むしむしブログ

タグ:スカラベ

 9/13の12時過ぎにフンコロガシ(スカラベ・サクレ)の蛹が羽化したのを確認しましたが、写真1枚目の通り、まだあちこちに蛹の皮が残っており、体色は薄茶色で腹側から中身が透けて見えるようです。十分硬くなるにはもう少し時間が必要と思われました。糞玉のカラは大きく壊されていますが、蛹の皮をびりびりに破って羽化するのに支障はないようです。その日の20時頃には蛹の皮はほぼ自分の手を使って取り払われていました。(写真2枚目)
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 翌日の9/14、体色もかなり赤黒くなり(写真3枚目)、容器を動かすと体の向きを素早く変えるなど反応します。出ようと思えば簡単に出れるはずですが、新成虫は出てきません。羽化3日後の9/16、まだ体色が真っ黒にはなっていませんが、十分な硬さがありそうな雰囲気になっています。もう出てきても大丈夫だと思うのですが、まだ糞玉のカラから出ようとはしません(写真4枚目)。何かきっかけがないと出てこないのかなぁ?
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 9/18の夕方5時頃に見るとカラの外に出てました(写真5枚目)。羽化してから5日経っていますが、ファーブル昆虫記によると、自然界だと羽化しても糞玉の硬いカラの中に閉じ込められたままで、雨季になって雨で糞玉のカラが柔らかくなるまで出てこれないらしい。ということは、体内にまだまだ栄養分を蓄えている可能性が高く、しばらくは糞を食べない可能性があります。確かめるため、小さな糞を入れてみました。
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 糞を入れるとすぐに食べ始めたので、今度は大きな糞塊をセットしてみました。最初は張り付いて食べてましたが、10分もしないうちに小さな糞玉を手際よく丸めて転がし始めました(写真6、7枚目)。誰からも教わることもなく、フンコロガシは生まれながらにしてフンコロガシでした。
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 新成虫がオスなのかメスなのかは私にはわかりませんが、仮にメスだとしても交尾前なので有精卵が産めません。作った糞玉が小型だったのは、自分が食べるための糞玉だったからと私は考えています。ちなみに7枚目の写真の奥で糞塊を食べている黒色の個体は、糞玉を転がす新成虫の母親(メス)です。自然界ではこのように親子が出会う可能性はぼぼ0ですが、飼育下ならでは感動(?)のワンシーンです。もちろん二匹はお互い挨拶もしませんでしたけどね。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!
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やりました!日本初ではないだろうけど、自分的にはもちろん初めてフンコロガシ(スカラベ・サクレ)の繁殖に成功いたしました。糞玉を作るところ、転がすところ、土に埋めるところ、西洋ナシ型の糞玉、卵、幼虫、蛹、そして本日(9/13)ついに糞玉の中で羽化した新成虫を観察することが出来ました。
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 アフリカからはるばる日本に連れてきて、未知の食材であるニホンジカの糞で世代を繋ぐことができて、嬉しい!と同時になんか少しほっとしています。詳細は後日。とりあえずご報告まで。

今日はここまで。
週末は糞虫館で会いましょう!

 7/2に作って埋められた糞玉を49日後の8/20に割ってみると、まだ蛹になったばかりのタイミングでした(写真1枚目)。蛹は特に最近日々変化していて、昨日はこんな感じにかなり茶色くなってきました(写真2枚目)。
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 今回公開糞玉割りに使う7/14に作られた糞玉は、オス・メスペアの手で埋められているので恐らく確実に産卵がされていると考えています。既に57日が経過しているので、卵が順調に育っていれば蛹になっているはずです。ただ、このペアはプラケースの壁沿いに育児室をつくらなかったので、そもそも糞玉があるのかどうかさえも確認できていません。私がドキドキするのは、糞玉が無い可能性があるからかもしれませんね。今日9/9の午後2時を過ぎたあたりで掘り出してみたいと考えていますので、一緒にドキドキしたい方は、この機会をお見逃しなく。

