長野の糞虫好きの方から送っていただき、奈良公園のシカ糞での繁殖に挑んでいたダイコクコガネですが、行方不明になっていたオスの遺体が1匹、飼育容器の隅の土塊の中から見つかりました(写真1枚目)。菌類が中に入り込んでいるようですが、まだきれいに外観を保っており(写真2枚目)、容器に侵入しているエンマコガネの活動による破損もないところから、春の終わりごろまでは生きていたのではないでしょうか。ピッカピカの元気なオスだったので寿命だったとは思えません。コイツには申し訳ないことをしてしまいました(もちろん、失敗は今回が初めてではないですが・・・)。
が、冬を越すことでオスが生殖能力を持つとすれば、存命中のメス(写真2枚目)と既に交尾を済ませていて、2匹いるメスが糞玉を作って産卵する可能性があるのではないでしょうか。ゴホンダイコクコガネ等はオスメスのペア育児室を作ってそこに糞塊を準備し、糞玉を5,6個作ってメスが産卵する(オスは途中で出ていく)らしいのですが、どのタイミングで交尾するのか私は知りません。ルリセンチコガネは地上で交尾している様子が何度も観察されており、穴を掘って糞を集める段階ではメスは単独ですでに受精卵を産卵できる状態になっていると私は考えています。スカラベ(タマオシコガネ)を飼っていた時も、ひとりで糞玉を作り、転がし、穴に埋め、地下で卵を産み、幼虫になりました。シロウトの希望的観測ではありますが、もしかしたら、残されたダイコクコガネのメスに十分なシカ糞を与えて飼っていると一人で地下に育児室を作って、糞玉も作って、受精卵を産んでくれるのではないか、とわずかな希望を持っています。「それはムリでしょう」というデータや観察事例がありましたら、そっと、やさしく、教えてください。
今日はここまで。
週末に糞虫館で会いましょう!