むしむしブログ

タグ:ゴホンダイコクコガネ

 奈良市の公民館は結構いろんな活動を企画していて、ならまち糞虫館にも講演会や糞虫観察会の依頼が増えました。その中でも飛鳥公民館は2019年に糞虫の講演会をした後、2020年9月には講演会と観察会の2回セットで『糞虫王子と謎解き! in 奈良公園』として開催。今年もコロナ対策を十分にとって10/3(日)と10/10(日)に開催(写真1枚目、2枚目)しました。西高東低の気圧配置で朝方冷え込んだ影響か前半の芝地での糞虫探しでは糞虫があまり見つからずどうなる事かと思いましたが、後半林に入っての糞虫探しでは子供たちが次々にルリセンチコガネを見つけて歓声を上げてました。まあ、10月の上旬ですから見つからないわけはないのですが、「糞虫王子」としては後半林に入ってもなかなかルリセンチコガネが見つからないとホント気が気ではないです。
IMG_8624

IMG_1405-1

 今回はさらに残り時間10分というところでゴホンダイコクコガネの大型のオス1匹(写真3枚目)が見つかり、子供らは狂喜してました。少し土に潜っていたのを掘り出したのは私ですけどね(写真4枚目)。写真で見るあの5本の角をもつカッコイイ糞虫が目の前で見つかったという感動と経験は、今後の彼らの人生に大きな影響を与えるに違いありません。とまでは言いませんが、何人かの子供には心に残るいい思い出になったと思います。
P5130192ゴホンダイコク

IMG_1423

 ゴホンダイコクコガネは地下室で糞の玉を作って、その糞玉を親虫が守るという昆虫としては珍しい習性を持っていることは写真や動画などでも紹介されていますが、実際に一部始終を観察した人はどれくらいいるでしょう?カッコイイ糞虫を見つけると、だたそれだけで十分楽しいのですが、実はその先にもっと楽しいことがあるんですけどねー。ゴホンダイコクコガネを見て狂喜乱舞する子供たちを見ていると、まだそんな年寄りの教育的指導なんてものは役に立ちそうもないのは分かるのですが、どうしたら上手く伝えられるのか、いい方法があったら知りたいものです。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 シカが食べてしまうので奈良公園では若木が育っておらず、林は徐々に明るくなっています。40年前と比べると、たぶん風通しも良くなったと思います。そこに地球温暖化の影響と考えざるを得ない猛暑。奈良公園の林は確実に乾燥してきています。湿った落ち葉に埋もれた古いシカ糞を好むクロツブマグソコガネは明らかに減少しているのは周知の事実です。
 さて、奈良公園でルリセンチコガネと人気を二分するゴホンダイコクコガネですが、一般の親子観察会ではなかなか見つかりません。ダイコクコガネの仲間は夜行性ということが関係していると思いますが、そういえば私も最近見てないなーということで、確かめてみました。
20210906_195145
地点➀(奈良公園9/5) オス31 メス43 (全部は写ってません)
20210906_192105
地点②(奈良公園9/5) オス7 メス17(全部は写ってません)
20210906_190202
地点③(奈良公園9/5)  オス8 メス23 (全部は写ってません)
地点④(奈良公園9/5)  オス3 メス10 (記録のみ)
地点⑤(滋賀県甲賀市9/24)オス1 メス4 (記録のみ)
地点⑥(滋賀県甲賀市9/24)オス1 メス5 (記録のみ)
 夕方、奈良公園等にシカ糞を山積みにして、翌朝見回るだけですが、結果は上記の通り(写真1枚目,2枚目,3枚目)。いる所にはまだまだいるようです。でもですね、感覚的にですが、奈良公園では、見る機会が減ったように感じてます。私ごときがボヤいていてもしょうがないので、誰かきちんと調べてくれませんかね。
 ついでに、上のデータからゴホンダイコクコガネのメスの比率が明らかに高いと思うのですが、たまたまですかね?もしかすると、オスは巣作りが終わると外に出て死んでしまい、メスは巣の中で子育てが終わるまで生き延び、今まさに新成虫と共に外に出てきたので、今だけメスが多いのかな?それとも、もともとメスの出現率が高いのか? 奈良公園のシカはメスがオスの4倍くらいいるようですが、カブトムシはオスもメスもほぼ同じ割合で羽化してくるような気がしますし・・・。あー、またわからないことが増えてしまった。
 雄雌大小何匹かを標本用に持ち帰りましたが、ほぼ全てを記録作成後リリースしています。一応、念のため申し添えておきます。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

【CM】糞虫初心者必携の『たくましくて美しい糞虫図鑑』(創元社) 普通の本屋さんでも発売中!