今日はここまで。
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 フンコロガシ(スカラベ・サクレ)は大きな糞の塊から丸く糞玉をくり抜いて、最後に全体を点検してへこんでいるところには糞を貼り付け、出っ張っているところは手で押して形を整えて見事な球形にしてから転がし始めます。糞が適度に軟らかく量が十分にあれば、ビデオの早送りのような素早い動きでテキパキと作業を進め、5分もすれば糞玉作りを終えて転がし始めることもあります。しかし出来栄えには結構個体差があって、メチャクチャしっかり作り込む奴(写真1枚目)もいれば妙にデカい球(写真2枚目)を作る奴もいたりします(比較のために7月に地下から掘り出した仕上げ済み産卵前の糞玉2個を横に置いています)。糞玉の半径が25%長いと体積は約2倍(球の体積=半径の3乗×π)になりますから、2枚目の写真の糞玉なんかは土に埋めた後地下室で2分割すれば2つ卵が産めそうな気がしますが、そんなことはせず、先月8/25にこのブログでお伝えした通り、地下の育児室で親虫がしっかり食べるなどして大きさを調整しているようです。
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 地上にある糞塊から糞玉を切り出す作業は糞に集まる他の生き物との競争ですから、短時間で丸めて早く転がして持ち去らなければなりません。そのため、大きさにばらつきがあったり、形が「美しい球形」とは言えないことも少なくないのは当然だと思います。フンコロガシを1匹だけにして落ち着いて糞玉をつくれる環境を整えてあげた時も、おはぎのような糞玉を転がしてました。これは糞の柔らかさにも関係があるのかもしれません。いずれにしても、最後は地下に埋めて数日のうちにそれなりの大きさの美しい球形に仕上げることに変わりはありません。
 ネット上で見られるフンコロガシの画像は大抵形が整った完全無欠の糞玉を転がしていますが、「映え」を意識して歪な糞玉を転がす画像は意識的にアップしないのかもしれませんね。

今日はここまで。
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 7/2にフンコロガシ(スカラベ・サクレ)のペアが糞玉を埋めて、1週間後に1匹が這い出し(たぶんオス)、2週間余り後に2匹目も這い出してきました(たぶんメス)。家の土間等の比較的涼しい場所に置いてましたが、エアコンはないのでプラケースの中は地中でも30℃を超えていたでしょう。交尾をしたペアが埋めたので産卵は確実と思ってましたが、現在ケース越しに見える糞玉の表面は真っ黒に変色しており「ダメだろーなー」と思ってました。1ヶ月半が経過したので、もしうまく育っていたら大きな幼虫になっているだろうけどねなどとブツブツ言いながら、今日糞虫館に来てくれた子供たちと一緒に掘り出しました。普通、糞玉はまわりに土がついていますがシカ糞の場合茶色っぽくなります(写真1枚目)。しかし掘り出した糞玉は、黒いヘドロで覆われたような変わり果てた姿になっており絶望的な気持ちになったのですが、振ってみるとコトコト音がします。干乾びた幼虫の死骸が出てくると思いつつ、慎重にナイフで割ってみると、なんと薄い飴色をした透けるような蛹が出てきました(写真2枚目)。
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 振動で少しクネクネ動きましたが、カブトムシのように激しくは動きません。予想外の展開で一緒に見ていた来館者の方より私の方が興奮してましたね。とりあえず素焼きの植木鉢にケースの土を入れて窪みをつけて、割った糞玉ごとそっと置いて、ラップで蓋をして、暗くしておきました。(写真3枚目) 写真をとりまくったけど、だいじょうぶかなぁ。
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 蛹の上をダニが3匹歩いていましたが、この程度であれば問題ないでしょう。4年前は幼虫にダニが大量に取りついていたので、今回は巨大糞団子を与える前に糞に熱湯を何度もかけてダニを殺したのがよかったのかもしれません。黒いヘドロの正体は何なんでしょう?親が糞玉の小部屋から出て行ってから変化してますから、親虫の出した物質ではありません。ということは「幼虫が出すヘドロ状の物質」=「幼虫の糞」 以外に考えられません。糞玉の壁はもはやシカ糞の名残はなく、ほぼすべてが黒いヘドロでできていました。(写真4枚目)
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 外側はパイナップルみたいにデコボコで、内側はなめらかスベスベ。糞を壁が抜けるほど食べてそこに糞をぶちゅっと出して穴を埋める。これを繰り返して最終的に黒いヘドロの固まったような糞玉となり、汚物を出し切ったところで蛹になる。想像ですが、目の前にある糞玉の表面と内側を見ながらそんなことを考えました。8/4に埋められた2つ目、3つ目の糞玉の表面は少し毛カビみたいなのが絡まってますが、普通の糞玉のままです。この糞玉の幼虫は順調に育てば9/22頃には蛹になっているはずですから、今回同様黒いヘドロ状の物質で覆われた糞玉になっているか、確かめたいと思います。でも、こんなことはファーブル昆虫記にも書いてなかったように思います。ファーブル生誕200周年となる記念すべき今年、私的には世紀の大発見⁉になるような予感がしています。

今日はここまで。
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