事実は私にとっては歴史に残る大発見です。めっちゃ嬉しいです。この幸せを世界中の人にも分けてあげたい・・・。


今日はここまで。
再見!

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