むしむしブログ

タグ:クロツヤマグソコガネ

 飼育を始めて1年を経過したクロツヤマグソコガネ。残念ながら卵は観察できませんでしたが、交尾、幼虫、前蛹、蛹に至る様子を観察してこのブログにも載せてきました。焦点は、6月に既に蛹から羽化していた成虫が翌年の春まで10ヶ月もの長い期間どのように過ごすのか?でした。途中で掘り出して観察すると、辛うじて体を動かすものの殆ど仮死状態のようでした。夏を過ぎて春と同じ気温になっても変化は見られず。冬の寒い時も同じで電池の切れかけたオモチャのようにゆっくりとうごめくだけでした。
 3月下旬、奈良公園でマグソコガネに混じってクロツヤマグソコガネが見られるようになったので、我が家のF1のクロツヤマグソコガネを掘り出すと、めっちゃ元気。10ヶ月もの間、仮死状態を続けていたとは思えないほど元気に動き回ります。いやー、なんと言いましょうか、スゴイ達成感です。だって、日本の1億2千万人のうちで、クロツヤマグソコガネを一年を通してその生態を観察する事ができた人なんて100人もいないでしょう。幸せです。
また、明日!

 日本のマグソコガネの仲間では比較的大きくて観察しやすく、深く潜らないので飼育しやすいからだったのでしょう、初めて糞虫の繁殖に挑戦した私でも蛹まで育てることができたクロツヤマグソコガネ。しかし、ビギナーズラックもここまででした。掘り出したこと自体が良くなかったのか、やはりフラッシュたいて写真を撮りまくったのがよくなかったのかもしれません。霧吹きで湿気を与えたことが関係したかもしれません。とにかく、蛹になったばかりという非常にデリケートな時期に刺激を与えすぎたことがストレスとなり、良くなかったことに間違いはないでしょう。
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 蛹になって5日程が経過し、少し気が緩んで3日ほど放置していて、ふと見たらすでにこの状態(写真1枚目)だったのです。中まで菌糸が入り込んでいて、なかなか崩れないほどでした。部分的に符節や腹が確認できましたが、大部分は原形をとどめないほどになっていました。こんなことなら、ホルマリン漬けにしておけばよかったと思いましたが後の祭り。
 「春だけ出現する奈良公園のクロツヤマグソコガネは初夏に土の中で成虫になり、そのまま夏・秋・冬を過ごし、春になって初めて地表に現れる」という説を自分の目で確かめることができた(もしくは、そうではないという反例の確認ができた)のになー。そう考えると本当に残念です。クロツヤマグソコガネには申し訳ないことをしてしまいましたが、決して無駄に死なせたわけではない、と言い切れるよう頑張ります。

今日はここまで。
再見!
 

 唯一、飼育がうまくいっているクロツヤマグソコガネ。5月のGWあたりから蛹になる前っぽいくねくねする動きが容器の底面越しに観察されていましたが、先週末ハッキリと蛹になっているのが確認できました(写真1、2枚目)。土の深さは約5cmでしたが、今はその上にシカ糞の食べカスというか、ふかふかのマット状の糞が5cm近く積み重なっています。
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 成虫や幼虫は糞の中やすぐ下あたりで活動していましたが、蛹になるときだけは頑張って10cmくらい潜るのでしょうか。でも、ふかふかマットの中にも蛹になる直前らしき幼虫が何頭もいるので「地中5
〜10cm潜って蛹になる」と今の時点では言い切る自信はありません。蛹は蛹室を作っているようですが、ハナムグリのように硬いものではないようです。
 近日中に1つ掘り出して、じっくり観察するつもりです。それにしても、この蛹たちはこのまま夏、秋、冬を越して、10ヶ月後の来年3月に羽化して地上に現れるのでしょうか?それとも・・・


今日はここまで。
再見!