P5130429ゴホンダイコク巣穴
 ご存じの通り、ダイコクコガネは地下に育児室を作ります。なので、その空間の分だけ土を外に押し出すため、入り口付近に大きな盛り土ができるそうです。考えてみれば当たり前ですね。ならば、ゴホンダイコクコガネも育児室を作るので、小さいけれどやはり盛り土ができるのではないか?それを見つけて掘れば、糞玉が出てくるのではないか?
 先週、奈良公園で小さな盛り土があったのを見て、このことに突然気が付いたのです。奈良公園は(場所によるのでしょうが)意外に腐葉土に厚みはなくすぐ土が出てくるので、盛り土は地下にそれ相応の空間がある証拠。乾燥した赤土の芝地ではジガバチが穴掘りするのをよく見かけますが、林内のしっとりした地面では見かけません。穴の大きさからも、ゴホンダイコクコガネのように思えてきました。で、小さなスコップとピンセットで盛り土をそっとのけて、穴に小枝を差し込んで見失わないようにして、慎重に穴に沿って斜めに掘り進めていきました。スコップを差し込んでグッと持ち上げて土の塊を取り除くと穴の向こうに黒光りする物体。さらにピンセットで糞を取り除くと、粒糞とその粉に頭を突っ込んでいるゴホンダイコクコガネのメスがはっきりと見えました(写真2枚目)。
P5130328ゴホンダイコク♀

 入り口を広げて中から粒糞を取り出すと15個もあります。完全に粉砕されたものもありますから、20粒くらいは運び込んでいます(全て小鹿の小さな粒糞でした)。部屋の反対側からは立派なオスも出てきました(写真3枚目)。糞玉の世話をするのはメスだけですが、今はまだ糞玉の材料を練っている最中なのでオスもいたのでしょう。
P5130362ゴホンダイコク巣穴

 上部の土を取り除いて巣穴の形や大きさを確認し、もしかしてコツヤマグソコガネなんかがいたりして、などとブツブツ言いながら糞の粉を丁寧に取り除くと、右上の隅っこに隠れているコツヤマグソコガネをホントに発見しました!(写真3,4枚目) 
P5130454巣穴のコツヤマグソ
P5130455巣穴のコツヤマグソ

 以前、たまたま糞玉を掘り出したことはありますが、盛り土から育児室を掘り当ててゴホンダイコクのペアを発見し、さらにその部屋には盗食寄生をしているのではないかと言われているコツヤマグソコガネが隠れていたなんて、出来すぎです。今月の運を全部使い果たすぐらいの幸運です。今日のブログの長さが、私の興奮度合いを示しています。まあ、取り立てて新たな発見があったわけではありませんが、この目で見れたこの嬉しさは、ちょっと言葉では表現できませんね。糞虫の観察はこれだからやめられません。サイコーに楽しいです!
 この続きを見るために、このペアのゴホンダイコクとコツヤマグソコガネを一緒に糞虫館で飼っています。うまくいったら、また後日報告いたします。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう! 

 8月下旬、たまたま見つけたゴホンダイコクコガネの3個の糞玉。2、3日毎に覗いていたのですが、一昨日オスが1匹糞玉に丸い穴を開けて出てきていました(写真1枚目)。
20200911_192013
 よく見ると、もう一つの糞玉にも小さな穴が開いています。外に出ようとしているのでしょう。そっと割ってみると、立派なオスがいました(写真2枚目)。
 20200911_192059
 既に真っ黒で身体は固くなっているので、羽化した後も糞玉の中にとどまり、身体が固くなってから外に出てくるようです。白い点々はダニではなく、菌類が表面にくっついています。メス親が糞玉から離れず世話をしていましたが、さすがに菌類の侵入までは防げなかったようです。
 3つ目の糞玉も割りました。

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

 1週間以上雨が降らず、以上に暑い日が続いていましたが、8/22の夕方に猛烈な雷雨。みずみずしさを取り戻した奈良公園の林で、鳥の羽が散乱しているのを見つけました。コブスジコガネがいるかも!と、丁寧に周囲を含めて落ち葉の下まで見ていたら、5cmも掘らないところでイノシシの糞が一つ、二つと出てきました。林の中にはシカが食べられるものを食べつくしたせいか、シカ糞が見つけにくくなっており「オオセンチコガネがやむなくイノシシ糞を穴に引き込んだのかな?」と思ってました。でも、奈良公園の糞虫にはイノシシ糞はあまり人気がないので少し違和感を覚え、オオセンチコガネを見つけて確かめようと、さらに掘り進めると一回り大きな三つ目の丸い塊が出てきました。と同時に黒光りするゴホンダイコクコガネのメスの姿が。デジカメが電池切れで写真がないのが残念です。
 たまたま掘った場所にゴホンダイコクコガネの育児室があったようです。床面は土でしたが周りや天井は腐葉土で、しっかりとした「育児室」と呼べるようなものではなかったように思います。ピンセットで掘り出せるほどの深さ(5cmほど)しかなく、シカに踏まれたせいなのか糞玉終期のせいなのか、3つの糞玉のうち2つは“玉”には見えないほど変形していました。時期的にはすでに蛹になっている可能性もあります。 
IMG_20200823_142640
IMG_20200823_142621
IMG_20200823_142705

重さは6.1g、6.4g、7.9g。とりあえず、以前ブログのコメントにいただいた飼育方法に従い、植木鉢に土を入れて糞玉とメス親を置き、真っ暗にしました。4時間後そっと覗いてみると、メス親は土に潜らず糞玉の上に乗ってじっとしていました。実際の育児室とは似ても似つかぬガランとした大部屋ですが、メス親は糞玉の世話を継続してくれそうです。今度こそうまく育てないと、先週死なせてしまったゴホンダイコクの幼虫に申し訳が立ちません。でも、乾燥対策を考えないといけませんね。重さに差があるのも気になります。割って中がどうなっているのか、見てみたいなー。
IMG_20200823_142717

今日はここまで。
週末、糞虫館で会いましょう!

このページのトップヘ