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 飼育しているクロツヤマグソコガネAphodius atratus の幼虫は、驚くほどの速さで全長10mmを越えるまでに成長し、もういつ蛹になってもおかしくない状態です(写真1枚目)が、野外ではどうなっているのでしょう?野外の塊糞の中か塊糞の下には、クロツヤマグソコガネの幼虫がいるのでしょうか?いや、いるはずです。しかし、桜が満開の頃はうじゃうじゃいたクロツヤマグソコガネは今では散見される程度、芝地の塊糞はすっかりウスイロマグソコガネに占拠されてしまっています。クロツヤマグソコガネの幼虫が安心して暮らせる塊糞なんてどこにもありません。それにまだ春とはいえ、最高気温25℃の直射日光を受けた糞の中は良い環境とは言えません。飼育しているクロツヤマグソコガネの幼虫の行動と併せて考えると、塊糞やそれを粉砕した糞屑の中で成長し、最後は地下に5cmくらい潜って蛹になるのかもしれません。

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 林の中どうでしょうか。冬のマグソコガネ3種(ネグロマグソコガネ、チャグロマグソコガネ、ミゾムネマグソコガネ)の幼虫が今この時期であれば必ずいるはずです。で、探してみると、なんと見つかりました。全長3mm前後でしょうか。いると思って目を凝らして探さないと見つからないぐらい目立ちませんが、中古の糞に結構入ってました(写真2枚目)。背中にコブ状の出っ張りがないのでマグソコガネの仲間、飼育しているクロツヤマグソコガネの幼虫のように大きいヤツがいないので冬のマグソコガネ3種のいずれかと考えたのですが、どうでしょうか?
 撮影時には気付かなかったのですが、写真3枚目の中央に卵のようなものも私には見えます。もちろん、てきとーに言ってます。でも、可能性は否定できません。幼虫を育てる態勢を早く整えて、飼ってみたいですね。


今日はここまで。
再見!
 

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 先日、ヘボな推理をして「クロマルエンマコガネか?」と言っていましたが、さっそく訂正です。実際にクロマルエンマコガネ Onthophagus ater の繁殖を半世紀前にやってのけた大先輩から「エンマコガネ類の幼虫の背中はコブのように出っ張っているのでは?」とのコメントをいただきました。また、昭和48年初版ながら現在も私のバイブルである益本仁雄先生の「フン虫の採集と観察」にも背中が出っ張った幼虫が大きく描かれていました。私の手元の幼虫はお尻の方が太くなっているだけで、背中あたりにコブのようなものはどの角度から見てもありません。バイブルのこの絵は何度も見ているはずですが、実際に初めて糞虫の幼虫に突然出会ったので、冷静さを失ってしまったようです(得意の言い訳です)。
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 では、なぜこれがクロツヤマグソコガネ Aphodius atratus の幼虫と断言できるのか。実は飼育セットのひとつを少し掘り返してみると、出るわ出るわ何十匹も大小さまざまな大きさの幼虫が見つかりました。4/1に容器をセットして成虫12頭を入れた(後日6頭を追加)ので、まだ17日しか経過していないのに、すごい成長スピードです。このままだと夏がくる前に蛹になり、遅くとも夏~秋には成虫が出てきそうなものですが、私はクロツヤマグソコガネを晩春以降は翌春になるまで見たことがありません。まあ、私が見たことないだけなのかもしれませんけど・・・。
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 日本産コガネムシ上科図説(監修:コガネムシ研究会)にも、出現期は3~6月となっており、秋には出現しないことに間違いはなさそうです。では、この幼虫たちはどうなるのか? もしかすると、こいつらはさっさと成虫になって、もう一度産卵するのかもしれません。その卵もしくは小さな幼虫が9か月間眠り続けるとか・・・。あ、でもそうしたら春に目覚めた時に食べる糞が無くなっていそうです。蛹で眠り続けるのがいいかも。春に羽化して出てくればいいだけだし、桜の開花と共に一斉にクロツヤマグソコガネが出現するのにも納得がいきます。全くの想像ですけどね。

 来年の春まで私の根気が続けば、良い報告ができると思います。あまり期待せずに待っていてください。



今日はここまで。
再見!

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